2015.04.23

Little Tales of British Life 英国の学生の恋愛事情

プライバシーの少ない学生生活の中では、秩序や人間関係に影響すると考えると、一時的な恋愛感情だけでそうそう簡単にくっついたり離れたりは出来ないのですね。

英国の寄宿学校時代から、クリスマス、イースター、そして夏休みなど3週間を超える長期休暇ともなると、我が子らも友達、あるいは親しい異性の友人を連れて外国に棲む親元に舞い戻って来たものです。セカンダリ・スクール(11~18歳)時代から寄宿生活しているので、特に仲良くなった子どもたちの友人たちとは、家族付き合いに発展することもあります。

息子が11歳でパブリック・スクールに入学した頃の誕生会の様子。息子以外は富裕層の子どもたちで、4歳から始まるプレップスクール(パブリックスクールの付属校)の頃からのクラスメート同士。この頃からずっと仲良しの関係が続いていて、皆現在はオクス・ブリッジなどの各学部でトップの成績を収め、将来の英国の頭脳と言われる青年へと成長しています。

特に、英国では異性の友人が出来ると、割とすぐに互いの親を紹介し合います。サンデー・ローストやクリスマスのディナーに招くこともあるのです。我が子らの場合は、我ら夫婦が英国から離れた外国に棲んでいた期間も長いので、3,4日間だけ強制的に寄宿舎から締め出されてしまうExeat(エクシアット)の際には、仲良しの(異性の)友人宅に寝泊まりさせてもらったり、病気になれば、その親御さんには後見人のように面倒を見て貰ったりすることもあるわけです。

息子の友人の弟。プレップスクールの生徒だった頃の画像。彼は今やイングランド学生代表のラグビー選手で、パブリック・スクール在学中から相当のモテ男だったそうです。運動や勉強の能力、性格の良さというのは、国を違えることなく、モテるために欠かせぬ普遍的、且つ基本的な三要素でしょうか?

一方で、同じ学校の中で数年間一緒に過ごすわけですから、プライバシーの少ない学生生活の中では、秩序や人間関係に影響すると考えると、一時的な恋愛感情だけでそうそう簡単にくっついたり離れたりは出来ないのですね。我が子らの6年間以上に及ぶセカンダリ・スクールの寄宿生活と3~4年間の大学生の時代には、付き合う相手の入れ替わりの機会には上手く立ち回って来たようで、最良のソリューションとして、別れた後でも友人としての関係を続けています。

恋愛のきっかけとなる場は、男女混合の課外活動が圧倒的に多いようです。娘は王室学生連隊(RCCF : The Royal Combined Cadet Force)の空軍部隊に属していた頃、連隊50名の総指揮を執る一歳年上の上級生と仲良くなっていました。

大学に進学して、それぞれが別の大学ともなると、セカンダリ時代からの付き合いはしばらくして破局を迎えるのが一般的なパターンです。英国の大学は地方に分散していますので無理からぬことかもしれません。インターネット無料電話の時代になっても、学生にとって遠距離恋愛は難しいのでしょうか。夫婦間でも、単身赴任などで3か月間以上別居していると、互いの心が離れがちなるとは、よく言われることですしね。

どの学校でも年に何回か、生徒によってドラマも上演されます。お世辞にも上手いとは言えませんが、親としては子らの成長と成果を確かめに観に行く機会になります。心から俳優になりたいなど、純粋なモティベーションがある一方で、レッスンが厳しくても「憧れのあの人」と一緒に居られる大事な時間であったことは、後年最高の思い出になるのでしょうか?

一般的には「大学が別々になったら、どうせ別れちゃうんでしょ」と、自分の子が高校時代の時分にはその異性の友人をないがしろに扱う親もいます。一方で、自らの子にそのような本音も言えずに、悶々として異性の友人をしぶしぶ迎え入れる親も少なくありません。我が家の場合は、先方のご両親には息子や娘が世話になっているし、見守るかしかないと考えていました。

ところで、我が息子の歴代のGFに会って来た義母(英人)が面白い反応をしていました。「この前のあの娘が一番良かったのにね」もちろん、息子に義母のこの言葉を伝えるわけには参りませんが、ちょっと疑問が湧きました。義母は娘の結婚相手になるやも知れぬ日本人の男を、当時はどう思っていたのだろうか…? また、同時に、本来は妻の家族とはまったくの他人であったのに、今やこの英人家族と価値観を共有しているのだな、と確認する一言でもありました。
友人のジェンダーについても英国らしさを感じます。同性愛者(ゲイ)でも普通に娘や息子の普通の友人の一人であったりします。「彼 / 彼女はゲイだけど、大事な友達なんだ」と我ら夫婦の赴任先まで遊びに連れて来たこともあります。それはゲイとして、且つ普通の友人として尊重するべきだという示唆でもあります。

2005年から英国では同性婚が認められています。それ以前は同性愛自体が犯罪でした。「僕は我儘な人生を送っているから、何事も控えめにするべきなんだ」という発言を親しくしていた友人の口から聞いて、厳しい英国社会で暮らす彼を気の毒に思い、「いつか世の中は変わるさ」と励ます時代もあったわけです。

2014年からは在外英国総領事館でも同性婚の登録が可能になりました。
https://www.gov.uk/government/news/introduction-of-same-sex-marriage-at-british-consulates-overseas.ja

今のところ、我が子らはヘテロ(異性愛者)ですが、人生は何が起きるか判りません。高校生、大学生、そして社会人へと歩を進めるに当たって、それぞれの時点で彼らが最も愛する人物を紹介されます。どんな人物であっても、親としては受け容れていくだけですね。30年前に英人のGFを紹介して、親をビックリさせたのは私自身でもありますから。

注)セカンダリ・スクール(11~18歳の学校):
パブリック・スクール(有試験で入学する私立の伝統校、インディペンデント・スクールとも言う)
ボーディング・スクール(寄宿学校)
英国にはこれら3つの要素がすべて一緒になっている学校も多数あります。



2015.4.28
Text&Photo by M.Kinoshita

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マック 木下

マック木下

ロンドンを拠点にするライター。96年に在英企業の課長職を辞し、子育てのために「主夫」に転身し、イクメン生活に突入。英人妻の仕事を優先して世界各国に転住しながら明るいオタク系執筆生活。趣味は創作料理とスポーツ(プレイと観戦)。ややマニアックな歴史家でもあり「駐日英国大使館の歴史」と「ロンドン の歴史散歩」などが得意分野。主な寄稿先は「英国政府観光庁刊ブログBritain Park(筆名はブリ吉)」など英国の産品や文化の紹介誌。

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