2015.12.11

A BOY WITH A DREAM 第2章 舞台音楽の創作

舞台に立つのがいちばんの夢だった。それについては前回話したとおりだ。でも僕の中には他の創造力の種も潜んでいた。歌を書くことだ。14 歳の頃から、思いついたメロディーに合うハーモニーを探して学校のピアノで四苦八苦していた。僕は昔から、頭の中でメロディーを生み出す能力に長けていた。
この能力は、主に一人の作曲家の影響によると思う。アンドリュー・ロイド・ウェバー(「オペラ座の怪人」「キャッツ」などの作曲家)だ。彼の曲を聴くと背筋に電気が走るような衝撃を覚え、僕も同じような曲を書きたいと思ったんだ。

20151211_main1Andrew Lloyd Webber の代表作「オペラ座の怪人」が1986 年より上演され続けているHer Majesty’s Theatre
20151211_main2昨年より「キャッツ」が12 年ぶりに再演されているLondon Palladium

彼はまず、最初のフレーズで聴き手の心を掴む。出だしのメロディーを聴けばすぐにそれがどの曲か分かるだろう。また彼の曲はある程度シンプルにできていて、歌うキャラクターが曲を通して辿る道のりが分かりやすく、聴き手は満足感を得られる。何故かは分からないが、あるメロディーが心に残ることがある。きっと音楽というものが僕らの心の奥底からくるもので、そこに響くものだからだと思う。
ウェバーの曲は、最も効果的なところで巧みに転調を利用しているのも特徴だ。一般的に転調して音が上がると感情の高まりを示す。しかし例えば有名な「キャッツ」の『メモリー』では、転調で低い調に移っている。予想と違う調に移った上でさらに1オクターブ上を力強く歌わせることで、よりドラマチックな効果を生み出しているのだ。

20151211_main3美しいメロディーが印象的な『メモリー』は世界中で愛されている

僕の書いた最新作「BEFORE AFTER」(日本のミュージカル座で制作中。次回12/17-20 上演。http://www.beforeafterjapan.com/)ではウェバーと同じく音楽的な効果をたくさん使った。例えば男女二人のデュエットでは不協和音で不安を表し、同じ歌詞を違う旋律で歌うことで気持ちのすれ違いを表している。舞台の最後では二人がその同じ歌詞を同じ旋律で歌い、心がひとつになったことを表現した。

「BEFORE AFTER」より『As Long As You’re There』。2014 年11 月ロンドンワークショップ公演ライブ音源。最後のフレーズのメロディーが伏線となっている。

僕はイギリスの”現代ミュージカル作家”と分類されるらしいが、それがどういう意味を持つのかはよく分からない。僕はただ、心のままにメロディーを書き、物語を語り続けてきただけだ。そして18 年が過ぎ、今や世界中に僕の音楽を楽しんでくれる人がいる。常に新しいサウンドを追い求めるミュージカルの世界では多種多様な音楽が次々と生まれている。それはそれで素晴らしいことだけど、僕はこれからもメロディーの持つ力を信じて、魂の底から書かれた自分の音楽をたくさんの人に、長く聴いてもらいたいと思う。


Text&Photo by Stuart Matthew Price

plofile
スチュアート マシュー・プライス

スチュアート・マシュー・プライス

役者、作詞・作曲家、プロデューサー。
2007年、「Parade」でデビュー。その後「Sound of Music」、「Shrek」、「Rocky Horror Show」や、コンサートにも多数出演。一方、作詞・作曲家、またプロデューサーとしても活躍。作詞作曲は14歳で始め、これまでに5作を発表している。2010年、アルバム「All Things In Time」をリリース。その類稀な歌唱力、表現力、美しい楽曲は高く評価されている。2014年にミュージカル座より依頼を受けて執筆したミュージカル「BEFORE AFTER」が話題となっている。

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ミュージカル座12月公演
『BEFORE AFTER』

公演期間:2015年12月17日(木) ~ 12月20日(日)
公演会場:d-倉庫(日暮里)東京都荒川区東日暮里6-19-7-2F
(日暮里駅南口より徒歩7分)
TEL:03-5811-5399
公演会場 Webサイト
http://www.beforeafterjapan.com

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