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チャーチ 73ラストと173ラストの魅力

旧チャーチという言葉はよく聞きますが実際に手にするまではどう良いのかは知りませんでした。

良いとは聞くものの、それを具体的に説明している資料も見つからず何を良いと言っているのか自分自身よくわかりませんでした。

約3年前に先輩から73ラストのコンサルを譲ってもらい、今と昔のチャーチの違いを知ったことで私はさらにチャーチに愛着が湧くようになったことを覚えています。

昔のチャーチがどのような想いでモノを作り、今のチャーチがそれをどう受け継いでいるかということには非常に興味が湧いてきます。

では、さっそく旧チャーチと現行のチャーチの違いについて見ていこうと思います。

あくまでも私個人が感じたことを書いていきますので、皆さんの参考程度にしていただければ幸いです。

(左)現行チャーチ Last173 Size:5.5F (右)旧チャーチ Last73 Size:5.5F

雰囲気の違いにお気づきいただけますか。

現行のチャーチは丸みがありノーズは長めに仕上がっており、旧チャーチは現行に比べても角ばったスクエアなフォルムでショートノーズな仕上がりになっています。

プラダが買収して以降のチャーチのラストはややイタリア靴のようなノーズが長い仕上がりとなっており、このことで173ラストはこれまで以上に様々な足型に合うようになった非常に興味深い木型となっています。

一方で旧チャーチは古き良きイギリス靴の赴きがあり、ショートノーズで足長ぴったりで履くようなシューズとなっています。

同じサイズではありますが、上から見ると違いがよくお分かりいただけるのではないでしょうか。

丸みがありやや長めのノーズの173ラストとセミスクエアでショートノーズの73ラスト。

ちなみに私は普段現行173ラストを5F、73ラストを5.5Fで履いています。

生産された時期によっても多少異なるとは思いますが、旧チャーチの方が現行よりもサイズが小さく仕上がっていたのではないかと思います。

コバも今とは違います。

ステッチのピッチも現行の約半分程度で二倍近く細かく出し縫いをかけています。

ウエルトも綺麗に飾りが施されており、手間をかけ美しく仕立てられていることがわかります。

当時、この仕様でいくら程度で販売されていたのでしょうか。

おそらく、5万円程度かと思いますがやはり英国の良心と呼ばれる理由を感じることができます。

ウエストの絞込みは写真ではなかなか伝えられず残念ですが、ヒールからウエストにかけてのラインが立体的になっていることがお分かりいただけますか。

足を通すと大きな違いを感じることができ、土踏まずを地面から持ち上げるような感覚でフィットしてきます。

ウエストの絞りが強いからと言って、良い靴かという判断は非常に難しいところですが少なくとも綺麗につり込まれ立体的に仕上がっています。

現行に関して言えば、旧チャーチに比べて絞りは浅いですが、誰が履いても親指の付け根にアタリがほぼ出ず、木型のままの綺麗な形状で履くことができます。

ここは非常に不思議なところで、メーカーによっては絞りの位置や、土踏まずのカーブに合わないとアタリが出て、見栄えが悪くなるときがありますがチャーチはそういったケースが非常に少ないです。

トップラインへの絞りもさすがです。古い靴ですが、綺麗な形状を今でも維持することができています。

履き口の絞込みはかかとを上からホールドすることができるため、かかとの抜けを最小限に抑えることができるでしょう。

現行のトップラインも現在の同じ価格帯のシューズの中ではしっかりと絞られています。

どちらかと言うと、旧チャーチのような紐部分の甲の低さがあるためそこでしっかりとホールドすることができれば、トップラインの絞込みは最小限あれば良いということだと思います。

やはりライニングはキャンパスで仕上げています。

旧チャーチの多くはこの仕様になっているのではないでしょうか。以前、当店で取り扱っていたチャーチのシティコレクションも同じような仕様で作られていたことを思い出します。

先程、形状の維持について触れましたが、旧チャーチと現行チャーチには芯の使い方にも違いがあります。

どちらのシューズもヒールには芯が入っていますが、その芯が旧チャーチでは土踏まずからヒールを通り、土踏まずの反対側の縫い目まで長く使われています。

足をほぼ半周分、芯で覆うことになっており、こういった仕様は長期間着用したときの型崩れを防ぎ、長く新品のような形状を維持する大事な要素となっているのではないでしょうか。

また、この仕様のメリットは上記しましたが、逆を言えば手間がかかりつり込みが難しくなることや、足型によって合う合わないが出やすいように思います。

木型と個人の足型の相性が出やすくなるとは思いますが、よりチャーチが目指すフォルムで合う方に選んでいただけるようになりそうです。

その分、サイズレンジとしてウィズ展開は必要になってくるでしょう。

長く着用した時に、新品に近い形状を維持できていることは良い靴と呼べるかどうかの大事な要素のひとつだと思います。

 

現行チャーチでよく見るソールは左ですが、旧チャーチはヒドゥンチャネルで仕上げています。

おそらく全てではないと思いますが、たまたまこのシューズはそうなっています。

古い靴のため、トゥ付近はやや革が剥がれてきていますが、そこに見える出し縫いの細かさに感動します。

現行のものは出し縫いの溝を深く掘ることで地面とステッチの接地を最小限に抑え、ステッチが切れずらいように気遣われています。

また、ヒールの化粧釘の多さも美しく見えます。

元々はソールの減りを軽減したり、グリップ力を増すためのものかと思いますがやはりこちらも手間を惜しまず生産されています。

不思議なことにこれだけ手間をかけたシューズではありますが、ヒールリフトの一部に非常に安価な素材が使われていると言われました。

手間をかける部分と抜く部分のメリハリが非常に興味深いように思います。

個人的な見解とはなりますがいかがでしたでしょうか。

年々手に入れづらくなっている旧チャーチですが、その考え方は今でも173ラストから感じることができます。

底材へのこだわり、アッパーだけでなく上質な革を使用したライニング、幅広い足型に合う不思議な木型。

これまでの様々な歴史を紐解くほどに現行品にも愛着が湧いてきます。

チャーチを持っている方も、これから検討をされる方もぜひ今一度チャーチの価値を見直してみてはいかがでしょうか。

それではまた。

 

銀座店 中川

 

 

 

 

 

 

 


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