2017.06.15

English Garden Diary 世界中の園芸ファンが憧れるイベント「チェルシー・フラワー・ショウ」

イギリスのガーデニングを語る際に欠かせないのは「チェルシー・フラワー・ショウ」です。これは、イギリスのみならず、世界中の園芸好き、花好きが集まる伝統あるイベント。1804年に設立された歴史ある英国王立園芸協会(Royal Horticultural Society)が主催です。場所はロンドンのチェルシー地区にあるロイヤルホスピタル。毎年5月に開催されています。
20170615_chelsea_1 花に囲まれた入り口をみただけで期待が高まる Photo : © RHS / Sarah Cuttle
二つの世界大戦期をのぞき、1913年から毎年開催されているこのフラワー・ショウは、世界で最も歴史ある園芸の祭典。毎年、エリザベス女王をはじめ、王室のメンバーも必ず訪問しています。
20170615_chelsea_11 フラワー・ショウには、エリザベス女王だけでなく、エジンバラ公とキャサリン妃も訪問。その様子はBBCでも放映された Photo : © RHS / Luke MacGregor
今年も5月23日〜27日まで開催され、多くの人で賑わいました。

ショウでは、ガーデンデザイナーがデザインした庭を実際に再現したガーデンを見ることができます。これらは「ショウ・ガーデン」「アルチザン・ガーデン」「フレッシュ・ガーデン」などの部門にわかれていて、それぞれにまったく異なる個性の庭が登場します。
20170615_chelsea_2 今年「ショウ・ガーデン」部門でベスト賞を受賞したガーデンは、南フランスを拠点に活躍するイギリス人デザイナーJames Basson氏によるデザイン Photo : © RHS / Neil Hepworth
たった5日間のショウとはいえ、池を作ったり、岩や巨大な石を用いたりと、多くの庭が大規模な施工を必要とするもの。もちろん、植物や花はこの時期に合わせて最も美しい状態になるように育てられたものばかりです。そして、来場者たちは、それぞれのガーデンを見て、植えられている植物や、植栽の仕方、そしてもちろんガーデンデザインなどについてインスピレーションを得るのです。
20170615_chelsea_3 一般の人からは最も人気を集めていたThe Morgan Stanley Garden。ルピナス(写真右側の藤を逆さにしたような花)は最近人気が復活しているようで、各所で見かけた  Photo : © RHS / Neil Hepworth
20170615_chelsea_4 私も時々種や球根を購入するSarah RavenによるデザインのFeel Good Garden。確かに見ているだけでいい気分に Photo : © RHS / Sarah Cuttle
また会場の中心には「グレート・パヴィリオン」と呼ばれる大きなテントがあります。面積約1万1775平方メートルというのはロンドンの二階建てバスが約500台収容できるほどの広さ。ここはショウのセンター・ピースとも言える場所です。種苗会社や個人経営のナーサリー、フローリストが花や植物を展示していて、パヴィリオンの中に入るなり、その華やかな光景に目を奪われます。
20170615_chelsea_8 イングリッシュ・ローズの育種で有名なデヴィッド・オースチン社が今回のチェルシー・フラワー・ショウで発表した新しいバラの一つは「ジュディ・ディンチ」と命名された Photo : © RHS / Luke MacGregor
中でも今年はテントの真ん中にウェッジウッドの「ティーコンサーバトリー(Tea Conservatory)」というスペースがあり、人気を集めていました。そこでは同社による紅茶の新商品の試飲ができ、エレガントな雰囲気の中、紅茶を楽しむことができるようになっていたからです。
20170615_chelsea_5 ウェッジウッドのティーコンサーバトリー
花の祭典に陶磁器メーカーのウェッジウッドが出展、というのに驚いていた方もいたようですが、実は、このチェルシー・フラワー・ショウを開催している英国王立園芸協会は、ウェッジウッドの創始者であるジョサイア・ウェッジウッドの長男、ジョン・ウェッジウッドが創設者の一人なのです。

その関係もあり、今年から3年間にわたって英国王立園芸協会とウェッジウッド社がパートナーシップを締結。「健康で幸せなコミュニティ作り、自然を尊び、サステナビリティ(持続可能性)を大切にすることで、人々の暮らしをより豊かにする」というヴィジョンを元に活動をしていくとのこと。
20170615_chelsea_6 ウェッジウッドによる紅茶は、今回新たに6種類のブレンドが発表された。パッケージが美しいので、贈り物にもぴったりだ
ここでは、珍しいウェッジウッドの植木鉢も紹介されていました。ウェッジウッド・ファンにはおなじみの「ジャスパー」というストーンウェアが用いられた鉢には観葉植物の緑や白い花がよく映えます。こうした商品をいち早く見ることができるというのも、チェルシー・フラワー・ショウでの楽しみのひとつに違いありません。
20170615_chelsea_7 室内のインテリアにもよくマッチしそうなウェッジウッドの植木鉢
また、屋外ではガーデニング用品や、園芸用エプロンや長靴などのグッズ類、植物画などのアート作品を販売するブースが並び、見ているだけでもわくわくしてきます。もちろん、ここで園芸用品のトレンドを知ることもできます。

このように、チャルシー・フラワー・ショウは「ガーデンを見て、花や植物を見て、ショッピングをして」と、花と園芸に関するすべてを味わい尽くすことのできるイベントなのです。
20170615_chelsea_9 菊で作られたカップ・ケーキ。こういう遊び心がショウを盛り立てる
20170615_chelsea_10 日本人にはなじみの深い植物も人気だ
20170615_chelsea_12 ここでは花と植物、自然の美しさを再発見することができる Photo : © RHS / Luke MacGregor
暗くてじめじめとした長い長い冬を越えて、ようやく庭に新緑と花のつぼみがつきだした頃に開催される花の祭典。会場内で艶やかに輝く緑や、咲き誇る花たちを見て、人々はもうすぐやってくるイギリスの美しい夏を思い出し、ガーデニングへの意欲をかきたてられるのです。

たいへんな人気のため、毎年、チケット入手が困難と言われていますが、ガーデニングに興味がある方には、ぜひ一度は参加してただきたいイベントです。

RHSチェルシー・フラワー・ショウのウェブサイト
www.rhs.org.uk/shows-events/rhs-chelsea-flower-show

20170615_chelsea_13 チェルシー・フラワー・ショウについては、開催前から会期中まで毎日BBCで特別番組が放映されるほど。国民的イベントともいえるもの Photo : © RHS / Luke MacGregor

Photo&Text by Mami McGuinness

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マクギネス真美

マクギネス真美

イギリス在住の編集&ライター。9年半の雑誌編集を経て「ちょっと長めのホリデー」のつもりで渡英。たくさんのあたたかな人たちとの出会いにより滞在が長期化し、現在に至る。 2004年よりイギリスを拠点に書籍・雑誌・新聞・インターネット等にて企画、編集、取材、執筆、コーディネイト、撮影を手がける。テーマはライフスタイル、ガーデニング、料理、人物インタビューや旅ガイドなど。メディアを問わず、イギリスの素敵なひと、場所、ものごとをひとりでも多くの方に伝えたいと考えている。『英国ニュースダイジェスト』ではイギリスの食に関するコラム「英国の口福を探して」を連載中。2012年以降、文化放送、NHKラジオ、TOKYO FM等のラジオ番組に出演も。
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