BRITISH NOTE 04  JOSEPH CHEANEY / ジョセフ チーニーのレディース・コレクション

2016.04.23

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紳士靴の聖地と呼ばれるイギリスのノーザンプトン州。ここは英国を代表する靴作りの街として世界中に知られています。今回ご紹介するジョセフ チーニーは、この地で1886年に創業した老舗シューメーカーです。1896年に工場を移転して以来、現在も一貫して同じ工場で生産を行っているこのブランドは、紳士靴では名門としてその名を知られていますが、今回ピックアップしたのは同ブランドのレディース・コレクション。紳士靴と変わらない製法を用いながら、より女性らしい作りにこだわっているジョセフ チーニーの魅力についてご紹介いたします。

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靴の聖地、ノーザンプトンから

男性で、特にファッションや英国に関心のある人は、「ノーザンプトン」と聞けばすぐに「英国靴の聖地!」と連想する人が多いようです。それは「ジャマイカ」と聞いて「レゲエ」を連想したり、「月島」と聞いて「もんじゃ焼き」を連想するのに似ているかもしれません。この伝統的製靴の街、ノーザンプトンの地で1886年から130年一貫した靴作りを続けているのが、ジョセフ チーニーの工場です。1960年代にCheaney of Englandの名称でブランド化して以来、主に紳士靴ブランドとしても知られていますが、同ブランドから女性向けのシューズも作られていることは、意外と知られておりません。この工場から、クオリティの高いシューズが生み出される理由をご案内いたします。
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8週間で160もの工程を経て生まれる、美しき靴

こちらも女性の方には聞きなれない言葉かもしれませんが、シューズの製法のひとつとして「グッドイヤーウェルト製法」というものがあります。これは一言で言えば、「ソールの付け替えが可能な伝統的製法」、という説明ができます。それによって、仮に長年履き続けてソールがヘタってきても、お気に入りのアッパー(靴の上部分)はそのままに、また履き続けることができる、というものです。
「靴の聖地」と言われるノーザンプトンですが、近年はこのグッドイヤー製法の部分だけを担当し、素材のカッティングや縫製の一部は海外の工場に委ねているところも少なくありません。しかしジョセフ チーニーの工場は最初から最後までのすべての工程を頑なに同じノーザンプトンの自社工場で行っています。そのため、一足の靴を作るのに費やされる工程は、最低でもなんと160工程(!)。その工程が約8週間もの時間をかけて行われています。写真は靴に使われるパーツの一部やラスト(靴型)ですが、通常一足の靴には大きく分けて17ものパーツが使われています。最初から最後までノーザンプトン製。これがジョセフ チーニーの最大の魅力なのです。

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女性のために作られた、上品なプレーントゥ・シューズ

こちらはジョセフ チーニーのシューズの中でもベーシックなプレーントゥ・シューズです。ウイングチップやローファーもジョセフ チーニーのレディースラインにはありますが、このベーシックなプレーントゥは、まさにジョセフ チーニーらしい一足と言えます。アッパーにはドイツのウィンハイマー社を代表するレザー「ボックスカーフ」が使われています。また、インソールに施されているゴールドの刻印は現在女性モデルのレギュラー仕様。メンズモデルのほとんどには、素押しの型が用いられているので、このクラシックでゴージャスな佇まいは、レディースモデルのデザインポイントの一部ともなっています。
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気品と機能性に富んだレザーソール

クラシックなシューズの魅力のひとつであるレザーソール。最初は少し滑りやすいなどの難点もありますが、ある程度履き続けると足に馴染んでくれるのもレザーソールの特徴です。またゴム底の靴では得られない天然素材の特性として、「足裏の湿気を外に逃がしてくれる」という優れた機能もあります。ジョセフ チーニーのレザーソールは、一見メンズ向けのモデルと同じようにも見えますが、足裏のアウトソールデザインや刻印を女性向けに変えるなど、随所にアレンジが施されています。メンズ向けのシューズをそのままトレースするのではなく、あくまで女性に向けて開発するジョセフ チーニーの姿勢は、足裏のほんのちょっとした部分にも表れているのです。
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バリエーション豊かなレザー

女性の中でも靴好きの方ほど、クラシックなだけでは満足せず、さまざまなバリエーションをお求めになることが多いようです。ジョセフ チーニーは前述の通り、工場=メーカーというブランドゆえに、レザーの種類やカラーも豊富に取り揃えられています。ヌバックレザーや光沢のあるパテントレザー、そして写真の左端のようなアイボリーとネイビーの配色が美しいカーフレザーなど、そのバリエーションの豊かさは女性のシューズ好きの方々を虜にしている理由のひとつです。
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フレッシュなホワイトカラーのビブラムソール

ジョセフ チーニーのシューズはそのクラシックな製法も魅力ですが、近年はよりモダンなデザインにおいてもその実力を発揮しています。それはイタリアのビブラム社のソール、その名も「ビブラムソール」を用いたシューズです。ビブラムソールは近年さまざまなシューズに取り入れられていますが、もともとは登山靴から生まれたソールです。その特徴は、耐久性に優れ、滑りにくく、温度が低くても柔軟性がキープできること。またソール交換の際に別ソールに変更し、表情を変えることも可能です。今シーズンのジョセフ チーニーのレディースラインからは、美しいアイボリーのアッパーを用いた新しいビブラムソールのモデルが登場しています。この Vi-Liteという厚底ながら軽くて溝が入ったソールは歩きやすく、ファッション性もあり、現代のジョセフ チーニーの革新的姿勢も現れたラインアップでもあるのです。

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Photo by Kengo Shimizu / 清水健吾
Text by Yukihisa Takei(HIGHVISION) / 武井幸久


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