2017.08.03

バス、ときどき地下鉄~英国ヴィンテージな旅へ イギリスの朝はHOVISパンでスタート

「HOVIS」というブランド名をご存じでしょうか?

イギリスに行くと食事に欠かせないパン、これが渡英時の楽しみの一つでもあります。とにかくおいしいのです!スーパーで食パンコーナーに行けば、種類は豊富、かつすべてがリーズナブル。パン好きの自分にとっては天国です。その中でまず間違いなく出会えるこのロゴ。1886年創業、英国を代表する食パンブランドです。

いつも渡英の際には必ずスーパーで見かけていますが、この春の渡英時にはHOVISにまつわる出来事がいくつかあって、私と妻はすっかりファンになってしまいました。今回はそんなエピソードをご紹介したいと思います。

HOVIS二袋を差し入れてくれたAirbnbホスト

春の買い付けで最後に泊まったAirbnbは2泊3日。この期間、物件のホストは留守中で、初日に案内してくれたのは、彼女のお父さん(とっても気のいいコックニー。なんと帰路はヒースローまで車で送ってくれました!)でした。部屋を一通り説明してくれたあと「これ、娘から買うように頼まれたんだ。間違いなく、HOVISのこの種類にしてねって指定されてねえ」と笑いながら、一袋の食パンを手渡してくれたのです。そのこだわりとホスピタリティには驚きました。いただいたパンには「GRANARY Wholemeal(全粒粉)」と書いてありました。

そしてお父さんが帰った後、改めて荷物を整理しながら、私たちがキッチンカウンターに見つけたのは・・・。ホストが差し入れてくれた玉子10個、バター、そして、なんともう一袋のHOVISパン!こちらは「SEED SENSATIONS」という種類で、ひまわり・かぼちゃ・けしなどの種がたくさん入ったもの。それぞれ一袋は20枚ほど、そして私たちの滞在はたったの3日間。なんて太っ腹。

妻と顔を見合わせて、はてさてこれはどうしたもんだろう?としばらく頭をひねったのち、せっかくなのでHOVISは全部いただこうということに。毎日朝食に食べて、ランチにはサンドイッチを作り、夕食にもせっせと食べて。2種類のHOVISはどちらもとても美味しく存分に楽しむことができて本当にうれしかったのです。それでもさすがに食べきれず、結局残りは日本に持ち帰ってしまいました!忘れられないHOVIS体験です。
hovis イギリスのAirbnbホストが私たちに用意してくれたHOVISパン(画像:HOVIS HPより)
hovis seed ひまわりやかぼちゃなど種がたくさん、プチプチおいしい“SEED SENSATIONS” (画像:HOVIS HPより)
20170803_egg 差し入れでいただいた玉子をたっぷり使ったHOVISサンドイッチ

イギリスの国民食として130年愛されるブランド

食パンの歴史をすこし紐解いてみますと、1920年代頃イギリスにおいて食パンは

「調理をしなくても食べられる」
「焼き立てで包装され、オーブンから家庭にそのまま届く」
「衛生的で革新的な食べ物」

と謳われて重宝されたようです。それまで日々家庭で手作りされていたパンが既製品として買えるようになったことは、主婦にとっては手間が省けて大助かりだったのではないでしょうか。その後食パン専用の業務用カッターが開発され、1930年代には予めスライスされた食パンが販売されるようになりました。

イギリスの朝食に出てくるカリッと焼かれたトーストは、日本の食パンよりずっとコンパクトで、驚いた経験がある方も少なくないのではないでしょうか。厚みは「MEDIUM」「THICK」などいくつかあるようですが、日本の8枚切りよりも薄い印象です。また面積も日本のものと比べて一回り小ぶりです。この独特なサイズ感が「イギリス食パンの独特な味わい」にもつながっている気がします。
20170803_syokupan 左がHOVIS食パン、右が日本の食パン

栄養豊富で安いイギリスの食パン

さて私たちは渡英時に、宿に荷物を置いたらすぐにスーパーへ食材の買い出しに出かけます。中でも食パンは真っ先に入手する食材のひとつです。まず驚くのはHOVISパンの安さ。一袋に20枚ほど入って1ポンド前後。一方、食パンにはスーパーのPB商品もあり、こちらは更にお安く1ポンドを下回ります。

また食パンの種類はとても豊富です。白いパンだけでなく、茶色い全粒粉パン、穀物や種子がふんだんに入ったもの、最近では糖質や脂肪・砂糖を控えたタイプもあるようです。

私たちは「イギリスではパンを楽しみたい!」ということで、まずHOVISの全粒粉のものをいただいて、次はあっさりスーパーPBの白パンを選んで・・・と、できるだけいろんな種類のパンを味わっています。でも一袋20枚ですからやみくもに何袋も買えるわけではありません。どれを選ぶかは真剣です!(笑)

HOVISパンの楽しみ方

大袋のHOVISパンをいかに楽しむか?

