2017.02.02

バス、ときどき地下鉄~英国ヴィンテージな旅へ ヴィンテージカフリンクスを楽しむ

初めまして。私はイギリスアンティーク・ヴィンテージ雑貨ディーラーとして、都内の蚤の市やアンティークマーケットで販売を行っているイギリス愛好家です。私の大好きなファッションを中心に、私のイギリスに対する思いやこだわり、ディーラーとしてのエピソードなど、つれづれを書かせていただけることになりました。おつき合いいただけましたら幸いです。

初回のテーマは、「ヴィンテージカフリンクス」。
小さくても自分スタイルをもっと演出できるファッションアクセサリーです。当店では、ビジネスにもカジュアルにも使える「ヴィンテージカフリンクス」を取り扱っており、男性だけでなく女性にも、ぜひさりげなくファッションに取り入れていただけたらという思いでご紹介しています。

カフリンクスとの出会い

20代、会社員時代。「オフィスカジュアル」という言葉はまだなく、社内はみんなコンサバなスーツばかり。でも、人と違っていたいと思っていた私は、ジャケパンスタイルやカラフルなネクタイで自分なりのスタイルを楽しんでいました。そんな時に出会ったのが「カフリンクス」というアイテムでした。
初めてのカフリンクスは、百貨店で見つけたシンプルなシルバーカラーのもの。着けた時の気恥ずかしさは今も忘れがたい思い出です。当時の上司から言われたのは「会社でカフスするなんて、驚いたよ」。今にして思えば下っ端の部下がカフリンクスを着けているなんて、ちょっと生意気に映ったのかもしれませんね。

ヴィンテージカフリンクスにハマる

さて、カフリンクス初心者の私が初めて買ったヴィンテージは、都内の英国古着屋でした。ぎっしりと詰まったトランクに目を凝らして見つけたのは、シンプルなスクエアのスターリングシルバーのもの。持っていた現代ものよりも、華奢な印象でした。ややくすんでいたのが気になり、店員の方に聞くと「磨くと取れますよ」。確かにこれまでとは違うものだ!とワクワクし、心が躍ったことを思い出します。

しかし・・・使って間もないある日、腕を机の端に思い切りぶつけてしまい、カフリンクスが少し曲がってしまったのです。すぐさま購入した古着屋に駆け込むと、「スターリングシルバーは金属としては柔らかく、曲がりやすいですが戻せるんですよ」とのこと。実際にすぐ戻すことができ、ホッとしました。
ヴィンテージ品は一点ものであるがゆえ、それを所有する「優越感」とともに、その「繊細さ」や「儚さ」も併せ持つことを覚えました。それが大切に扱うことにつながり、やがて魅力に変わっていったのです。
カフリンクス 上・2色のブルーエナメル スクエアタイプ
右・初めてのヴィンテージ スターリングシルバー
下・ブラウンとホワイトエナメル 六角形タイプ

集まったヴィンテージカフリンクス

私が収集したヴィンテージカフリンクスを見ていると、大きく分けてシルバーやゴールドなど金属(地金)の色だけでできているものと、エナメルなどでカラフルに装飾したもの、白蝶貝が使われたものがあります。資料などを開くと、金属に彫金が施されたものやルビーやエメラルド、サファイアなど本物の石を使って色を入れたもの、真珠を使ったものなど、時代の様相を映しながら高価なものから安価なものまで様々に作られていたようです。カフリンクスはアンティークジュエリーの書籍にも数少ないながらも取り上げられており、メンズアクセサリーの中でも、レディースアクセサリーの要素を持つものだと感じます。

そしてヴィンテージの魅力は、現代では見ることのできないデザインを楽しむことであったり、数十年を経てきた時間の重みを感じることではないかと思います。
私が特に気に入っているものの一つに「アール・デコ」デザインのものがあります。1910年代半ばから始まったといわれる新たなデザインムーブメントは、幾何学的な要素や色の使い方に特徴があり、やがてアクセサリーにも取り入れられます。
実はメンズスーツの一つの完成形ともいわれているのが1930年代スタイル。私にとっては、1930年代スタイルスーツとアール・デコデザインのカフリンクスの組み合わせが、時代のアイコンとして強烈にインプットされています。今でも色あせることのない魅力を、この時代のものに感じます。
資料1 資料1:アール・デコデザイン
*出典:Susan Jonas and Marilyn Nissenson, CUFF LINKS (Harry N. Abrams, Inc., 1991)
資料2 資料2:アール・デコデザイン
*出典:Susan Jonas and Marilyn Nissenson, CUFF LINKS (Harry N. Abrams, Inc., 1991)
資料3 資料3:ジュエリーとしてのカフリンクス
*出典:John Benjamin, ANTIQUE JEWELLERY(ANTIQUE COLLECTORS’ CLUB, 2003)

