BRITISH NOTE 06 PRIVATE WHITE V.C. / プライベート ホワイト V.C.のレインコート | BRITISH MADE

BRITISH NOTE 06 PRIVATE WHITE V.C. / プライベート ホワイト V.C.のレインコート

2016.05.28

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6月から7月の中旬くらいまでは日本は梅雨の季節。連日のように降り続ける雨を歓迎する都市生活者はあまり多くはありません。日本の梅雨ほどではありませんが、雨が多い都市といえばロンドン。だから英国発のブランドには、雨対策を意識したプロダクトが多いのです。プライベート ホワイト V.C.は英国マンチェスター発のブランドで、オーセンティックなデザインのウェアの生産をほぼ一貫して自社工場で行っているメーカーです。このブランドからも非常に優れたレインウェアが登場しています。今回はプライベート ホワイト V.C.のステンカラーコートのご紹介です。

マンチェスターとレインコートの歴史


プライベート ホワイト V.C.の製品の中でも、ブランドを象徴するコッパーのボタンには「MADE IN MANCHESTER」と記されています。「MADE IN ENGLAND」でも「MADE IN THE UK」でもなく、“マンチェスター製”であることをあえて記す理由は、長年この土地にファクトリーを構えているこのブランドの気概と誇りの表れでもあります。そしてレインウェアというアイテムについて考える時、このマンチェスターという土地には、ひとつの重要な歴史があります。
ところで英国ではレインコートを何と呼ぶか、ご存知ですか? イギリス人はウォータープルーフコートのことを「MAC」と呼ぶのですが、これは現在も人気ブランドのひとつであるマッキントッシュから由来しています。ザ・ビートルズの有名な曲“Penny Lane”歌詞の中にも「その人は土砂降りの雨の中でも”MAC“を着ないから変な人だね」という内容の歌詞が出てくるように、英国人にとってレインコートと言えば、の代名詞なのです。実はそのマッキントッシュの工場は、プライベート ホワイト V.C.の工場同様にかつてマンチェスターにありました。そしてプライベート ホワイト V.C.の工場も、約100年前からコットン生地のレインウェアを製造してきた歴史があるのです。

マンチェスターで200年続く
プライベート ホワイト V.C.のファクトリー

20160528_factoryマンチェスターで操業を続けるプライベート ホワイト V.C.の工場。
プライベート ホワイト V.C.というブランドは2010年に誕生しているので、まだ長い歴史のあるブランドではありません。しかしこのブランドの本社であり、現在もフル稼働しているマンチェスターの自社工場は、約200年前に作られ、100年ほど前から服飾産業専門に稼働しています。現在はプライベート ホワイト V.C.の製品をメインに生産するこの工場とブランドオーナーである若き経営者の系譜をたどると、第一次世界大戦で英国軍人でも最高峰の「ビクトリア十字勲章(Victoria Cross=V.C.)」を授章し、その後の真面目な仕事ぶりによってこの工場のオーナーまで登り詰めたひとりのマンチェスターの英雄にたどり着きます。マンチェスターの真面目なものづくりの系譜はいまもこうして受け継がれているのです。

デザイナーは、メンズファッション界で広く知られる
ニック・アシュレイ氏。

20160528_nick プライベート ホワイト V.C.の本社兼工房で作業する、プライベート ホワイト V.C.のデザイナー、ニック・アシュレイ氏。

プライベート ホワイト V.C.のデザイナーは、ニック・アシュレイという英国人です。ニック・アシュレイは、かつて自身の名を冠したブランドや、ダンヒルのデザイナーとしても活躍した人物で、彼の作り出すウェアには、ここ日本にも非常に多くのファンがいます。ミリタリーやバイクなど、彼が好きな世界観をベースにしたオーセンティックかつ機能的なデザインは、現在もプライベート ホワイト V.C.に遺憾なく発揮されています。ニックはロンドンとマンチェスターの工場を往復しながら、デザインを行っています。特にマンチェスターの本社には、これまでこの工場が手がけてきたメンズウェアの膨大なアーカイブがあるので、過去の優れたディティールや素材を参考にしながら、物作りを推進することができるお気に入りの場所なのです。

「ストームシステム」と「ベンタイル」ってどんな生地?

