2017.11.23

ブリティッシュ“ライク” ヨーロッパ満喫日記 エディンバラ篇

初めて降り立ったスコットランドの印象は、寒いの一言に尽きた。私事だが、結婚式を経て、その足でスコットランド〜イングランド〜フランスの3カ国をおよそ2週間で周遊する、いわゆる新婚旅行に出かけた。旅程をもう少々具体的にすると、シャルル・ド・ゴール(以下CDG)経由でエディンバラに入り、レンタカーで湖水地方を経由しロンドンまで移動。最終目的地パリまではユーロスターで訪れ、再びCDG から帰途につくといった内容だ。

実は、このルートや移動方法が、スコットランドの入国審査官の目に留まったのか、えらく時間を食うことになった。「スコットランドへ来るのは初めてか?」「はい」「なぜヒースローを使わずに移動しようとする?」「結果こうなってしまったんです」「初めて訪れるのに車で移動するのはなぜか?」「それは…」このような押し問答が数十分続いたのち、ようやく入国許可のスタンプがパスポートに押された訳である。容姿や人相の悪さが祟ったのかもしれないが、古今入国審査がこれほど厳しかったのはスコットランドが初めてである。

最初に訪れた都市エディンバラは、スコットランドの首都である。平たく言うとオールドタウンとニュータウンの二つのエリアに分かれ、世界遺産にも登録されている町だ。補足すると、ニュータウンと言っても18世紀以降の都市計画によって造られた町なので、その歴史の古さには驚かされる。数世紀前から建っている建築物の群々にごく普通に人が生活している姿は非常に印象的だった。また、町がコンパクトで、数日もあればおおよその町の構図は把握することができるのも魅力的だ。しかし、見上げれば溜め息が出るような美しい建築物が連なる反面、下を見れば捨てられたタバコ、犬のフン、吐かれた唾、これらが異様に目立ちとにかく残念でならなかった。

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さて、この旅でこだわりたかったことの一つは滞在するホテルだ。旅館やホテルといった類が好きだからである。ゆえに、基本的にこの旅では宿泊先を日替わりとした。妻は悲鳴を上げたが、せっかくの機会なので定宿を設定するのは数回目以降からで構うまいと丸め込んだのである。初日に滞在したのはThe Scotsman Hotel。かつてはスコッツマン新聞社の社屋として使用されていた建物だ。無論朝に配られる新聞はThe Scotsmanである。荘厳な外観に負けず、内装も年代を感じさせる家具などで統一されていた。室内の巨大なカーテンやヘッドボードには、Johnstons製のツイードがあしらわれており、しっかりとした力強い肌触りの感触は鮮明に残っている。
2日目は初日よりさらに冷え込んだ。確か気温計は3℃くらいを指していたはずだ。式を終えた直後に旅行に出るという強行日程にした結果、十分な準備が整わず、マフラーや手袋はおろか、コートすら持参し忘れこの地に降り立ってしまったのである。あまりの寒さにBarbourに駆け込み、気恥ずかしいが、夫婦揃ってジャケットを購入することになった。そういえば、Barbourというとオイルドジャケットのイメージが先行すると思うが、エディンバラの店舗ではそれ以外のカジュアルウエアの展開が多数を占め、日本との違いに驚いた。また、レディースウエアの扱いも多い。日本で目にする物は切り取られた一部であり、その実情を間近で見ることができたのは貴重な体験となった。

この日は市内観光に時間を割いた。スコットランドにおける英国王室の宮殿として現在も使用されているホリールードハウス宮殿、サー・ウォルター・スコットを記念して建てられたスコット・モニュメント、さらには小高い丘からエディンバラが一望できるカールトンヒルや、町のシンボルでもあるエディンバラ城。この日歩き回って気づいたことは、町中での広告が少ないことだ。これはエディンバラが洗練されている理由の一つして挙げられるのではないだろうか。町のいたるところに広告がある都心とは異なり、首都であるとは言え、エディンバラでは広告を目にすることができる場所は限られていた。中世や近世の趣を残す一画に、現代の広告が散りばめられてしまってはあまりにも不釣り合いだろう。しかし、それは意図してそうなっているのか、制限されているのかは定かではない。

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この日の滞在先はThe Balmoral Hotel。North Bridgeを挟んで、先述したThe Scotsman Hotelの真向かいにあるホテルだ。後から知ったがJ.K ローリングが「ハリー・ポッターシリーズ」の完結篇を完成させたのはこのホテルの552号だったそうである。
記載したいことが余りにも多く、なかなか登場しなかった話題だが、エディンバラの食事は素晴らしかった。“英国の食事は不味い”というレッテルは真っ赤な嘘だと思う。食事した場所によって多少の差はあるが、少なくとも不味いと感じた場所は皆無だった。例えばハギスにしても、レストラン、パブなどによってそのアレンジがまったく異なっており、味だけでなくビジュアルも含めて食欲を満たしてくれる素晴らしいものだった。それから、紅茶に関しては無論のこと、コーヒーショップもエディンバラにはちらほら見られた。そして、コーヒーも紅茶に負けず美味しく、かつ手軽な値段で飲める店が多く、スウィーツなどの充実したサイドメニューもついつい引き寄せられてしまう要因の一つである。
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ここまで一気呵成に書き綴ってきたが、すべてをまとめるには余りにも情報量が多いため、一度このエディンバラで区切りをつけた。数回に分けて紹介したいと思っているので、懲りずに最後までお付き合いいただけたら嬉しい限りだ。

Photo&Text by Shogo Hesaka

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部坂 尚吾

部坂 尚吾

1985年山口県宇部市生まれ、広島県東広島市育ち。松竹京都撮影所、テレビ朝日にて番組制作に携わった後、2011年よりスタイリストとして活動を始める。2015年江東衣裳を設立。映画、CM、雑誌、俳優・タレント・文化人のスタイリングを主に担い、各種媒体の企画、製作、ディレクション、執筆等も行っている。山下達郎と読売ジャイアンツの熱狂的なファン。
江東衣裳
http://www.koto-clothing.com

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