カジュアルにも使えるヴィンテージカフリンクス

ヴィンテージ品だからといって恐る恐る使う必要はありません。大切に受け継がれて現代に残っているということは、そのモノが持つ力。思う存分楽しみながらヴィンテージを身につけてください。

男性が着ける時、特にシルバーやゴールドなどの金属色のもの、白蝶貝が入ったものは、結婚式などフォーマルシーンに相応しい種類です。カフリンクスを着けることで、自分のファッションに高級感を添えるのと同時に、相手に対する敬意をさりげなく、しっかりと伝えることができるのです。
カラーエナメルのものは日常的にも使えます。スーツやジャケットスタイルに合わせて同系色でも良いですし、反対色でポイント使いしてもいいですね。小さいからこそできるお洒落です。
カラーエナメル カラーエナメルをカジュアルに
私はこのカフリンクスをもっと普段使いしていただきたいと思っています。休日のオフのスタイルに使えたら楽しいと思いませんか?オイルドジャケットやツイードのカントリージャケットに合わせたり、デニムやスニーカーに合わせたり。とても新鮮です。帽子やマフラー、靴などと同じくファッション小物として使えるアイテムが増えると楽しみは広がります。私は今、そんなスタイリングを楽しんでいます。

そしてカフリンクスは女性にこそ身につけていただきたいアクセサリーです。

実際に私が蚤の市やマーケットに出ていると、男性と同じくらい女性も、カフリンクスをしげしげとご覧になり「これは何ですか?」と、興味津々に質問して来られます。ご説明すると「かわいい!」という声も少なくありません。中には、「こないだカフリンクスを衝動買いしてしまって、これからダブルカフスシャツを仕立てるんですけど、アドバイス下さい・・・」と、蚤の市に再び私を訪ねて来られたお客様もいらしたほどです。
カフリンクス 女性もアクセサリーのひとつとして
私は女性にこそ、このアイテムを着けて欲しいと思っています。男性と違って、女性が普段身にまとうジュエリーやアクセサリーは多種多様。ネックレスやリングにカフリンクスを合わせることで、華やかさや新鮮さが加わります。ダブルカフスシャツは誂えなくても、シャツ専門店で取り扱っているところもあります。

普段は上着に隠れていても、ふと腕を伸ばした時に見えるカフリンクスに、これまでとは違うエレガンスを感じる方も多いのではないでしょうか。それを着ける方も、見る方も。

ファッションアクセサリーとしては歴史がありながら、やや控えめな存在のカフリンクス。でも知っている人は、腕元のお洒落を楽しんでいます。次はあなたが身につけて、これまでのコーディネートにキラリとスパイスを効かせてみてはいかがでしょうか。きっと誰かの目に留まって、お洒落な人だなと思われますよ。

Text&Photo by Toshihiko Tomizawa

plofile
富澤利彦

富澤利彦

靴・服好きが高じ30代に初めて渡英。以来、会社員時代はずっとブリティッシュスタイル。ファッションから広告・雑貨にも興味は広がり、2016年から妻が始めた「Antiques Harmonics」に本格的に参加。新旧の英国モノを毎日楽しむ日々を過ごしています。

Antiques Harmonics
(アンティークス・ハーモニクス)

いつものファッションを“背伸びしないで新鮮に変える”Men’s/Ladies’アクセサリーをはじめ、企業ノベルテイ、ステーショナリー、レアな鉄道・Royal Mailグッズまで幅広くセレクト。「イギリスらしい/デザイン性がある/くすっと笑える」そんなココロを豊かに満たしてくれるアイテムたちを探し当てては、マーケットや蚤の市、イベントで販売しています。皆さまとお会いできることを楽しみにしております。
http://aharmonics.exblog.jp/

富澤利彦さんの
記事一覧はこちら

RECOMMEND