「キングスマン:ゴールデン・サークル」公開! | BRITISH MADE

BM RECORDS TOKYOへようこそ 「キングスマン:ゴールデン・サークル」公開!

2017.12.14

「キングスマン」が帰ってくる! そこで音楽を通して前作をおさらい!

圧倒的なエンターテインメント性、スピーディーかつハチャメチャなアクション、そしてブラックなユーモアで、スパイムービーに新たな金字塔を打ち立てたのが、2015年のマシュー・ヴォーン監督作「キングスマン」でした。 その待望の続編となる「キングスマン:ゴールデン・サークル」が、いよいよ2018年1月5日から公開されます。
(*ここからは前作に関する多少のネタバレが含まれますのでご注意を)

表向きはロンドンの高級テーラー。だが実はどの国にも属さない独立したスパイ機関、それが「キングスマン」。記念すべき第1作は、「キングスマン」のエース・エージェントである演じるハリー(コリン・ファース)と、彼の亡き恩人の息子であるエグジー(タロン・エガートン)が出会い、エグジーはハリーの導きでキングスマンを目指します。しかしハリーは物語中盤でまさかの戦死。ハリーの意志を継いで一人前のエージェントとなったエグジーが大活躍してエンドロールを迎えました。
彼らのスタイリッシュな英国紳士のスーツの着こなしのみならず、「キングスマン」は音楽もクールでした。劇盤を手がけたのはヘンリー・ジャックマン&マシュー・マージェソンのコンビです。このコンビは他にも「シュガー・ラッシュ」(2012年)や「キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー」(2014年)などの劇盤で知られています。
その手法は王道にして緻密。ドラマチックかつシンフォニックな旋律で物語を大いに盛り上げました。オリジナルスコアが収録されたサウンドトラック盤は現在CDが容易に入手できますし、Apple Musicなどのストリーミングでもリスニングが可能です。
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そもそもこの作品には「007」シリーズをはじめ、「国際諜報局」、「おしゃれ(秘)探偵」、「24」シリーズやジェイソン・ボーンシリーズといった、つまりはその手の映画のオマージュが随所に込められています。 実はマシュー・ヴォーン監督、「007 カジノ・ロワイヤル」(2006年)の監督候補だったことを本人が認めています。それも手伝ってなのか、この映画は、特に近年シリアスな方向性に舵を切った007シリーズのオルタナとして、プロットにも演出にも音楽にも「いまの007ではまずやれないであろう」といったアイデアがこれでもかと詰め込まれているのです。

「レイヤー・ケーキ」(2004年。しかも主演はダニエル・クレイグ!)然り「キック・アス」(2010年)然り、本作以前からマシュー・ヴォーン監督作は音楽に定評がありましたが、前作では本編随所で聴けた既存曲の使い方がこれまたクールでした。
すでに多くの解説サイトやブログが存在しますが、それらを参考にしつつ、ここでもざっと振り返ってみましょう。

ダイアー・ストレイツの「マネー・フォー・ナッシング」は冒頭で使われました。MTV至上主義への批判が込められていたこの曲は、宿敵となるIT長者の大富豪ヴァレンタイン(サミュエル・L・ジャクソン)との戦いを暗示していたかのようでした。言うまでもなくマシュー・ヴォーン監督もイギリ人。さらに裏の裏に込められたメッセージもあるのかな?と勘ぐってしまいます。
エグジーが仲間と車を盗み騒動を起こすシーンでは、イギリスのラッパー、ディジー・ラスカルによる「バンカーズ」が使われました。ストリートのクソガキだった物語序盤のエグジーの心情を表した一曲でした。
そして物語中盤のヤマ、ハリーが教会で大暴走するシーンで使われたのは、アメリカン・サザンロックの雄、レーナード・スキナードの「フリー・バード」です。南部の白人に支持されるバンドの曲が、ハチャメチャな乱闘をハードに盛り上げました。コリン・ファースも「あのシーンは音楽も含めて極めて挑戦的な演出だった」という趣旨のコメントを残しています。
さらにエルガーの「威風堂々」の使われ方もブラックユーモアもいいところでしたね。英国人第2の国歌とも言えるこの曲をバックに、本編ではヴァレンタインに仕える兵隊や彼を支持した権力者たちの首が大花火大会状態となりました(苦笑)。
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終盤、世界征服を企むヴァレンタインがパーティー会場で人類を狂わせるマシンを起動させるシーンではK.C.&ザ・サンシャイン・バンドの「ギヴ・イット・アップ」。殺し合いとパーティーソングというギャップもこの上なくブラックでした。
見事ヴァレンタインの野望を阻止して世界を救ったエグジーが、囚われの身だった王女からホットな“プレゼント”をいただくシーンでは、ブライアン・フェリーの「スレイヴ・トゥ・ラヴ」が使われました。ブライアンもまたキングスマン顔負けのダンディーなイギリス人シンガーです。
さらにエンドロールではテイク・ザットやイギー・アゼリアの曲が使われていました。様々なメッセージやブラックユーモアをはらみつつ、しかもエグジーのジェネレーションの曲とハリーのジェネレーションの曲を巧みに交差させることで、対照的な互いの世代の価値観を際立たせるというセンスは脱帽モノでした。

さて、待望の続編ですが、監督とともにヘンリー・ジャックマン&マシュー・マージェソンのコンビももちろん続投です。複数のバージョンが存在する予告編ではフランク・シナトラの「マイ・ウェイ」やザ・フーの「マイ・ジェネレーション」が使われていましたが、今回はどんな音楽と映像のシンクロマジックが実現するのでしょうか?
あ、もちろん、ファッションについても忘れちゃいけません。すでに公開されている場面スチールや予告編では、BRITISH MADEが扱うブランド、ドレイクスのレジメンタルタイを着けたキングスマンの雄姿を確認できます……と言うか、死んだはずのハリーが登場しているし!!(嬉しいけど)
どうやら今回は世界的麻薬組織ゴールデン・サークルに英国の拠点を破壊されてしまったキングスマンが、アメリカの同盟組織「ステイツマン」(笑)と共闘を繰り広げるというストーリーらしいですが、はてさて。

あ、それとステイツマンのメカニック役で、元ボンドガールのハル・ベリーが登場します。さらにホームページを見ると、何だか粗末(に字面だけでは見える)な役で、かのエルトン・ジョンがクレジットされています。これも忘れずにチェック……というか、まあ嫌でも目に飛び込んでくるのでしょう(笑)。

最後にもう一度。「キングスマン:ゴールデン・サークル」は2018年1月5日から公開です。宣伝キャッチコピーの通り「秒でアガる」はずの傑作を期待しましょう! ではまた。

Text by Uchida Masaki

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内田 正樹

内田 正樹

エディター、ライター、ディレクター。雑誌SWITCH編集長を経てフリーランスに。音楽をはじめファッション、映画、演劇ほか様々な分野におけるインタビュー、オフィシャルライティングや、パンフレットや宣伝制作の編集/テキスト/コピーライティングなどに携わる。不定期でテレビ/ラジオ出演や、イベント/web番組のMCも務めている。近年の主な執筆媒体は音楽ナタリー、Yahoo!ニュース特集、共同通信社(文化欄)、SWITCH、サンデー毎日、encoreほか。編著書に『東京事変 チャンネルガイド』、『椎名林檎 音楽家のカルテ』がある。

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