20160528_MG_8140写真手前が「ストームシステム」の生地を使ったモデル、奥が「ベンタイル」素材を使ったモデル。それぞれに風合いが異なる。

今回ご紹介するプライベート ホワイト V.C.のレインウェアには、イタリアの「ロロ・ピアーナ」というテキスタイルメーカーの生地と、英国の「ベンタイル」という生地の2種類があります。まず世界最高峰のテキスタイルメーカーとして知られる「ロロ・ピアーナ」の「ストームシステム・ファブリック」は、生地の表に撥水加工、生地の裏に超極薄の膜が施され、防水、防風性がありながら、通気性にも優れた生地です。シームテープを施すことで、縫い目からの浸水も防ぐ構造が可能です。機能面だけでなく素材としても上質な事も特徴です。
一方の「ベンタイル」は、非常に高密度に織られたコットン素材です。コットンといえば水を吸う印象がありますが、これは天然繊維独特の風合いと肌触りを保ちながら、高い防水性と防風性、そして透湿性も兼ね備えています。「ストームシステム」、「ベンタイル」どちらも非常に優れた素材なのです。

高い撥水性を持つ2つの生地

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写真でもお分かりいただけるように、「ストームシステム」(写真左)も「ベンタイル」(写真右)も非常に高い撥水性があります。写真では撥水効果の部分しかお伝えすることが難しいのですが、両素材に共通するのは、高い防風性、そして高い透湿性も兼ね備えていること。いわゆるゴム引きのレインウェアは防風性と撥水性には優れますが、透湿性の部分で問題があります。暑い季節や歩行で汗ばむ時に、コート内側の汗を発散させて快適性をキープできることが、両素材の大きな特徴です。

縫い目からの浸水もシャットアウトする、シームテープ。

20160528_MG_8125「ベンタイル」生地の内側に貼られたシープテープ。

いくら防水性の高い生地を使っていても、洋服にする場合には仕立ての都合上、必ず「縫い目」というものがあります。長時間雨に打たれていると、この縫い目部分から浸水があるのですが、プライベート ホワイト V.C.の「ベンタイル」の生地を使ったコートには、内側に止水するシームテープが施されています。生地だけではなく、縫製の上でも防水性がしっかり対策されているのが、良いレインコートの条件なのです。

「MADE IN MANCHESTER」の誇りはボタンにも。

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先ほどプライベート ホワイト V.C.の、メイド・イン・マンチェスターに対する誇りについてお伝えしましたが、このコッパーのボタンにその気概は表れています。コッパー素材を使ったボタンをよくご覧いただければ、「MADE IN MANCESTER」と刻印されていることにお気づきになるでしょう。

プライベート ホワイト V.C.のエクスクルーシブ素材、ECOSEAM(エコシーム)。

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ここまで「ロロ・ピアーナ」の生地と「ベンタイル」についてお伝えしてきましたが、両方とも優れたファブリックメーカーの生地を使ったものです。しかしプライベート ホワイト V.C.には、耐水性と耐汚染性に優れたエクスクルーシブファブリックもあります。それがこのモデルが着用している「エコシーム」という生地です。「フルオロカーボン」を排除し、繊維の構造を再構築することで、上記の機能を獲得しています。見た目はナチュラルでソフトな仕立てなのに高機能。そんなところもプライベート ホワイト V.C.が持っている美学であり、長年培ってきた技術の賜物でもあるのです。

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Photo by Kengo Shimizu / 清水健吾
Text by Yukihisa Takei(HIGHVISION) / 武井幸久


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