2014.10.03

井伊正紀さんに聞く「英国とシャツとタイの基本」について Q&A編

第1回セミナーでのQ&Aをお届けします。

第1回目セミナー「英国とシャツとタイの基本」を受け、井伊正紀さんがシャツに興味を持たれたきっかけや、良いシャツの見分け方とは?などさらにいくつかお伺いしました。

ー井伊さんがシャツやタイに興味を持たれたきっかけは何だったのでしょうか?
30歳代になった頃に単純にテーラード関係の製品(スーツやジャケット)に対してシャツやネクタイを意識すると言うよりは、シャツとは何か、ネクタイとは何かを単品として別々に考え始めていました。1990年頃(当時34歳)に英国製のドレスシャツに出会ったと記憶しています。最初の出会いはロンドンに行った際のジャーミンストリートにある「ヒルディッチ&キー」「ターンブル&アッサー」「トーマス・ピンク」などのシャツの専門店です。

ーまた、ブランドに興味を持たれるきっかけについても教えて下さい。
まず1つは装いの美意識をイメージで表現した素晴らしい、かつての写真広告。例えば「レノマのゲンスブールを使ったポスター」や「ダーバンのアラン・ドロンの広告」等です。もう1つは、1970年代に日本に出現した「ブティック」と呼ばれる独自の世界観を表現した専門店へ行ったことです。古くは青山の「404」、フロムファーストの「バルバス」など。

ー現在、井伊さんが使用頻度の多い、タイやシャツはどういったアイテムですか?
タイは無地のタイプ、シャツは白無地が多いと思います。

ーその中でも良いシャツの条件とは何ですか?
着用時に気持ちが高揚するシャツです。素材にハリがあり、丈夫で長持ち。そのシャツを着ようとして、クリーニングのパッケージを破ると、以前の着ていた時の良い思い出がよみがえる、そんなシャツ‥だと思います。

ー良いシャツを見分ける方法は何かありますか?
一般的に良質なコットンシャツとは生地や縫製が丈夫で型崩れしにくいものです。シャツは着用の度に洗濯を繰り返すため、粗悪なシャツでは困ります。 例えば、シャツを家庭で洗濯して、自分の手でアイロンをかけてみる。するとそのシャツの良し悪しが分かると思います。なぜなら、アイロンがけがスムースでシワなどが伸びやすいからです。繰り返しの洗濯に耐えることは勿論の事、良いシャツを見極めるならば、自らアイロンをかけてみる事をお勧めします。そして極上のシャツは手アイロンで仕上げてこそ、素晴らしい風合いになる場合もあります。

ーイギリスとイタリアのシャツの作りの違いはなんでしょう?
様々な解釈があると思いますが、イギリスは服装の実用的な側面(機能やディテール)からシャツ作りが発達し、イタリアはファッションとしてのデザインや流行(フォルム・バランスや素材、色など)を重視しながら今日に至っている、と考えられます。

ーシャツ以外で好きなアイテム、素材、ディテールなどを教えて下さい。
好きなアイテムはスーツよりジャケットで、腕時計、靴、帽子(ハット系)、ロングホーズ(丈長のソックス)、ウォーキング・ケーン(飾り杖)などが好きです。素材はフランネル(FOX)、キーパーツイード(ホイットニー&グリーン)など。ディテールはジャケットのターンナップ・カフ、靴の付属のスパッダー・ダッシーズ(釦スパッツ)です。

ーそれでは、これまでに失敗した買い物やコーディネイトはありますか?
失敗した買い物は、1976年頃に知り合いに頼んで購入した「チェルシー・コブラの靴」。 自分自身が選んで実際に試し履きしていないため、サイズが小さかったことがありました。ですが、この製品を得ることで靴への好奇心が高まる、この靴は現在では重要な資料となっています。 コーディネイトの失敗例と言うよりかは、日本の場合のドレスコードの曖昧さが問題だと、常々思っています。

ー最後に街中で見かける着こなしについてどう思われますか?
街中で見かける人々は、新鮮で生きた着こなしの実例だと思います。私の場合は興味をそそる装いの人物とすれ違うと、どうしても振り返って見てしまいます。(笑)
まず遠くから、こちらへ来る時に洋服のカラーリングやコーディネイト(トップス&ボトムス)が目に入り、その後は靴。さらにすれ違うと後方からのジャケットのシルエットや丈、スリット(サイドベンツかセンターベント)の深さをチェックする場合もあります。

次回は革小物についてお届けの予定です。


2014.09.26
Photo&Text by BM Staff

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井伊正紀

井伊正紀

1956年 東京(渋谷)生まれ 嗜好品研究家、ジャーナリストとして各種雑誌や他媒体で活動。男性スタイル重視の「リアルクロージング」、本格「紳士革靴」、機械式「腕時計」等の編集及び取材記事などを得意とする。

経歴
紳士服飾のデザイン企画(岡本英光企画事務所)、宣伝プロダクション(Cカンパニー)を経た後、各種店舗(アパレル、靴専門店)の立ち上げに関わる。その後、靴関連の企業ITCで商品企画、バイヤー、セールストレーナー、宣伝、PRに従事。やがITC退職後、衛星放送(スカパー)の局(MOT)にて部長職及び番組プロデューサーに就任、同時に雑誌編集や各種取材をベースにジャーナリストとしてのキャリアもスタート……後に独立。 現在は嗜好品研究家、及びジャーナリストとして各種媒体で活動中、主に男性スタイルを重視した「リアルクロージング」「紳士革靴」「機械式腕時計」「ジュエリー」「葉巻」「モルト・ウイスキー」「ワイン」等の取材や記事に関わる。 また、一方では企業の商品企画、セールス、マーケティング等の外部スタッフや顧問としての契約業務も行なっている。

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