2015.10.23

ブリティッシュ“ライク” 華麗なるヒュー・グラント

英国人俳優といえば、ケーリー・グラント、ローレンス・オリヴィエ、ショーン・コネリー等々ときらぼしのごとく並び、ファッション誌を始め、多くのメディアで取り上げられてきた。実際、映画や写真で彼らを見ると、数十年経過しても色あせることなく、その姿に心を奪われる。しかしながら、僕は彼らがリアルに輝いていた時を知らない。ゆえに、どうしてもリアルなスターには感じられないのである。英国人俳優といえば、僕は真っ先にヒュー・グラントをあげる。代表作「ノッティングヒルの恋人」、「ブリジットジョーンズの日記」、「ラブ・アクチュアリー」など、スマート、インテリな役を得意とし、ダメ男を演じさせれば右に出るものはいないラブコメの常連である。

ヒュー・グラントは、ファッション誌などでスポットを浴びる機会が少ないのが不思議なほど着こなしっぷりが良い俳優だ。出演した作品は、余すところなく見てきたつもりだが、ジャケットを着用していない作品はほとんど記憶にない。それは生粋のロンドン子からなのか、オックスフォード卒ゆえの術なのかはわからないが、タイドアップ、アンタイド問わず、颯爽とジャケットを着こなす姿がとにかくサマになる(特に背中が美しい)。

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そんなラブコメ御用達のヒュー・グラントが、それとは一線を画した作風の映画「ウェールズの山」という秀作に出演しているのでこの場をお借りして紹介したい。ネタバレにならない程度に解説すると、時は1917年のウェールズ。イングランドからウェールズに訪れた2人の測量士は、村のシンボルである”フュノン・ガルウ”を測定した結果、高さが6m足りず丘と判定した。数々の侵略から村を守ってきた神聖な山”フュノン・ガルウ”を丘だと宣言され憤慨した村の人々は、あの手この手を使い、丘を山へ戻す手段を講じるという内容。

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ちなみにこの作品の原題は、「The Englishman who went up a hill but came down a mountain」。なんとも詩的で独特な言い回しだが、作品を見てもらえばその理由がよくわかるはずだ。同じ英国といえども、イングランドとスコットランドに比べ、ウェールズと北アイルランドは少々見識に乏しい。当時の地域情勢、どういった環境や習慣のもとに生活を営んでいたのかというのが参考にできる貴重な資料でもある。


この作品でもヒュー・グラントはノーフォークジャケットやニッカーボッカーズを着こなし奔走している。同様に、劇中で彼の上司役を務めるイアン・マックニースのボウタイ、ディアストーカー、フォブチェーン、ステッキなどの小物を自在に操る出で立ちは非常にチャーミングだ。

若かりし時より映画界の第一線で活躍し続けているヒュー・グラントもすでに55歳。11月には新作が公開される予定だが、ここでもどんな姿が見られるのかが非常に待ち遠しい限りである。



Text&Photo by Shogo Hesaka

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部坂 尚吾

部坂 尚吾

1985年山口県宇部市生まれ、広島県東広島市育ち。松竹京都撮影所、テレビ朝日にて番組制作に携わった後、2011年よりスタイリストとして活動を始める。2015年江東衣裳を設立。映画、CM、雑誌、俳優・タレント・文化人のスタイリングを主に担い、各種媒体の企画、製作、ディレクション、執筆等も行っている。山下達郎と読売ジャイアンツの熱狂的なファン。
江東衣裳
http://www.koto-clothing.com

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