2015.11.04

London Yarns LondonからのDay(s) trip その5 The Burren

「美しい秋の風景を見にいらっしゃいませんか?」夫の元にアイルランドの友人から素敵なお誘いのメールが届きました。寒くなる前にどこかへ自然を楽しみに行きたいなぁと思っていたので、迷うことなく「行きます!」とお返事しました。

私たちが向かったのはアイルランド西側にあるThe Burrenという場所です。よく行くイギリスのノーフォークまでより短い時間で(ヒースロー空港から1時間15分のフライト)行ける、とても近い外国です。
Burrenというのは、アイルランドのことばで「巨大な岩」を意味します。着いたのが夜だったので、空港から友人宅までの風景はよく見えなかったのですが、次の日になってその名前の由来がはっきりとわかりました。

雨が多いと言われるアイルランドですが、翌朝はきれいに晴れていたので、みんなでハイキングに出かけました。そこにはこれまでに見たことのない不思議な風景が広がっていました。見渡すかぎりの岩、岩、岩…。その岩に大昔の氷河が作った割れ目がいくつもあり、その割れ目に繊細な植物が生えています。まるで自然の作った盆栽のようで、そこだけ切り取って、持って帰りたいようなかわいさです。

20151104_main1この岩山のてっぺんを目指して歩きました。
20151104_main2このような窪地がいくつもあります。氷河が地下に作った洞窟が崩れ落ちて、こんな地形になったそうです。
20151104_main4大きなひびの入った大きな石灰岩が続きます。平らなので、歩きやすいです。
20151104_main3岩の割れ目の中にはかわいらしい小さなお花が咲いています。

もうひとつ、この地域独特のものが、何キロにも渡る石で作られた塀です。この塀は、領地の境界線であったり、家畜が逃げないようにするためだったりと、さまざまな目的で作られているそうですが、中にはなぜこんなところを円形に囲っているのだろう…というような不思議なものもありました。気の遠くなるような作業を経て作られた塀が、長い月日を経た今でもきれいに残っているのは本当にすごいです。

20151104_main5領地を囲むように建てられた石の塀。
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20151104_main7私たちを見て近づいてきた馬たち。色々な柄や色が面白いです。

夫の友人のご夫妻は、こんな美しい自然の風景の中にある素敵なPerfumery(香水を作って売っているところ)を営まれています。最初は従業員として働いていらっしゃった奥様が、働くうちに香水や香料のことに興味が湧いてきて、これを一生の仕事にしようと思い、以前のオーナーさんが引退するときに全てを買い取ったそうです。

創設当時の1972年には香水だけを作っていましたが、今は石鹸、ボディーローション、クリームなども作っています。どの製品にも共通するのが、自然の原料を使っていること、そして、製造はもちろん、瓶詰や包装に至るまで、ここでひとつひとつ手作業で行われていることです。

20151104_main8石鹸の原料と香りづけのアロマオイル。これらを煮溶かして、型に入れ、裁断機で同じ大きさに切って乾かします。全て手作業で行われています。
20151104_main9出来上がった石鹸を包んでいるところ。日本の包装が美しいと思い、参考にしたそうです。
20151104_main10香水や石鹸に使われているハーブがどんな姿をしているのか知ってもらいたいと設けられたハーブガーデン。

実際の香水を色々と試させてもらいましたが、この土地の自然と季節をイメージした、つけているだけで穏やかな気持ちにさせてくれる、優しい香りが印象的でした。

20151104_main11アンティーク瓶が飾ってある素敵なお店の中。実際に作っている方から香水について丁寧に説明してもらいました。

この場所の果たしているもうひとつの役割は、人々の憩の場です。敷地内にはカフェがあるので、遠くから香水などを買いに来たお客さんたちに混じって、地元の人たちや、ハイキングやサイクリングに来た人たちもお茶やランチを楽しみながら、会話を交わしているところを毎日見かけました。

20151104_main12カフェの外観。
20151104_main13パンもケーキもすべてここで作られています。材料から調味料に至るまで全てオーガニックで、できる限り地元産のものを使っているそうです。
20151104_main14テーブルにもレジにも庭で育ったお花やハーブが飾られています。
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The Burren Perfumery
初めてのアイルランドには、イギリスの郊外とはまた違った、ケルト神話の世界がまだそのまま残っているような神秘的な美しさがありました。イギリスにいらっしゃる機会がおありでしたら、ぜひアイルランドにも足を伸ばしてみられることをお勧めします。

20151104_main16昔のお城が廃墟になったもの。この辺りはおとぎ話に出てきそうな古城がたくさんあります。
20151104_main17この湖は夏になるとすっかり枯れて無くなって、秋になると現れるので、アイルランドの言葉で「幻の湖」と呼ばれています。こういう自然の移り変わりを見ると、ケルト神話の世界が本当にあるような気がしてきます。
20151104_main18ちょっと面白いものをご紹介。墓石を岩から切り出したものの、重くて運べなかったのか、そのままになっているそうです。

私もアイルランドで作られている糸をネクタイに使用しています。
以前から大好きな糸ですが、実際にその風景の豊かさを目にして、ますます親しみと愛着が湧きました。次にアイルランドに行く時には、その紡績所を訪ねてみたいと思っています。


Text&Photo by Amesbury Kae


plofile
アムスベリー 加恵

アムスベリー加恵

ロンドン留学中にヴィンテージウエアを販売する「Old Hat」ロンドン店でアルバイトをしたことをきっかけに、紳士服に興味を持ち始める。職人の技を身近に見る機会にも恵まれ、英国のクラフツマンシップにも刺激を受ける。カレッジを卒業後、いったん帰国。結婚を機に2012年10月に再渡英、現在ロンドン在住。
夫に作ったニットタイが好評で、夫の友人たちから注文が相次ぎ、2013年11月にオーダーメイドの手編みニットタイを販売する「Bee’s Knees Ties」を立ち上げる。

Bee’s Knees Ties
ロンドンを拠点に、オーダーメイドの手編みのニットタイを制作、販売しています。
色はもちろん、ステッチや結び目の大きさ、長さや太さなど、お客様のお好みをおうかがいお伺いしてから、1本1本、手で編みあげます。素材にもこだわり、大量生産の糸にはない魅力を持つ糸を探し求め、何度も試作を繰り返した後に、品質が良く、ユニークで、長く愛用していただける糸だけを採用しています。手編みならではの親しみやすい風合いが、スーツだけではなく、ニットウエアやツイードにもよく合い、日常の色々なシーンでお使いいただけます。
ロンドンではサヴィル・ロウのテーラー「L G Wilkinson」にてお取り扱いいただいております。
facebook.com/bees.knees.ties

現在、BRITISH MADE青山本店にてオーダーを承っております。また実際にいくつかお手にとって店頭にてご覧頂けます。詳細はお気軽に店頭スタッフまでお訪ね下さい。

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