2016.12.27

BRITISH SCENERY ニットと漁師

いつからか洋服の中でもニットが一番好きなアイテムになっていた。真夏の暑い時期から、あぁ早くニットの着る季節にならないかな、と冬が待ち遠しくなる。温かさはもちろん、編み地の柄や糸の種類、着ている過程での毛玉のできていく様も愛着が湧いて愛おしく思う。冬になると寝るときもニットを着てしまう。小学生の時に親からもらったお下がりのラルフローレンのタートルニットセーター。もう着すぎて穴が空いている箇所もあるし、糸がフェルト化しているようにも思う。それでも暖かいので冬の部屋着には決まってこれを着ている。

イギリスのニットといえばフィッシャーマンズセーターが思い浮かぶ。漁師が船の上での寒さをしのぐため、とても細かな網目でぎゅっと編まれている。船の上でもさっと被れるよう、前後どちらでも着られる作りになっている。油分をたっぷりと残したウールで編まれているため獣のような独特な匂いが最初はするのだけれど、厚さも丁度良いし身体に馴染んでいくのが心地よい。冬のはじめにクローゼットから引っ張り出してくる最初のセーターだ。

フィッシャーマンズセーター
フィッシャーマンズセーターの中でもアランセーターが特に好きだ。アラン模様の柄はそれぞれの家によって異なり、日本でいう家紋のよう。漁師の夫が海で亡くなってしまっても、セーターの柄でどこの誰なのか判別できたそう。各家庭で編み継がれていたかと思うと、気軽にファッションとして量産されたものを着ることに少し気が引けるけれど、毎年定番のような存在で多くの人に好まれているのは素敵なことだと思う。ステッチにはそれぞれ漁にまつわる意味がこめられているそう。自分の持っているアランニットを改めて眺めてみるとより愛着が湧く。
アランセーター
イギリスのニットはその土地や島の名前がそのままセーターの名前になっていることが多い。海外に行った時に、お土産屋さんの壁一面に畳まれたニットがびっしりと棚に入っていたのを見たことがある。その景色はとても圧巻で、どれか一つ自分に合うものを見つけたいなと思ったけれど、その時は選ぶことができなかった。それらは機械編みで量産されたもので、出会いのようなものは感じられなかったのだけれど、いつか本場のアラン諸島でハンドニットのセーターに触れて見たいと思っている。
ハンドニット
Text&Photo by Reiko Ogino

plofile
荻野 玲子

荻野 玲子

東京都生まれ。スタイリスト。岡尾美代子氏に師事。2013年独立。
ファッション、雑貨、インテリアと幅広く活動中。好きなものは猫と蚤の市。

荻野 玲子さんの
記事一覧はこちら

RECOMMEND