2016.01.28

BM RECORDS TOKYOへようこそ vol.7 デヴィッド・ボウイの周期表

前回、デヴィッド・ボウイの訃報について哀悼の意を込めてブログを書きました。
そして、訃報を受けて、一本の映画が、東京と大阪において1/23から期間限定でリバイバル上映されています。映画『デヴィッド・ボウイ・イズ』(原題:『DAVID BOWIE IS』)です。私も、東京の上映館である新宿ピカデリーに行ってきました。

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本作はイギリスのヴィクトリア&アルバート博物館(V&A)で開催され、近日中に日本への巡回も行われる予定だと言われている回顧展「デヴィッド・ボウイ・イズ」のドキュメンタリー映画です。監督はハミッシュ・ハミルトン。ロンドン・オリンピックの生中継や第82回アカデミー賞の監督も手掛けた人物です。20万人を動員したこの回顧展は、同所で開催されたこれまでの展示の中で最もチケットが入手困難だったそうです。

そんな好評を博した展示期間のなかで、さらに瞬く間にチケットが売り切れたというクロージング・ナイトに撮影された映像を交えながら、本作は展開していきます。司会進行は二人の担当キュレーターが務め(※彼らがまたよくしゃべれるキュレーターでびっくり)、スピーチゲストにはジャーヴィス・コッカーや山本寛斎らが登場します(※個人的には寛斎さんのスピーチに強く胸を打たれました)。

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本編ではボウイのアーカイブ映像はもちろん、幼少期の所持品、数々のきらびやかなステージ衣装、歌詞やステージのコンテにコンセプトシートといった数々の直筆資料などが、キュレーターの解説と共に映し出されます。要は展示の見どころを整理して紹介しているので、この映画を観ることで、展示会場を訪れたようなある種のバーチャル体験ができるというわけなのです。
いろいろと見所の多い作品ですが、そのなかで紹介された作品にひとつの周期表がありました。この『THE PERIODIC TABLE OF BOWIE』は、ポール・ロバートソンというアーティストの作品で、V&Aの依頼からボウイを取り巻く人々の相関図を周期表に見立てて表現した、何ともクレバーでユニークな作品なのです。

初出し!映画『デヴィッド・ボウイ・イズ』トレイラー“元素周期表編”日本語字幕版
ボウイに影響を与えたリトル・リチャードやエルビス・プレスリー。彼が親交を持ったジョン・レノンやミック・ジャガー、アンディ・ウォーホル、フレディ・マーキュリーやルー・リード、ロバート・フリップにミック・ロンソン。ベルリン時代の盟友であるイギー・ポップやトニー・ヴィスコンティ。そして彼の妻であるイマン。
さらに、彼の影響を受けた多くのアーティストたちが、その影響のベクトルや種類によって分類されているのです。そしてキュレーターは言います。「影響を受けた人たちの行は、この後もっと増えていくのだろう」と。

彼より先にデビューしていたビートルズやストーンズがそうであったように、ボウイもまたアメリカのロックンロールに魅了されたことから、自己表現をはじめました。そして様々なペルソナを演じ作風を変化させ続ける過程において、様々なアーティストと邂逅を果たしたのです。

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追悼というと、どうしてもその人の過去の作品を聴こうとしますが、そこからもう一歩踏み込んで、アーティストの歩みを紐解きながら、関係した人物の作品にも手を伸ばしてみると、また新たな発見に出会えることもあるのではないでしょうか。
そして、このブログを読まれているあなた自身の周期表を描いてみるのも楽しいでしょう。誰にどんな影響を受けて、誰と出会い、どんな影響を誰に及ぼしてきたのか。 周期表自体はボウイが作ったわけではありませんが、この展示がロンドンで行われた時点では、彼はまだ存命でした。こうした思考活動のきっかけを与えてくれるのも、例えばデヴィッド・ボウイというアーティスト持つ大きな魅力のひとつなのではないかと、私は思うのです。

当初は一週間限定上映だった本作ですが、東京の新宿ピカデリー、大阪のなんばパークスシネマ共に公開期間が延長された模様です。このテキストを書いている1/27現在で、今のところ2月上旬までのスケジュールがアップデートされているようです。二都市のみではありますが、お近くの方はぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。

『デヴィッド・ボウイ・イズ』(原題:『DAVID BOWIE IS』)
HP:http://www.omniversevision.com/davidbowieis.html
作品情報HP(日本):http://www.culture-ville.jp/
予告編:http://cinema.pia.co.jp/movie/trailer/166952/

Text by Uchida Masaki


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内田 正樹

内田 正樹

エディター、ライター、ディレクター。雑誌SWITCH編集長を経てフリーランスに。音楽、ファッション、演劇、映画、フードと様々な分野におけるインタビューや編集制作全般に携わる。編著書に『椎名林檎 音楽家のカルテ』がある。サンデー毎日で「恋する音楽」を連載中。NTT DOCOMO『dヒッツ』にてプレイリストを月2回提供中。テレビ朝日の配信チャンネル「LoGiRL」ではシンガーのハナエとともに毎週木曜日の生番組にレギュラー出演中。

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