チョコレートを贈る習慣は英国発祥!? イギリスのバレンタイン事情 | BRITISH MADE

チョコレートを贈る習慣は英国発祥!? イギリスのバレンタイン事情

2016.01.31

イギリスのバレンタインは、どちらかと言うと男性から女性へ愛を伝える日。イギリスでは多くの人が恋人とディナーをともにし、カードやチョコレート、花を贈り合う。チョコレートだけでなくお花やシャンパンなどを男性から女性へプレゼントすることが多いよう。「バレンタインカード」という匿名のカードを付けるのも通例。そんなイギリスのロマンチックなバレンタイン事情をご紹介。

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バレンタインデーはイギリスのカップルにとっても一大イベント!

201601_ENB02ヨーロッパのバレンタインデーはどんな年齢の人も楽しめる幸せな一日
日本でも、1月のセール時期が落ち着いてくると、デパートや街にはレッドやブラウン、ハートマークの装飾が目立つ頃。もちろん、これらはバレンタインデーに向けたデコレーションだが、イギリスのバレンタインはというと…… 実は、日本とはちょっと違った、男性からも思いを伝える「愛の日」!

日本の「女性から男性にチョコレートをプレゼントして、愛を伝える日」という風習とは大きく違うのが、イギリスのバレンタインは女性に限らず男性からも愛を伝える日であるということ。そして、渡すプレゼントもチョコレート以外には、カードや赤いバラの花束などが多いのだそう。特に、カードにはとてもユーモアの効いた、イギリスならではの渡し方に関するマナーがあるのだとか。

このように、イギリスでは1000年以上前から続く、伝統的な恋人と夫婦のための日。今回は、そんなイギリスのバレンタインデーをご紹介したい。

「恋人へのプレゼント」がチョコレートになった理由とは

201601_ENB03老舗チョコレート会社・キャドバリーは当時、美しいパッケージで人々の心を惹きつけていた。
まず日本のバレンタイン・デーと同じ点は、イギリスではチョコレートも欠かせないプレゼントであるということ。

バレンタイン・デーにチョコレートを贈る…… という習わしの発祥は、イギリスのキャドバリー社が1868年に発売した贈答用のチョコレートボックスや、ハート型のバレンタインキャンディボックスが人気を博したためとも言われている。キャドバリーのチョコレートボックスが「バレンタイン用」と限定されていたわけではないのだが、ヴィクトリアンスタイルの美しいボックスは、さぞかし、恋のシーズンの贈りものにぴったりだったことだろう。

バレンタインシーズンのロンドンでは、バレンタインの時期は日本人が驚くほど、街中がハートやバラのモチーフ、ピンク色のイルミネーションのキラキラした光で溢れる。特にバレンタイン当日は、全ての席がカップルシートになるレストランも多く、そこでは老いも若きも、未婚・既婚も、そして異性・同性のカップルもみんながバラやハート型のチョコレート、その他贈りものを渡して2人きりで愛を語り合う…… そんな愛に溢れた日になるのだ。子どもがいる人も、この日ばかりはシッターに預けたり祖父母にお願いしたりして、2人っきりで過ごす人も多いそう。

ユーモアたっぷり、謎めいたメッセージカード

201601_ENB04バレンタインに届けられるメッセージカードはもらう人のハートにも火をつける
そして、先程ご紹介したイギリスのバレンタインに贈るカード。大きな特徴は「From の欄に、誰から贈ったかを明記しないこと」。

カードには、愛を伝える言葉を書く他に

「Happy Valentine’s Day」
など、恋人がいる人には相手が誰かピンとくる書き方をした、つまり恋人から贈られていることがなんとなくわかるものから

「Be my Valentine」ー私のバレンタイン(=バレンタイン・デーの贈り物をする相手に選ばれた恋人・特別な人)になって下さい

「From your Valentine または secret admirer」ーあなたを密かに慕う者より

といった、贈り主がわからない書き方をするものまで。
つまりこのような書き方であると、恋人がいない人はもちろん、いる人でも「もしかして、あの人がカードを贈ってくれたのかも」と人の目がしばらく気になってしまう。そんな風になんとなく、ソワソワした空気が流れるのがイギリスのバレンタイン時期の風物詩なのだ。もちろん、匿名だから贈り方も試行錯誤。知らないうちに手元に届いていたり、郵便で届いていたりと、この時期の手紙のFrom欄を見た郵便配達員の方にまでそのソワソワが乗り移ったような、少し浮ついた空気が漂いそうだ。

赤いバラを携えて、いざ愛する人のもとへ

201601_ENB05直球な花言葉を持つ赤いバラと言葉で、ストレートに愛を伝えるのがイギリス流
また、赤いバラの花束も、イギリスのバレンタイン・デーには欠かせない。生花店のみならず、街中のキオスクのような雑貨店にも一輪のバラが売りだされるようになる。赤いバラの花言葉は「I love you」(あなたを愛しています)、「Love」(愛)、「Beauty」(美しい)と女性に贈るのに、まさにうってつけ。

日本では、花屋の繁忙期はクリスマスと母の日の2シーズンだが、イギリスではバレンタイン・デーがもっとも忙しい時期かつバラの価格も高騰するというから、イギリスでの赤いバラの需要は相当なものなのだ。

恋人同士だけでなく夫婦であっても恥ずかしがらずに愛を伝えるのは、日本人にとってはある意味恥ずかしいような、羨ましいようなところ。ぜひ今年のバレンタインは、イギリスの伝統に倣って、男性側からも大切な恋人や奥さまに愛を伝えてみてほしい。きっと驚かれても、嫌がる女性はいないだろうから。


Text by K.Tateishi / 立石 郁





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