2017.11.03

バス、ときどき地下鉄~英国ヴィンテージな旅へ ヴィンテージ・カレンダーで日々を変えてみる

20171102_calender_012
毎日、日にちを何で確認しますか?
カレンダー、時計、スマホ、手帳、などなど。

日本でカレンダーというと壁かけの紙ものや、机に置く月めくりなど、その年だけ使えるタイプがほとんどです。イギリスのアンティークマーケットを歩いていると、よく見かけるのが万年カレンダーです。ある特定の1年のカレンダーもたまに見かけますが、大体が万年タイプ。アンティークやヴィンテージで見つけるものは、なるほどずっと使えるものが残っていくものなのだと気づきました。

この万年カレンダー、いろいろなタイプがあって、実に興味深いアイテムです。マーケットで目に入るとついつい近寄って触ってみます。造りが気になるんです。どうやって万年にしているのか。これがポイントです。買い付け時には、必ず幾つかのカレンダーを手に入れます。

今回は、当店コレクションより3つの万年カレンダーをご紹介します。

馬具カレンダー

20171102_calender_001 馬具の鐙(あぶみ)がうまく使われています
乗馬の時、足をかける馬具で、「鐙(あぶみ)」と呼ばれる馬具を使ったカレンダーです。サイズ的におそらく本物の馬具ではないでしょうか。ここにパーツを加え、見事に万年カレンダーに仕上げています。馬モノの中でも特に馬蹄モチーフのものは縁起が良いと言われており、アクセサリーやヴィンテージ雑貨でよく見かけます。馬蹄ではないこのカレンダーは、むしろレア感があるかもしれません。

これは、月と日にちのそれぞれのパーツを組合せるマンスリータイプです。月は1枚のプラスチックシートに両面の上下、4ヶ所に印刷され、計3枚。日にちは1日(ついたち)の曜日が日曜から土曜までの7パターン。それを両面に印刷し、計4枚(1枚だけ片面のみ)。この7枚のプラスチックを組合せて万年カレンダーとなります。とてもミニマルです。
20171102_calender_005 左:月と日にちのプラスチックのパーツ 右:各々の裏面、1年間使えます
アーリープラスチックのシートはエイジングしており、ヴィンテージ感のあるやけた色がとてもいい雰囲気です。取り付けられている革は2枚の本皮が貼り合わさり、裏にはしっかりと「MADE IN ENGLAND」の刻印。白いステッチがライトブラウンの革、シルバーカラーの鐙と相まって存在感があります。
20171102_calender_011 左:2枚の厚い革の貼り合わせ 右:革・裏面の文字「MADE IN ENGLAND」

Punchカレンダー

20171102_calender_009 古い文字フォントで存在感のある広告カレンダー
あまり数は出てこないタイプの広告カレンダーです。メーカーはCALENDOXという会社で、正面に広告が入るノベルティカレンダー。「Punch」という文字が入っていますが、これはおそらく1841年創刊のイギリスの雑誌です。Punchは1992年にその幕を閉じる(1度復刊するも2002年に再び廃刊)のですが、ヴィンテージ系のアイテムで魅力的な紙モノを探すとき、必ずこの雑誌に出会います。風刺漫画誌として有名ですが、年代を感じさせるファッション広告に私は惹かれます。
20171102_calender_008 左:模様が美しいベークライトとロゴ 右:1937年4月28日発刊のPUNCH
どっしりと深みのあるマーブルブラウンのベークライトとメタルの組合せ。そしてやけたプラスチックと古い文字フォントが独特の存在感を醸し出しています。正面のノブを回して、赤い丸を今日の日にちに合わせます。中の造りはシンプル。月と日にちが分かれていますが、それぞれ1つのパーツのみ。月は裏から指で回して合わせます。日にちは紙が1枚入っており、両面に7パターンの印刷があります。これを月によって入れ替えるわけです。
20171102_calender_010 左がプラスチック製の月、右が紙製の日にちのパターン
興味深いのが、この7パターンが印刷されているところにある説明部分。「〜年の〜月は、〜番のテーブルを入れてください」とあるのですが、ここに1932年から1936年の例が書かれています。そこで思いました。

「ん? するとこのカレンダーは、実際に使い始める1932年の前年に出来たのでは・・・?」

このカレンダーの製造年は1931年。きっと間違いありません。そしてこんな風にヴィンテージアイテムで製造年が特定できることは、とても価値があり、ワクワクする瞬間です。
20171102_calender_002 説明書き部分に1932~1936年の月ごとに使うテーブルナンバーが印刷されています

