2017.09.26

英国クリエイティブの窓  時代を切りとる企画展が魅力、ロンドンのデザイン・ミュージアム

前回、デザイン・ミュージアムを取り上げた後にツイッターやインスタグラムを通してコメントやメッセージをけっこういただいた。写真を見て行ってみたいと思ってくれた方もいれば、「素敵な場所ですよね」と同意してくれる方もいて、おおむねポジティブな反応でした。というわけで力を込めてもう一度言います。デザイン・ミュージアムはロンドン観光の最初に行くのがオススメです!(詳しくは前回の記事「イギリス観光はデザイン・ミュージアムのあとで」をご一読ください。)
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さて、前回はデザイン・ミュージアムの常設展について取り上げたので、今回は企画展について。

企画展はだいたい半年に一回のペースで新しいものが催されていて、その度にけっこう注目を浴びる。現在は「California: Designing Freedom」というタイトルで、なかなか好評を博しているようだ(2017年10月17日までの開催、大人16ポンド)。 僕自身も実際に行ってきて、そのキュレーションに感動した。コンセプト自体は「カリフォルニアのコンテンポラリーデザインを見せ、その影響力の大きさを実感する」という至極シンプルなものだが、ディスプレイされたプロダクトの数々がどれも秀逸なのだ。よくもここまで集めたな、と(後述するが、Googleのラリー・ペイジが使っていたスツールまで!)。
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で、ここでこの企画展について詳しく書いていきたいのだが、なにせ本連載は「イギリスのデザイン」がテーマだ。カリフォルニアのデザインを礼賛して終わるわけにはいかないので、僕なりに西海岸とイギリスの影響関係について仕事をしている中で感じたことから先に触れておきたい。

ご存知のように、アメリカ西海岸の影響は今や世界中どこにだって見られる。デザイン・ミュージアムがこの企画展のコピーとして「カリフォルニア・デザインは、新しいメイド・イン・イタリーだ」と言っているように、もはや人々の生活に浸透してメジャーなものとなっている。アップル製品はその象徴といってもいいのではないだろうか。

そして、イギリスにおいてもカリフォルニアからの影響は決して小さくないと思う。とりわけロンドン。僕自身の仕事に引きつけて考えると、「ロンドン・テックシティ構想」はその好例だ。これは、2010年10月に「アメリカのシリコンバレーのライバルになる」という目的のもとスタートした行政肝いりのプロジェクト(詳細は以下、英国政府のサイト内記事 PM announces East London ‘tech city’)で、背後にはロンドン五輪後のレガシーを有効活用したいという意図があった。実際、オリンピックスタジアムのある東ロンドン(特にオールドストリート周辺)がこのプロジェクトの中心地となって、多くのテクノロジー企業(主にスタートアップ)が誘致されてきた。このプロジェクトはなかなか成功していて、グーグル・キャンパスなどもやってくるなど随分活性化しているのが現状だ。

細かいことはまた別の機会に譲るとして、西海岸のカルチャーは、ビジネス、ワーキングスタイルを通してロンドンに影響を与えているということを仕事を通してビンビン感じる。僕自身、日本でもトレンドになりつつあるコワーキングスペースにオフィスを構えているけれど、他の入居者のほとんどがMacBookだし、使っているコミュニケーションツールはSlackだし(もともとカナダの会社だけど)。これだけ働く環境が西海岸化してきたら、デザインのレベルでも影響が及んでいるはず、というのが僕の見立てだ。だから、デザイン・ミュージアムがこのタイミングでカリフォルニアのデザインをテーマにした企画展を催すのも時宜を得ていてうなずける話だと思うのです!

さて、話を企画展の内容に戻す。ここからは写真を中心にサッと紹介しようと思う。

まず感動したのがiPhoneのプロトタイプ。こんなものが見られるだなんて!初代からもう10年以上が経ち、隔世の感。
20170926_prototype
次にGmailのデザイン。これを見ない日はないほどで、もう当たり前のデザインになっている。気にならないくらい生活に溶け込んで初めてグッドデザインと言えるのかもしれない。
20170926_gmail
スナップチャットのスマートグラスも。グーグルの(失敗した)スマートグラスより、やっぱりデザインがいいように思えてくる。
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それから、これが冒頭に触れたラリー・ペイジが使用していたスツール。これに座るといいアイデアが浮かんだりするのだろうか。
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近未来感があってワクワクしたのが、デザインシンキング・ファームIDEOが開発した投票ブース。ユーザーの使い勝手を徹底的に考慮している。
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おなじみ雑誌WIREDのグラフィックデザインも。雑誌の表紙には世相やカルチャーが滲み出るものだと思う。
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最後にWaymoの自動運転車も。
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紹介し始めるとキリがないのでこの辺で。これだけ見ても、カリフォルニア・デザインとテックビジネスの関係はかなり深いと思う。

といったわけで、デザイン・ミュージアムでは常設展のほか企画展も存分に楽しめるキュレーションになっている。しつこいようだが、とってもオススメなので渡英の際にはぜひ訪れてみて!


Text&Photo by Ishino Yuichi

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Ishino Yuichi

Yuichi Ishino

ロンドン在住。放送局、出版社、大手Webメディア編集部マネジャーを経て、日本のデジタルプロダクション/エージェンシー「TAM」のイギリス子会社「TAMLO」代表。企業に向け、ウェブメディアの戦略コンサルティング、SNS施策、デジタル広告の運用、コンテンツの制作などを日英両言語でサポートする。欧州におけるデザインシンキング・セミナーも主催。好きな英国ドラマは『フォルティ・タワーズ』。ウィスキーはラフロイグ。

Website: www.tam-london.com

Twitter: twitter.com/ishino_uk

Instagram: www.instagram.com/ishinoyuichi

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