まずは王道の「トースト」。
そして乳製品大国イギリスではバターも安価でおいしく、バタートーストだけで何枚も食べたくなるような至福の味。お値打ちな地元産のジャムやはちみつも、スーパーで気軽に買える「ごはんの友」ならぬ「パンの友」です。お好みが分かれるあの「マーマイト」も、私たちの大好物。バタートーストやチーズトーストにちょっとつけて楽しんでいます。
20170803_jam 食パンとともに楽しめる「パンの友」。ジャムやはちみつ、チョコスプレッド、そしてイギリスが誇るあの味まで
二つ目は「食事どきに、ごはんの代わりとして」。
いわゆる「食事パン」として、朝食だけでなく夕食にも。ソテーした野菜や肉、スクランブルエッグをのせたり、具だくさんスープを添えたりして、満足度の高い食事になります。
画像でご紹介するのは「ブレッドサラダ」。わが家の定番メニューをイギリスのパンで作れるなんて!パン自体が栄養満点なので、火を使った料理をする元気がないときや、食欲がないときのおすすめレシピです。

*バックナンバー「野菜炒めができるなら、Airbnbでイギリスを楽しめる」で、私たちのイギリスごはんの画像を他にも載せていますので、よろしければご参照下さい。
ブレッドサラダ 食パンを焼いてカット。生野菜とともにオリーブオイル・塩で和えるだけ「ブレッドサラダ」
三つ目は、私たちの買い付け定番ランチ「手作りサンドイッチ」です。
買い付けの時は食事の時間があまり取れないことも多く、サクッと食べられる食事が嬉しいですし、自分たちの体調管理を考えても手作りのものが安心です。簡単に作ろうと思えば、スーパーでツナマヨネーズやチキンティッカ、フムスといったパック惣菜を買ってきて、レタスとともに挟む。あるいは、ジャムやピーナッツバターで甘いデザート的なサンドイッチも、手軽にできてしまいます。

サンドイッチの国らしく、イギリスにはサンドイッチ専用のビニール袋も売っています。昨年発見したばかり。サンドイッチ2~3個が収まる大きさで、薄手でかさばらずとても便利です。
20170803_bag サンドイッチ専用バッグに入ると、手作りでも様になります

HOVISにまつわるアイテムとの出会い

この春の渡英では、HOVISにまつわる面白いモノとの出会いがありました。
一つ目はスーパーで。「HOVISのダイジェスティブビスケット」。
20170803_hovis_cookie HOVIS Digestive BISCUITS WITH WHEATGERM
HOVISと書いてあるビスケットをよくよく見ると食パンの形をしています。これは言われないと気づかないですね。イギリス人のHOVIS愛を感じるお菓子です。
サクッとかじると、ふわっと麦の香りがする軽い食感のビスケットは紅茶にもよく合います。ついつい、食べ過ぎてしまうキケンなおいしさです。

二つ目は、アンティークマーケットで出会った古いTin缶。
20170803_breadbox1 左:フタに「HOVIS SANDWICHES」の文字 右:コンパクトに折りたためます
HOVISの折り畳み式サンドイッチボックスだそうです。1920~30年代と思われます。当時はまだビニールなどの素材がありませんでした。そのため、柔らかいサンドイッチを持ち運ぶためにはボックス的なものが必要と考えたのでしょう。それをブリキで、折りたためる機構付きで作った、そんなスグレモノ雑貨です。ランチを食べ終わったらコンパクトに持ち帰れるなんてとても合理的ですね。1920~30年代にこのようなものが存在したとは、HOVISブランドの歴史を感じさせます。
20170803_breadbox2 左:中身を入れるとこのサイズ 右:食べた後はこの薄さで持ち帰り
最近、我が家で常備している食パンが変わりました。パスコ「超熟」の10枚切り。この薄さを見つけて即決でした。完全にHOVISの影響です。

次の渡英ではどの味のHOVISでサンドイッチを作ろうか?他にはどんなパンに出会えるだろうか?

この10枚切り食パンをトーストするたびに、イギリスのスーパーの食パン売り場で行ったり来たりする自分の姿を思い浮かべています。

Text&Photo by Toshihiko Tomizawa

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富澤利彦

富澤利彦

靴・服好きが高じ30代に初めて渡英。以来、会社員時代はずっとブリティッシュスタイル。ファッションから広告・雑貨にも興味は広がり、2016年から妻が始めた「Antiques Harmonics」に本格的に参加。新旧の英国モノを毎日楽しむ日々を過ごしています。

Antiques Harmonics
(アンティークス・ハーモニクス)

いつものファッションを“背伸びしないで新鮮に変える”Men’s/Ladies’アクセサリーをはじめ、企業ノベルテイ、ステーショナリー、レアな鉄道・Royal Mailグッズまで幅広くセレクト。「イギリスらしい/デザイン性がある/くすっと笑える」そんなココロを豊かに満たしてくれるアイテムたちを探し当てては、マーケットや蚤の市、イベントで販売しています。皆さまとお会いできることを楽しみにしております。
http://aharmonics.exblog.jp/

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