2017.08.17

English Garden Diary 自然の恵みを楽しむイギリス人の暮らし

8月の中旬以降になると、イギリス人が楽しみにしているのがブラックベリー摘み。

日本ではブラックベリーを見かけることは少ないかもしれません。これは、ラズベリーに似た形をした木苺で、まるで黒真珠のようにツヤツヤと光沢のある黒色をしています。
20170817_garden_003 ブラックベリーが実る頃は、もう秋の気配を感じるイギリス
今の時期になると、道路の脇や草原、林など、イギリス国内では、あらゆるところで実をつけたこの植物を見かけます。そして、イギリスの人々は、これを摘んでジャムやコンポートにしたり、リンゴと一緒に「クランブル」というお菓子にしたりするのです。
20170817_garden_001 フルーツのコンポートとクリームだけで作るイギリスの伝統デザート「フール」をブラックベリーで
子どもの頃、夏休みの終わり頃になると家族でブラックベリー摘みをした、という思い出のあるイギリス人はたくさんいます。

指先を紫色に染めて、器に入れるよりも口に入れるほうが多いと親に笑われながら、ずんずんとブラックベリーの実っている小道を進んでいく。すると、枝についた棘にひっかかって腕に傷ができ、泣いてしまった……。

そんな幼い頃の記憶を蘇らせるノスタルジックな存在がこの果物なのです。
20170817_garden_004 別名「ブランブル」とも呼ばれるブラックベリー。スーパーでも買えますが、やっぱり摘みたてがおいしい
さて、野にある食用植物などを採集することを「フォラジング(Foraging)」といい、イギリス人は、昔から自然の中から様々な恵みを分けてもらうこの食物採集を楽しんできました。きのこやワイルドガーリック、ネトルなど、イギリスではさまざまな食用植物を見つけることできますが、ブラックベリーはその代表的存在といえるでしょう。

昔であれば、少しでも食材の足しになるという実用性が重要だったことと思いますが、現代では、エコロジー的視点で植物採集をしている人たちも少なくありません。

ガーデニング関連のテレビ番組や、ガーディアン紙の園芸コラムなどでも人気の園芸家・園芸ジャーナリストのアリス·ファウラー(Alys Fowler)さんも、その著書でForagingをすすめています。
20170817_garden_002 Alys Fowlerさんの著書「The Edible Garden」には、Foragingのススメが紹介されている
自然のものを採集するといっても、いえ、自然のものだからこそ、摘む際にはルールを守らなければいけません。

○許可の必要なところで無断で植物を採ってはいけない。
○植物を摘むときには、その後、植物があらたに成長できるよう、すべてを採ってしまわず、必要な分だけにすること。

などをAlys Fowlerさんは注意しています。

ロンドンのような大都会でも、緑の多い場所に行けばブラックベリーが見つかることはよくあります。車の排気ガスに触れるところや、犬の背丈サイズのものは避けるべきですが、ちょっと背伸びをして届くところにある黒い実を、ひとつつまんでみてください。

口に広がるちょっと渋くて甘酸っぱい実は、イギリスの「夏の名残」の味がするはずです。

Photo&Text by Mami McGuinness

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マクギネス真美

マクギネス真美

イギリス在住の編集&ライター。9年半の雑誌編集を経て「ちょっと長めのホリデー」のつもりで渡英。たくさんのあたたかな人たちとの出会いにより滞在が長期化し、現在に至る。 2004年よりイギリスを拠点に書籍・雑誌・新聞・インターネット等にて企画、編集、取材、執筆、コーディネイト、撮影を手がける。テーマはライフスタイル、ガーデニング、料理、人物インタビューや旅ガイドなど。メディアを問わず、イギリスの素敵なひと、場所、ものごとをひとりでも多くの方に伝えたいと考えている。『英国ニュースダイジェスト』ではイギリスの食に関するコラム「英国の口福を探して」を連載中。2012年以降、文化放送、NHKラジオ、TOKYO FM等のラジオ番組に出演も。
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