TOP

Interview : Nick Ashley

PRIVATE WHITE V.C.のデザインを手がけている英国人デザイナー、ニック・アシュレイ。 クラシックでありながら機能的なウェアを作ることに長けたニックの、同ブランドにおけるデザイン哲学とは。

Q.まずは自己紹介からお願いします。
私はニック・アシュレイ。プライベート ホワイト V.C.のクリエイティブ・ディレクターです。


Q .ジェームスさんからPRIVATE WHITE V.C.のデザイナーの話があったときのことを覚えていますか?
もちろん覚えているよ。ここでデザインしてみないかという話を受けて、もちろんと答えて、「次の電車でここに来るから」と言って、実際にここに来たんだ。
マイクとジェームスが、これまでこの会社は、工場としての機能しかなかったんだけど、これからは自社ブランドを作るんだということを話してくれた。そして僕にデザインを担当して欲しいと言ってくれた。この会社は生産と管理のことをとても良く分かっていることは僕も知っていたので、これは素晴らしいチャンスだと思った。


Q. プライベート ホワイト V.C.の構想はどのように進めていったのでしょうか。
構想やプロセスは、一瞬で出来上がったわけではなく、かなりの時間をかけた。
この5年間かけてきたくらいだと思う。
デザイナーという仕事で一番よくある間違いが、「自分、自分」になってしまって、ブランド自体が育たない。僕はそうなりたくはなかったので、物を作るんだったら、まずはこのブランドの良き消費者になりたいというのが当時の目標だった。
実際に自分がここの服を着ることによって、いまはプライベート ホワイト V.C.を着る人の気持ち、その人が欲しいものが理解できるようになったと思う。


Q. Dunhill、KENZO、TODS、そして自身のブランドの「ニック・アシュレイ」など、数々のブランドのデザインを手がけてきたあなたですが、これまでのブランドとプライベートホワイトの違いはありますか?
これまで僕が携わってきたブランドとは、まったく違うと思う。 “SHEEP TO SHOP”というコンセプトにも代表されるように、まずこのブランドは自社工場を持っている。僕の奥さんも牧場を持っているから、極端に言えば羊毛から作ることができるからね。


Q. そういう意味では長年やってきて辿り着いた、自分の究極のクリエイションだと思いますか?
このブランドにはパーフェクション(=成熟した完璧さ)があると思う。 例えばウールを洗う水に至るまで、生産背景のすべての要素において気を配っている。そういう細部にこだわったプロセスが、すべて“SHEEP TO SHOP”のプロセスに活きているんだ。


Q. ニックさんは今のファッションをどう見ていますか?
僕はファッションデザイナーであるけど、いわゆる“ファッション業界”とは関わりたくないと思っている。自分にとってファッションとは、物を作ること。それに比べて、いわゆる一般的に言われるロンドンのファッションシーンは見せかけだけのものが多い。
若いときは“ファッション”は自分にとっても重要だったし、年を取ったらまたお洒落がしたくなった。クラシックなルックにこだわっていたいけど、身の回りのテクノロジーも変わりつつある。例えばクルマだってそのテクノロジーは変わって行くものだし、昔からクルマに沢山乗っていた人もいまは自転車に乗るようになったりしている。
そういう常に変わりゆく我々のライフスタイルに合わせて、自分たちの服も進化させていくのが、我々が目指すファッションだと思っているんだ。





Q.プライベート ホワイト V.C.のデザインにおいて、一番大切にしているポイントはなんでしょうか?
自分でもこのブランドで達成できたと思っている部分は、たとえばポケットに手を入れて温かいとか、ポケットに物がたくさん入るとか、高級な生地を使っているのに洗濯機で洗えるとか、そういう細かいディティールや機能性を服に取り入れることで、高級なガーメントであっても頻繁に着ることができるようにできたこと。
仮に買う時は多少値段が高かったとしても、買った人が最終的に得をしたような気分になるのが大切にしたいポイントでもあるんだ。


Q. プライベート ホワイト V.C.のデザインはクラシックでもありますが、進化している部分もあります。あまり“テクニカル”に理過ぎない、そのバランスは難しいとは思うのですが、それはどのようにバランスキープをしていますか?
テクニカルウェアにならないようにしながら、クラシックであるようにするのは確かに重要だ。だけど、自分の中ではこのブランドにおいて、デザイン面では“British”を売りにはしたくないと思っている。
どちらかというと、いつも参考にしているのはユーティリティのあるミリタリーもの。博物館とかに行って調べる時はイギリスのヘリテージも見るし、アメリカのものも気になる。
そういうエッセンスをミックスしたものを提供するのが、いまは重要だと思っているんだ。


Q : プライベート ホワイト V.C.を一言で言うと?
Perfection.(完璧さ)


Interview : James Eden Owner and Managing Director

プライベートホワイトのオーナーであり、ブランド名の由来になっているジャック・ホワイトの曾孫にあたるジェームス・イーデンが語るブランド名の由来とマンチェスターにこだわる理由。

Interview : Michael Stoll Production Director

コンセプトであるSHEEP TO SHOPの真意と生産背景についてブランドのプロダクション・ディレクターであり、マンチェスターの工場を長年維持してきたマイク・ストールに尋ねました。

Interview : Nick Ashley Creative director

PRIVATE WHITE V.C.のデザインを手がけている英国人デザイナー、ニック・アシュレイ。 クラシックでありながら機能的なウェアを作ることに長けたニックの、同ブランドにおけるデザイン哲学とは。