2017.07.27

ブリティッシュ“ライク” ロバート・ミッチャム扮する名探偵“フィリップ・マーロウ”

これまで何度か探偵を題材としてこの場で紹介してきた。“ブリティッシュライク”と名目しているだけに、無論その趣旨からは外れないようにしているつもりである。しかしながら今回は、ハードボイルドの金字塔としても名高い、アメリカはロサンゼルスの名探偵”フィリップ・マーロウ”について紹介したい。先述した趣旨を放棄した訳ではなく、これにはちょっとしたからくりがあるためどうぞお付き合いいただきたい。

さて、銀幕でフィリップ・マーロウを演じた役者の代表格はハンフリー・ボガートと言っても過言ではないだろう。その他にはロバート・モンゴメリー、ジョージ・モンゴメリー、エリオット・グールドなど、制作された年代や作品も様々だ。そんななか、VHSのみで長らくDVD化されていなかったロバート・ミッチャム版のフィリップ・マーロウのシリーズが復刻されたのである。それのみか、ミッチャム主演の「大いなる眠り」の舞台は、ロサンゼルスではなくなんとロンドンなのである。設定はどうなっているのかと訝しむ方も多いだろう。僕自身ミッチャム版のマーロウを初めて鑑賞したが、アメリカ人であることは変わらず、かくかくしかじかでロンドンに流れついたということになっており、さほど違和感は感じられなかった。実際のマーロウの年齢に対して彼は少々老けすぎているという意見もあるようだが、圧倒的にクールなボギーとは異なり、円熟味のある落ち着いたたたずまいのミッチャムに非常に好感を持った。余談だが、小説ではフィリップ・マーロウの身長は186cmで、「意外と背が高いのね」と言われる台詞がある。そして、身長173cmのボギー版の映画「三つ数えろ」では「意外と背が低いのね」とされており、身長185cmのミッチャム版では小説通りになっているのが面白い。

20170727_001
じつは「大いなる眠り」だけではなく、同じくフィリップ・マーロウのシリーズである「さらば愛しき女よ」も復刻されているためこちらにも少々触れておきたい。本作の舞台はロンドンではなく、ロサンゼルスだが、前者に劣るとも勝らない作品だった。マーロウのスタイルについてはファッション誌などでも取り上げられているが、彼が愛用しているアイテムについては、明確な描写があるわけではないので断定が難しい。しかし、この作品ではマーロウの身に付けている時計がROLEX 1603 DATE JUSTであることがわかるシーンがある。DATE JUSTは師が身に付けている時計と同型(厳密に言うと1601 DATE JUST)でもあり、ずっと気にかけているモデルだ。加えて、大好きなマーロウが身に付けているのを見て改めてその物欲が加速し、最近は時計屋に足繁く通っている有様だ。
話が逸れたが、この作品に登場する英国人女優シャーロット・ランプリングの美貌もすば抜けており目を奪われる。ちなみに彼女は卓越した演技力に加え、英、仏、独、伊、西語まで達者という並外れた言語力も有しており、天は二物を与えずという言葉が真っ赤な嘘であることがよくわかる。ボギー&ローレン・バコールの組み合わせも素敵だが、ミッチャム&ランプリングの組み合わせも捨てがたい。本作が日本で公開されなかったことは残念な話である。
20170727_003 20170727_002
ここまでフィリップ・マーロウについて紹介してきたが、マーロウとの出会いは映画でもなく、レイモンド・チャンドラーの小説でもなくこの本だった。
20170727_004

Photo&Text by Shogo Hesaka

plofile
部坂 尚吾

部坂 尚吾

1985年山口県宇部市生まれ、広島県東広島市育ち。松竹京都撮影所、テレビ朝日にて番組制作に携わった後、2011年よりスタイリストとして活動を始める。2015年江東衣裳を設立。映画、CM、雑誌、俳優・タレント・文化人のスタイリングを主に担い、各種媒体の企画、製作、ディレクション、執筆等も行っている。山下達郎と読売ジャイアンツの熱狂的なファン。
江東衣裳
http://www.koto-clothing.com

部坂 尚吾さんの
記事一覧はこちら

RECOMMEND