オレンジペコって何??紅茶の等級の話? | BRITISH MADE

Short story of tea オレンジペコって何?~紅茶の等級の話~

2014.09.17

等級というと、品質やクオリティーを表すものと考えがちですが、そうではないんです。

以前、僕が紅茶屋さんに勤めていた頃に、出し抜けに「オレンジペコちょうだい」と注文されるお客様がいて困ったことがあります。それというのも、オレンジペコというのが紅茶の等級を表す言葉で銘柄を指すものではないためオレンジペコタイプの銘柄が沢山あるためどれをお出しして良いか迷ってしまうからです。

小売店で販売されている紅茶の製品名は、ダージリン、アッサム、セイロンなどのように生産地の地名がそのまま商品名になっているものがほとんどなのですが、その中にオレンジペコ(Orange Pekoe)という商品名の紅茶が販売されているのをしばしば目にします。 これは、オレンジペコタイプの紅茶をブレンドして作った紅茶という意味なんでしょうが、その意味が広く伝わっていないのが現状のようで、紅茶の種類や銘柄だと思っている方や、オレンジの香りのする紅茶だと勘違いしている方もいるようなのです。
そこで今回はこの紅茶の等級についてお話したいと思います。
オレンジペコ
紅茶には等級(グレードと言われたりもします)という区分があります。
等級というと、品質やクオリティーを表すものと考えがちですが、これはあくまでも茶葉の形状や見た目、サイズを表すもので、これだけで茶葉の価値を決定するものではなく、サイズが大きな茶葉が「高級」で、小さなものほど「悪い」という判断は間違った見方です。 また、等級を付けるための国際的な基準はなく事実上、茶園やメーカーが独自の判断でつけているのが現状です。

まず紅茶は茶葉のサイズ(大きさ)によって主に「フルリーフ」「ブロークン」「ファニングス」の3つに大きく分類されており、更に細かく分類されています。

フルリーフ
切断せず砕かない状態の茶葉で茶殻を見ると葉っぱの形がそのまま復元されているのがわかります。

ブロークン
切断したり砕いた状態の茶葉、等級や産地によって大きさは様々です。

ファニングス
扁平で小さなサイズ、粉砕した粉状の茶葉。

*ダスト(例外)
0.3~0.5ミリ程度の粉末状の茶葉。敢えて生産されることは少なく、多くは他の等級の生産過程でふるいをかけたときに出る粉状の茶葉を集めた物です。「ダスト」と聞くと余りよいイメージはありませんが、高品質茶葉の生産時に生まれるダストは高値で取り引きされることも少なくありません。主に安価なティーバッグや加工製品などの工業用として使われる他、紅茶原産国でミルクティー用として使われることが多いようです。

紅茶の等級区分
次に細かく分類された等級の中から主なものをご紹介します。

フルリーフに分類される等級


オレンジ・ペコ(OP)
もしかしたら最も耳にする機会が多いかもしれない等級です。茶の枝の尖端部分から2番目に若い葉。まだしっかりと葉が開いていない柔らかい葉っぱです。しつこいようですが、オレンジの味は全くしません!一般的に「オレンジペコ」という名で販売されている紅茶はセイロン茶系のブレンド紅茶が多いようです。

ペコ(P)
比較的、茶葉の尖端に近い葉。この等級も単体での製品化は余りありません。主に加工食品や工業用として使われています。

ペコスーチョン(PS)
枝の下の方にあるS(スーチョン)の次に大きな葉。

スーチョン(S)
茶木の割と下の方にある、比較的大きくしっかりした葉です。一般的な紅茶にはあまり使われません。 銘柄ではラプサンスーチョン(正山小種)という紅茶が有名です。



ブロークンに分類される等級


ブロークンオレンジペコ(BOP)
オレンジペコを2~3ミリ程度にカットした、少量のティップを含む茶葉。 最もお目にかかる機会が多い等級の中の1つで、比較的濃く、抽出が早いためティーバッグにもよく使われています。 セイロン茶に多い等級でもあります。

ブロークンペコスーチョン(BPS)
ペコスーチョンをカットしたもので(*CTCと呼ばれる丸められた茶葉に使われることが多いです)多くがミルクティー用などにお勧めです。



ファニングスに分類される等級


ブロークンオレンジペコファニングス(BOPF)
ブロークンオレンジペコをさらに細かく砕いたものです。風味はブロークンオレンジペコに劣ることが多いですが、短時間で濃く抽出されるため高価なティーバッグに使われることも多いようです。

以上が主な紅茶の等級になるわけですが、紅茶の有名な生産地ではその価値を高めようとさらに形容して細かく分類しているところが多く、たとえばFOP(フラワリーオレンジペコ)=茶の枝の尖端部分から1番目に若い葉ティップと呼ばれる(芯芽)を多く含む茶葉で、ティップは枝1本につき1つしかないために生産量が少ないことから高価なものが多い傾向があり花を思わせる繊細な香味が特徴。であったりブランド化している茶園などではSFTGFOP(Sスペシャル=特別な、Fファイン=素晴らしい、Tティッピィ=さらに芯芽の多いもしくは芯芽のみの、Gゴールデン=黄金色の、FOPフラワリーオレンジペコ)なんていう等級もありこの最初の2文字の意味もS=スーパー(極上の)またはスプリーム(最高位の)、F=ファイネスト(最上級の素晴らしさ)またはフィナー(品質の優れた)というふうに表されることもあって、ここまでくるともう何を言っているのか良くわからなくなってくると思いますが、とにかく最高級だというふうに理解しておきましょう。

因に、オレンジペコの語源について何故オレンジと関係ないのにそんな呼ばれ方をしているのかといえば、ペコの部分は中国で茶葉の芽に白い産毛が生えていて、それを白亳(pak-Ho=パイハウ)と呼んでいたのですがそれが訛って英名でPekoe(ペコもしくはピコ)となったということで、オレンジの部分は前記の白亳の橙色のものがそう呼ばれたという説や、中国人が昔、茶葉への香り付けにオレンジの花を使用したことから来ているという説、お茶の水色がオレンジ色だったという説、オレンジナッソー宮(オランダ王家のオラニエ=ナッサウ家)に由来するという説など諸説あります。

いかがだったでしょうか。 オレンジペコって新芽から数えて2番目の葉っぱのことなんです、なので高品質の紅茶はだいたいオレンジペコであることが多いんですね。 販売されている茶葉の多くにはお話した茶葉の等級が明記されていますので紅茶を目にしたら確かめてみるのも面白いと思います。


*CTCとはCrush(押しつぶす)、Tear(引きちぎる)、Curl(丸める)の略で専用の機械をつかって、茶葉を押しつぶして、引きちぎるように細かくし、再び丸めることによって成形されます。短時間でしっかりとした味わいの紅茶を淹れることができるように、忙しい現代人の暮らしのニーズによって生まれた比較的新しい製法。需要とともに急速にひろがり、今では世界中の産地で作られ、アッサムやケニアでつくられる紅茶では90%以上がこのCTC製法で紅茶が作られています。


2014.09.17
Text by T.Nogami

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野上富巨

野上富巨

紅茶のカフェ「nt(ニト)」店主。幼い頃から紅茶が好きで、様々な飲食業を経て2013年3月紅茶のカフェ「nt(ニト)」を東京西荻窪で開業。日本紅茶協会認定ティーアドバイザー。

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