ナポレオンの夢が叶ったユーロスターでイギリスへ | BRITISH MADE

ナポレオンの夢が叶ったユーロスターでイギリスへ

2016.04.10

20160410_weekend_top セント・パンクラス駅
Copyright:St. Pancras Station by David Skinner(https://www.flickr.com/photos/branestawm/)

英仏をトンネルで越える夢の鉄道旅を満喫したい

20160410_weekend_04 Copyright:Eurostar by Yuichi Shiraishi(https://www.flickr.com/photos/yisris/)
英国とヨーロッパ大陸とを結ぶという夢のような構想が現実のものとなった列車「ユーロスター」。最高速度はなんと時速300kmにも到達し、ロンドンとパリを最短2時間15分で繋ぐそのスピードや、サービスの行き届いたアテンダントとスタイリッシュな車両も相まって、日本人からも人気を集めている。

英仏間のドーバー海峡下にトンネルを通す計画が持ち上がったのは、およそ200年前の1802年、鉱山技師のアルベール・マチューがナポレオン・ボナパルトに提案したのがそもそものはじまりだった。その後、何度も計画が持ち上り、実際に採掘も行われたものの、現在のトンネルの工事が始まったのは1988年のこと。その後、6年という想像以上に短い工事期間で、1994年、ついに19世紀からの構想が現実のものとなった。

この工事には日本企業も参加し、硬い刃先で海底を掘り進みながら土を後方に排出、同時にトンネルの外壁をも構築していくという、当時最先端の技術を駆使したシールドマシーンも日本の企業が製作したものだ。そして難しい工程でありながら予定よりも半年以上早く工事が終わったという。

海底部の総距離は37.9kmと世界一であるものの、陸上部を含めた全長となると50.5kmにとどまり、この長さは青函トンネル(53.9km)に次いで世界第2位となっている。この結果について英国人は、「日本の技術者はホントに優秀だよ。なんてったって青函トンネルを抜かさないように、それより短いルートで無理やり掘ったんだからね……」と、英国ならではなジョークを飛ばすこともあるという。

早めにチケットを購入、ビジネスプレミアムで快適な旅を

20160410_weekend_03 Copyright:Eurostar by sbamueller(https://www.flickr.com/photos/sbamueller/)
現在ユーロスターは、ロンドン、パリ、ブリュッセル、リールを結ぶ路線に加え、ロンドンからディズニーランド・リゾート・パリへの直行便や、季節運行便ながらロンドンから南仏のアヴィニヨンやフレンチ・アルプスの都市を直接結んでいる。

ユーロスターをはじめとした列車の旅は、飛行機の移動とは違って直接市中にあるに駅へ移動できるため、市街地から離れた空港までわざわざ足を運ぶ必要がない。時間を大切にしたいトラベラーには非常に便利だ。

チケットは、公式サイトからの購入が最も安く、早めに購入すれば割引率も高い(180日前から購入可能)。乗車券は、購入後に送られてくるメールをプリントアウトするか、駅で簡単に印刷することで手に入る。

いよいよ乗車の時間。最も安価なスタンダードクラスで予約した場合、列車が出発する30分前までにチェックインを済ませなければいけない。しかし、最高ランクのビジネスプレミアクラスなら、出発の10分前までチェックインを受け付けている。それだけでなく、駅のビジネスラウンジ、リクライニングのシート、座席の電源が利用でき、食事サービスを楽しむことができるので断然こちらがおすすめだ。

20160410_weekend_06 ゆったりとくつろげるビジネスラウンジ
Copyright:Eurostar Business Lounge Gard Du Nord Paris by Gary Bembridge
(https://www.flickr.com/photos/tipsfortravellers/)
20160410_weekend_05 ビジネスプレミア座席
Copyright:Eurostar Business Premier Seats by Gary Bembridge(https://www.flickr.com/photos/tipsfortravellers/)

車窓を流れる田園風景のパノラマは旅の醍醐味

20160410_weekend_02 セント・パンクラス駅のホーム
英国内での見どころは、やはり広大な田園風景である。旅の最中に、羊や牛が草を食べているのどかなシーンに出会うこともある。食事をしながら車窓のパノラマを楽しめるのは列車旅ならではだ。ロンドンに近づくほど建物が多くなり、景色が変わっていく様子も楽しめる。

20160410_weekend_01 Copyright:Countryside by Hector Garcia(https://www.flickr.com/photos/hectorgarcia/)
ロンドンの終着は、セント・パンクラス駅。ユーロスターでの観光スポットとして、駅そのものが目玉といっても過言ではないほど美しい建物だ。

1868年に開業したセント・パンクラス駅は、ジョージ・ギルバート・スコット卿の設計によるヴィクトリア朝ネオゴシック建築の建物で、高い時計塔を配したデザインはまさに宮殿建築と呼ぶにふさわしい。一方、同じ建物の中でもユーロスターの入るコンコースはモダニズムの粋を集めた現代的なフォルムで、外観とは対照的な構成になっている。

ユーロスターの発着駅がセント・パンクラス駅に変更になったのは2007年のことだ。それまでの「ウォータールー駅」が発着駅で無くなったことを受け、ナポレオンが群衆に向かい「ワーテルローは忘れろ!」と言い放つ広告も話題になった。「ワーテルロー」は英語読みで「ウォータールー」となることを利用して、英国軍がナポレオン率いるフランス軍を撃破した「ワーテルローの戦い」と、ウォータールーを掛けた洒落なのである。

そんなヨーロッパの長い歴史を繋ぐユーロスターの旅。旅行の際には是非楽しんでみてはいかがだろうか。


Text by Shun Horigome/堀籠しゅん

ブリティッシュメイド公式アプリへ

同じカテゴリの最新記事