2016.09.27

BRITISH SCENERY vol.3 トレンチコートと秋

今年の夏は去年に比べてアスファルトからの照り返しの強さや、もう一歩も外へなんか出られない!と思うような暑さはなかったように思う。暑いことに変わりはないけれど、まだ耐えられるぐらいの、命の危険を感じるような夏ではなかった。でも、あの夏がおとなしく終わるはずがない。これからまだ暑くなるに決まっている、と待ち構えているうちに窓外から聞こえる蝉の鳴き声が鈴虫の鳴き声へと変わっていき、気付けば夏がフェードアウトしてきた。秋が始まっているかのように思うこの頃。

さあ、やっと秋。秋冬のお洋服を楽しいと感じる人は多いのではないかと思う。早々に長袖の服に腕を通し、秋が来たことをいち早く実感したい気分なのだ。長袖を着るようになってからの次の楽しみは薄手のコートを羽織ること。春と秋、あのきちんと実感しないと着る機会を逃してしまう時期に薄手のコートを存分に楽しみたいのだ。

秋にまずわたしが着たいのはトレンチコートだ。毎年いろいろなタイプのトレンチコートが出ているけれど去年はマキシ丈のトレンチが多かったように思う。今年も比較的に丈が長めのものが多い気がする。イギリスといえばトレンチコート、と思いつくほどに代表的な老舗ブランドが多数ある。トレンチコートにチェック柄のキルトスカートを履いて、足下は革靴を合わせロンドンの町を闊歩する女の子を思い浮かべる。(きっと理想であって現実ではないけれど。)

日本ではトレンチコートと言えば割りと上品な印象のアイテムで働く女性がスーツなどに合わせて着ているきれいめアイテムだと思う。よく就職活動中の女の子がスーツにトレンチコートを着ているのが印象的だ。あまりにきれいめの方向になってしまうため、いつもそれをどう崩していくか、ということばかり考えてしまう。スウェットパンツと合わせてみたり、極力カチっとした印象を弱めたい、と思うのだ。トレンチコートは、もともと第一次世界大戦中の陸用の防寒具でミリタリーウェアとしてイギリスで誕生したそう。それならば、今年はミリタリーアイテムと一緒にトレンチコートを楽しんでみようかと思う。カーキの太いパンツやボタンダウンのサーマルTシャツと合わせてみたり、がさっとラフに羽織ってメンズライクにトレンチコートを着てみたい。セルジュ・ゲンズブールにように、トレンチコートを着て走り回ってしまうぐらいに。

瞬く間に冬に移ってしまう前に、秋をきちんと楽しむこと、が楽しみだ。

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Text&Photo by Reiko Ogino

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荻野 玲子

荻野 玲子

東京都生まれ。スタイリスト。岡尾美代子氏に師事。2013年独立。
ファッション、雑貨、インテリアと幅広く活動中。好きなものは猫と蚤の市。

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