Strattonカレンダー

20171102_calender_007 デザイン性のある横幅11cmのコンパクトなカレンダー
3つの中ではいちばんコンパクトサイズのカレンダーです。動作はダイヤル式で、曜日・日にち・月を独立した4つのダイヤルで回し送ります。このタイプのものを日々変えるのはとても楽しく、当店売り場でもお子さんから大人まで皆さんニコニコしながら回していらっしゃいます。

背面にブランド名「Stratton」と「MADE IN ENGLAND」のエンボス加工の文字が見えます。「Stratton」というブランドは、1940〜50年代のレディースのコンパクトやメンズのタイクラスプなどでよく見つけることができ、アクセサリー小物に強いブランドです。それ故このカレンダーを見つけた時は少し意外な気がしまして、とても希少性があると感じました。おそらく同年代1940〜50年代のものと思われます。
20171102_calender_004 「Stratton」「MADE IN ENGLAND」のエンボス文字
特徴は、台座部分のラウンドデザイン。このタイプのカレンダーでは、直線ラインで作られているものが多く、この丸みがとにかく目を引きつけます。そして全体のカラーであるプラスチックの黒と差し色になっているダイヤルのブラス色。この組合せがとても映える、デザイン性の高い一品です。アクセサリー小物を扱う「Stratton」ならではのカレンダーと感じました。
20171102_calender_006 丸みを帯びた台座で全体の雰囲気は柔らかく、黒とダイヤルのブラス色のコントラストが見事
このサイズはとても便利で置く場所を選びません。このカレンダーを一つ置くことで、その空間全体にデザイン性を感じるクリエイティブなスペースにもなる、私にはそんな魅力が感じられます。

ヴィンテージは日々触れるモノから取り入れる

ところでアンティーク・ヴィンテージアイテムに興味がありながらも、手に入れることに二の足を踏んでいる方もいらっしゃるかもしれません。古いモノだから壊れてしまわないか不安、人の使ったものだからやや抵抗がある等々。現代ものでも丁寧に扱うことで長く使うことができるので、昔のものも同様に扱っていただければ問題ありません。またヴィンテージ品には、使ってきた方たちの温もりが加わっていると思うので、そのバトンを受け取るという気持ちがあれば良いのかなと考えています。

そして日々触れることができれば、モノとの距離はよりグッと近づいてきます。そういう意味では「時間」にまつわるヴィンテージから入ると、生活の中で触れる機会が多くなりますね。アンティークウォッチをしてみたり、ヴィンテージのクロックをリビングに置いたり、今回ご紹介したカレンダーを机に据えてみたり。現代には見ないデザインのものを取り入れることで、コーディネート全体、部屋の雰囲気、机周りになんとも言えない奥行き感が出てきます。ぜひトライしてみてください。

ふと気がつくと今年はあと2ヶ月。既に手帳を買われた方もいらっしゃるのではないでしょうか。そんな「時」を知るアイテムとしてのカレンダー。2018年、ヴィンテージの万年カレンダーが佇むあなたの部屋を想像するのは、少し楽しいかもしれません。

ギャラリーイベント「イギリス便II」
当店と、ヴィンテージ陶器「smooth –British Retro and Craft-」さんの2店でマーケットを行います。ビスケットと紅茶をご用意してお待ちしておりますので、どうぞお友だち・ご家族といらしてください。

「イギリス便II ~ヴィンテージ雑貨と出会う旅~」
http://aharmonics.exblog.jp/237930565/
2017年11月17日(金)~19日(日)
11:00~20:00(最終日は10:00~17:00)
代々木上原 ギャラリー Do Progetto
〒151-0064 東京都渋谷区上原1-36-14(代々木上原駅 東口より徒歩1分)
Text&Photo by Toshihiko Tomizawa

plofile
富澤利彦

富澤利彦

靴・服好きが高じ30代に初めて渡英。以来、会社員時代はずっとブリティッシュスタイル。ファッションから広告・雑貨にも興味は広がり、2016年から妻が始めた「Antiques Harmonics」に本格的に参加。新旧の英国モノを毎日楽しむ日々を過ごしています。

Antiques Harmonics
(アンティークス・ハーモニクス)

いつものファッションを“背伸びしないで新鮮に変える”Men’s/Ladies’アクセサリーをはじめ、企業ノベルテイ、ステーショナリー、レアな鉄道・Royal Mailグッズまで幅広くセレクト。「イギリスらしい/デザイン性がある/くすっと笑える」そんなココロを豊かに満たしてくれるアイテムたちを探し当てては、マーケットや蚤の市、イベントで販売しています。皆さまとお会いできることを楽しみにしております。
http://aharmonics.exblog.jp/

富澤利彦さんの
記事一覧はこちら

RECOMMEND