イギリス出張レポート vol.1 ~ファクトリー訪問編~ | BRITISH MADE Staff blog

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イギリス出張レポート vol.1 ~ファクトリー訪問編~

みなさまこんにちは。
突然ですが、BRITISH MADEを運営する渡辺産業株式会社では、年1回WATANABE AWARDという表彰制度があります。表彰の内容は割愛いたしますが、この表彰制度で社員全員からより多くの票を集めたスタッフは、イギリスに出張する権利を得られます。

この度、光栄なことにこの制度によって出張の機会をいただきましたので、ダイジェストレポートを前・後編に分けて2週にわたりお送りします。

今回は、ファクトリー訪問編。
計6箇所のファクトリーを訪問しましたが、BRITISH MADEの秋冬といえば!なキルティングジャケットの名門LAVENHAMと、独自のモダンブリティッシュスタイルにより日本での注目度がどんどん上がっているDrake’s、そしてスコットランドのニットウェアmacalastairに使用される糸をつくるファクトリーをご紹介します。

まずは、現在店舗にも続々と新作入荷しているキルティングジャケットブランド、LAVENHAMのファクトリー。
ここで印象深かったのは、キルティング生地から製作しているという点。キルティングアウターをつくるブランドは数あれど、キルティング生地から自社工場でつくっているブランドはそう多くないようです。

定番のポリエステルからウール、太畝のコーデュロイなど膨大な量の生地ストックの部屋。これらの生地がキルティングされて、そして製品になっていきます。

つくれるキルティングのパターンはかなり膨大。分厚いキルティングパターンの資料が大量にありました。こんな複雑なパターンのキルティングも作れるそう。

ラベンハムのルーツであるホース柄やファンシーな蝶の柄も。定番のダイヤモンドキルトパターンと組み合わせてあるおもしろいパターンです。

キルティング生地を作る大きなマシン。定番のダイヤモンドキルト、ラブンスターの生地を製作中でした。非常に細かいピッチでキルティングされており、均一で美しいです。

出来上がった生地の品質を入念にチェック。キルティングからつくるファクトリーだからこそ、生地の時点から行き届いた品質管理が行なわれ、長く愛用できる上質なジャケットが生まれます。キルティングジャケットの名門たる所以ですね。

ちなみにファクトリーの近くにはラベナム村があり、そちらにも寄ってきました。「イギリス一美しい中世の町」といわれる町には、こんなカラフルでファンシーな建物がたくさん。古きよき町並みと、ゆっくりと時間が流れる素敵な場所でした。

お次はDrake’s
ロンドンのハーバーダッシャー・ストリートにあるネクタイのファクトリーにお邪魔しました。

こちらも大量の様々な質感・色の生地ストックが。アーカイブのプリント生地もたくさんありました。Drake’sのタイやスカーフは、毎シーズン独特の古典柄のプリントが多くありますが、それらの多くはアーカイブ生地からインスピレーションを得て現代の解釈でデザインに落とし込んだものが多くあるそうです。

生地の品質をチェック中。
Drake’sのタイは製品になるまでに幾度も入念な品質チェックが行なわれます。

バイアスカットのために印をつける作業。

目にも止まらぬ速さでタイを縫い上げていく職人。

仕上げにタグが縫い付けられているところ。このあとにも全体の入念なチェックが行われます。

Drake’sのタイは、ロンドンのクリーンで美しいファクトリーで、熟練職人によってつくられますが、その作業工程ひとつひとつをとっても、ブランドを象徴するようにエレガントであることが印象強かったです。おそらく繊細で美しい生地を扱い、その作業が迷いなくハンドメイドですばやく行なわれているから、その印象が強く残ったのでしょう。

ランチはDrake’sのクリエイティブ・ディレクターであるマイケル・ヒルさんが、センスのいい絶品なモダン・ブリティッシュ料理を出すというSt. John Bar and Restaurantをおすすめしてくれ、Drake’sのスタッフに連れていっていただきました。
ミシュラン・スター・レストランとのことで、「鼻先からしっぽまで」をテーマに、動物のあらゆる部位を余す所なく使い、素材の良さを生かしたシンプルな英国料理。Mackerel=さばをまるごと調理した一品は、大胆でつくりこみすぎていないのにセンスを感じるスタイルと確かな味。肩肘張らないエレガンスを表現するDrake’Sのマイケル・ヒルさんがお気に入りなのもなるほど頷ける、と納得。

最後に、スコットランドのmacalastairで使われる糸をつくるファクトリー、ニュー・ラナークミルズ。その歴史的背景から世界遺産に登録されているニュー・ラナークの地にあるこのファクトリーは、観光場所となっており、例えるなら日本の富岡製糸場のようなイメージでしょうか。

少女の人形など、小さなお子様にもわかりやすいような案内がそこかしこにあります。

ニュー・ラナーク全体の模型。中央あたりにあるのがミルで、3つに分かれています。
周りにはホテルや、ミルで働く人のための宿舎があります。現在も200名ほどの人が住んでいるとのこと。

ニュー・ラナークは、1786年にデヴィッド・デイル氏が上記の綿紡績工場や工場労働者用宿舎を建てたことが起源。デイル氏の娘婿にあたる、博愛主義者で社会改良主義者のロバート・オウエン氏も共同所有のもと、ニュー・ラナークはソーシャルビジネスにより事業的にも成功を収め、ユートピア社会主義を体現する存在となりました。
写真は載せられませんが、その物語が、某テーマパークのアトラクションにわかりやすく紹介されている乗り物があります。劣悪な労働環境を改革し、当時は先鋭的だと考えらていたものの、現在の社会・経済システムに通ずるものがこの地で築かれたのですね。

ミルの近くにはクライド河が流れ、この河の水によって水力発電が行われています。

ミルの側にある大きな水車。これで水を汲み上げ発電に利用しています。

紡績するためのマシン。
巨大なマシンでふわふわの原毛から紡がれた毛糸の状態になって行きます。
速すぎて糸のところが見えません。

紡がれた糸が、一定の分量に巻かれていきます。

ファクトリーのスタッフは、みんなお揃いのツナギを着ていました。轟音がするので、ヘッドフォンをつけて作業を行っています。

巻き上がったブリティッシュウール。
ブリティッシュウールは、世界のウール生産量のうちわずか3%という希少な糸。吸湿性・放湿性に優れ、型崩れもしにくい素材です。

ミルの屋上には手入れされたガーデンが。社会科見学でしょうか、お子様がたくさんいました。

ファクトリーショップも併設し、ここで紡がれた毛糸が販売されています。発色のいい色も多くありますね。今季、macalastairは昨年よりさらにカラーバリエーション豊富になってラインナップされます。今後続々と店舗に入荷していきますので、是非店頭にてチェックして、世界遺産の地、ニュー・ラナークで紡がれた糸を触ってみてくださいね。

以上、駆け足ですが3つのファクトリーのご紹介でした。
遠くイギリスの地で丁寧に作られた製品、それはどれもオーセンティックで質の良いものばかり。どこか温かみを感じるのは、作り手の想いが込められているからなのでしょう。

来週はファクトリー以外で足を運んだ、イギリスお気に入りスポットをご紹介します!