2016.03.27

今季注目されるシャツ生地の種類を改めておさらい

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コーディネートを支える縁の下の力持ち。シャツはそう言い換えられる重要な存在だ。昨今はメンズスタイルの世界的なカジュアル化傾向が一層の深まりを見せ、布帛のドレスシャツではなく、デイリーないわゆるTシャツを軸とした軽快な装いが広まりを見せている。もちろんファッションはTPOに沿って組まれるべきで、なかには“寛ぎ”を優先させた着こなしがマッチするシーンもあるだろう。しかし大人ともなると休日でも誰かにバッタリ合うこともあるワケで、そういった事態まで考慮すると大人のシャツの一軍は、やはり襟付きの布帛シャツであるべきなのだ。
ご存知のとおり布帛のシャツも現在では多種多様のバリエーションにて展開されている。細部の形状やシルエットに色・柄を含めると、その数はまさに膨大。そういった外見的なデザインもさることながら、着こなすシャツ生地の種類ごとに装いの方向性を変えるのも着巧者のセオリーなのである。多くの人は無意識にそれを実践しているが、今回は改めてメンズファッションにて用いられる基本的なシャツ地のなかでも、特に今季注目すべき素材について語りたいと思う。

すべての基本となるのが
平織りのブロード生地

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基本にして真打ちとなるシャツ生地界の定番がブロードクロスだ。いわゆるワイシャツなどに使われる緻密な平織り生地のこと。滑らかで上品な光沢を備えていることが多く、高級な細糸を用いた白無地のブロードシャツは、フォーマルにも対応する品格を持つ。もちろん、糸の種類(やデザイン、織り方)によってはデイリー使用に適したブロードシャツも存在する。英国では古くからブロードもポプリンとして語られるが、日本ではポプリンよりも細い糸を使ったものがブロードと呼び区別する場合もある。多くのブロード生地は60番手近辺の糸を用いるが、高番手になるほどしなやかなタッチとなり光沢感も増していく。上質なものは海島綿やエジプト綿など、繊維の長い超長綿の80〜120番手双糸を使用する。

トラッドなオックスフォードは 日本でも知名度の高い大定番

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ワイシャツと同様に日本人に馴染みの深いボタンダウンシャツ(以下BDシャツ)。すでにBDシャツ自体もいろいろな種類を持つカテゴリーとなったが、そんな21世紀の今もBDシャツといえばアメリカントラッドスタイル黎明期に一世を風靡した、オックスフォード生地によるBDシャツが基本形だ。オックスフォード生地は名前のとおり英国が起源のコットン主体による織物。織り目にやや隙間を設けた平織りである斜子(ななこ)織りの一種で、柔らかく通気性に富み、ブロードよりもシワになりにくい特性を持つ。100番手などの細糸を用い薄手に仕上げたものを、ロイヤルオックスフォードと称する場合もある。19世紀末にスコットランドの紡績会社が、4種類のシャツ地にそれぞれオックスフォード、ケンブリッジ、ハーバード、エールの4大学の名を付けて売りだしたのが由来。

清涼感が魅力のリネンは 比較的汚れにくい特性あり

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シャツ生地に用いられる素材として特に春夏シーズンらしいものがリネンである。これは織り方の名称ではなく原料名だが、今季は特にリネンシャツやリネン混シャツが多いので記しておきたいと思う。亜麻の繊維を原料とした糸を用いて織られた生地を総称してリネン素材と呼ぶ。亜麻の原産地はフランス北部、ベルギー、ロシアや東欧、そして中国など。亜麻は通常植物体から繊維までをフラックスと呼称し、糸や生地にしたものを英米ではリネン(フランスではリンネル)と呼ぶ。吸水・発散性に優れており、独特のサラッと乾いたタッチを備えているため、シャツ地以外にはベッドシーツやタオルとして用いられることも多い。天然繊維のなかでも特に汚れが落ちやすい素材であることもポイントだ。

温かみ溢れるネル生地は 秋冬の装いにて威力を発揮

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起毛感豊かなネルシャツは、厚地ゆえに保温性も兼備することから秋冬用のシャツ地として用いられることが多い。昨今流行りのニットアウターなどの下に着込むことで、タッチの揃った装いが作り出せるのだ。ネルシャツの「ネル」はフランネル(Flannnel)に由来しており、オリジンは秋冬用のスーツ素材としても名高いウールのフラノ生地に求められる。しかしネルシャツの場合の多くはコットン製であり、平織り、もしくは綾織りの起毛させた綿織物を指す。コットンネルはよこ糸に甘撚りの太めの糸を用いて起毛させるのが一般的だ。フランネル生地自体は、18世紀の英国・ウェールズにて生みだされたとされる説が有力で、「ウエルッシュ・フランネル」の名称にて婦人用の肌着として用いられたのが始まりだ。

今、最も注目を浴びる
寛ぎ溢れるシャンブレー生地

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メンズスタイルの世界的なカジュアル化トレンドに付随して脚光を浴びているのがシャンブレーである。もちろん古くから存在する伝統的な素材だが、ここ数年はブルーを重ねるスタイルとの相乗効果も手伝って、多くのブランドからシャンブレー地のシャツがリリースされている。シャンブレーの定義は「霜降り効果のある無地調の先染織物」であり、本来はたて糸に色糸、よこ糸に晒し糸を使用した平織り物を指すが、昨今はたて・よこ共に色糸を使用し玉虫効果を打ち出したものもシャンブレーとされている。ゆえにブルーだけがシャンブレーのカラーではないのだ。ただし、昨今は折りからのインディゴやブルーのトレンドもあり、青系のシャンブレーシャツがシーンを席巻している。昨今シャンブレーシャツはウォッシュ加工など寛ぎを意識した仕上げのものが多く、ドレススタイルに仕立てられていても、絶妙なリラックス感を備えたものが多くリリースされている。

味わいを追求するなら 小柄入りのドビークロス

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シンプルだがリラックス感や柔和な味わいあるスタイルを志向する昨今のメンズスタイルのシーン。ジャケット素材も表面に個性的な素材感を持つツイードやネップ、絡み織りやメッシュ調のものが増えている。それに呼応するように、シャツの世界も素材感豊かな生地使いがひとつのトレンドとなっているのだ。そのひとつがドビー織りにて細かい柄を生地に加えたもの。ドビー織りとはドビー装置を設置した織機にて作りだされる生地のこと。たて糸の開口を任意に操作できることから、ハニカムや盛り上がった太めの畝などの特殊模様を織り込むことが可能。単純な小柄はドビー機にて表現できるが、複雑な柄はジャカード機にて生産することが多い。ドレッシーな平滑さを持つ素材としてドビー・ポプリンなども今季気にしたいシャツ地のひとつだ。

Text by T.Hasegawa / 長谷川 剛

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