2016.09.22

ブリティッシュ“ライク” vol.13 靴べらの必要性

靴べら=男性の小道具とイメージされる方も多いのではないだろうか。近頃では百貨店やセレクトショップなどで、女性が靴を履く際に靴べらを使用せずに着用するという光景をよく目にする。そもそも靴べら自体がその場に存在しないことさえあるのだ。
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靴べらを使用する理由は、いたって単純明快でシンプルだ。靴を守るためである。履いたり脱いだりと、負担のかかる踵部分を守るためだ。靴べらを使わず、踵を踏みつけて履いてしまえば、どんなに美しい靴も数ヶ月で見るも無残な形になってしまう。できるだけ長く、かつ美しく靴を履き続けたいと望むのは男女問わないはずだ。

もう一点は、靴べらがあると靴が履きやすいという圧倒的な利便性だ。これに関しては説明するまでもないが、履く際に靴べらがあるとないとでは雲泥の差が生じるものだ。迂闊にも靴べらを携帯し忘れたときは不便で仕方ないし、他人のそれではどうも落ち着かないのである。

では、何故これほどまでわかりやすい事実にも関わらず、靴べらが使用されないかというと、おそらく面倒臭いからだろう。我々は、好きなデザイン、カラー、そして値段と様々な選択ができる。しかし、残念ながら靴の方は持ち主を選ぶことができないのである。それならば、一度選んだからには最後まで連れ合うというのが人情というものであろう。

また、「靴べらを携帯することはお洒落だ」などと力説する輩もいるがこれはどうも訝しい。冷静に考えてみて欲しい。食事をする際には箸やカトラリーが必要である。車を所有するには車庫が必要である。それとまったく同じことで、靴と靴べらも切っても切れない関係なのである。それゆえ、先程の発言は、「ご飯を食べるときに箸を使うのだ」と豪語するくらい野暮なことなのである。”靴べら”という小道具が制作された真意について今一度考えてもらいたい。

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ジャイアンツがリーグ優勝を逃した(しかも2 年連続で)こともあり、気が立っているのかもしれない。今回は少々手厳しい内容になってしまったかもしれないが、秋冬のシーズンが来る前に、一度靴べら、引いては靴、広義には自身の服装について考えてみる時間となってもらえれば嬉しい。

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Text & Photo by Shogo Hesaka

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部坂 尚吾

部坂 尚吾

1985年山口県宇部市生まれ、広島県東広島市育ち。松竹京都撮影所、テレビ朝日にて番組制作に携わった後、2011年よりスタイリストとして活動を始める。2015年江東衣裳を設立。映画、CM、雑誌、俳優・タレント・文化人のスタイリングを主に担い、各種媒体の企画、製作、ディレクション、執筆等も行っている。山下達郎と読売ジャイアンツの熱狂的なファン。
江東衣裳
http://www.koto-clothing.com

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