2018.04.18

マドラスチェックが生む魔法

スプリング・シーズンの到来とともに、Bruce Boyerが時代を超えて愛されるアメリカのスタイル「マドラスチェック」に思いを巡らせます。
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これまでに、綿の歴史を紐解いた書籍は何冊か出版されていますが、中でもSven Beckertの著書『Empire of Cotton』(2014年、Vintage Books刊)は、非常に優れた作品です。Beckertは、古代から現代に至るまで、国際的な日用品として重要な役割を果たす綿の歴史を入念に辿り、世界随一の製造業を構築するために、ヨーロッパの企業家や権力ある政治家たちが、いかにして帝国の拡大とテクノロジーを先導してきたのかを合理的に解説しています。

ここで多くの事実や数字を説明する必要はないと思いますが、あえて言うならば、16世紀にヨーロッパが世界の綿ビジネスを組織し始めたことに起因しています。Beckertはそれを「グローバル経済の融合に向けた大きな一歩を踏み出し、形成と再形成を続けながら今日の世界を方向づけた」と述べています。1621年という早い時期から、英国の東インド会社は、毎年およそ5万ピースもの綿布をインドから英国に輸入していました。そしてその数は、50年間で50万ピースへと成長を遂げました。以降、インドの手織り産業は堅調に成長し、驚きを与えました。20世紀半ばまでに、インドは年間約60億ヤード(約54.8億メートル)の綿織物を生産し、その半分は約500万台の手動の織り機で製造されていました。インドの国旗の中心にデザインされていた象徴的な糸車は、非常に深い意味を持っているのです。
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綿織物は4000年以上に渡り、インド亜大陸で紡がれ、織られ、染められてきました。そして、インドでは今もなお「ホワイトゴールド」と呼ばれる綿花の、世界最大規模の生産国として知られています。多くのインド綿は「マドラス」(輸出の歴史における主要都市の名に由来)と呼ばれています。伝統的な手織による軽量で良質な先染めのコットンは、無地やストライプ柄、チェック柄のいずれかに織られます。もともとは、色が安定せず色移りしやすい天然染料で染められていたのですが、生地を洗うたびに新たな色に変化するというコントロール不能なものでした。そのため今日では、より安定した染料が使用されています。布そのものは美しく、絹のようにやわらかい肌触りでありながら、他の薄く織られた綿や、緩やかに織られた綿よりもはるかに頑丈なため、洗濯に強いのが特徴です。
20180418_two_The_Magic_of_Madras Navy Linen Overshirt ¥36,000
Madras Check Regular Fit Cotton Shirt with Button Down Collar ¥23,000
Single-Breasted Madras Check Cotton Jacket ¥245,000
White Oxford Regular Fit Shirt with Button Down Collar ¥23,000
*ドレイクス銀座店にて取扱
マドラスは、1950年代のアイビースタイルに欠かせない要素となりました。淘汰されたはずの生地がファッションの流行となり、ネクタイからズボン、シャツ、スポーツコート、ボクサーブリーフ、帽子のリボン、腕時計バンド、ベルト、ウォークショーツ、ディナージャケットやスポーツ用サポーターまで、ありとあらゆる夏のアイテムに使われていたのです。こうして大量に生み出されたスタイルは、後に少し大げさなものとして見なされ、1960年代から70年代にかけて起きたデニムブームが、長期にわたってマドラスの勢いを抑える形となりました。しかし、クラシックスタイルを好む人々はマドラスを胸に刻んでいたのです。そして今日、マドラスは極めて洗練されたスタイルで、夏のワードローブの必須アイテムとして然るべき場所に戻ってきました。例えば、ジーンズやカーキパンツ、ボタンダウンやポロシャツ、ネクタイやノーネクタイに合わせるなど、さまざまな着こなしができるパッチワーク・スポーツジャケットはその代表格と言えるでしょう。活気ある着こなしの旅を提供してくれるマドラスは、「幸福とは旅の目的地のことではなく、旅の仕方のことである」ということわざを証明するアイテムなのです。

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Drake’sのフルライナップはドレイクス銀座店(ブリティッシュメイド 銀座店に併設)にてご覧頂けます。



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