2018.06.15

イギリス建築を愉しむ。 ダウントン・アビーのロケ地めぐりPart.1

イギリスの人気ドラマ「ダウントン・アビー」

お気に入りの映画やテレビドラマ。建築家の私としては、その舞台となった建築物もとても気になります。そこで、今回から数回にわたり、ロケ現場に使われたイギリスの建築を、私自身が巡って愉しんだ記録をご紹介したいと思います。まずご紹介させていただくのは、日本でもNHKで放送されて大人気だったテレビドラマ「ダウントン・アビー」のロケ地です。
このドラマで主役級に使われた「Highclere Castle(ハイクレア城)」。美しいバース・ストーンで建てられた館です。

「ハイクレア城」

ロンドン・パディントン駅から列車で約1時間半。ニューベリー駅で降り、そこから車で15分ほどで、このドラマで一躍有名になったカントリーハウス「ハイクレア城」に到着します。これを手掛けた建築家は英国国会議事堂を設計したチャールズ・バリーです。実はこの建築物は中世からすでに存在していましたが、増築・改築を重ね、1839年~1842年にチャールズ・バリーがデザインした図が、現在の姿となっています。ハイクレア城の建築様式は「ジャコビアン・リヴァイヴァル」と呼ばれ、国王ジェームズ1世の時代(1603~1625年)の建築様式をリヴァイヴァル(復活)させたデザインです。特徴としては、塔(タワー)やゴシック建築の装飾を用いたり、ストラップ・ワークという型抜き状の石の装飾を、屋上の手摺りや玄関ポーチに取り入れます。
四隅(または二隅)の塔(タワー)は、建物を大きく見せたり、左右対称を強調する効果があります。 タワーの頂部には「ピナクル」と言う小尖頭をつけ、ゴシックの要素を演出しています。
玄関ポーチ上部のストラップ・ワーク。紋章や模様を石でくり抜いた装飾が力強く美しいです。 よくご覧戴くと、外灯と外灯の間に「MDCCCXLII」と刻まれています。
これはローマ数字で、「1842」、つまりチャールズ・バリーが設計した1842年を意味します。16~17世紀のイギリスでは、設計や完成の年号を建物の外壁や暖炉の枠に刻むことが流行したため、この要素も併せて復活させ、デザインに取り入れられています。
ドラマと同じこの入口から建物の内部も見学できます。残念ながら室内撮影は禁止ですが、ゴシック建築のホール「Saloon(サルーン)」や、イギリス紳士のステイタスだった大容量の本を収蔵する書庫(書斎)の「Library(ライブラリー)」、ロココ調の煌びやかでエレガントな「Drawing Room(ドローイング・ルーム)」など、ドラマに登場した部屋がご覧いただけます。是非ウェブサイトからご予約の上、訪れてみてはいかがでしょうか。

Highclere Castle
住所: Highclere Park, NEWBURY, RG20 9RN
URL:highclerecastle.co.uk

「バンプトン」

コッツウォルズ・オックスフォードにある小さな村「Bampton(バンプトン)」も、ドラマ内でハイクレア城に続き登場回数の多いロケ地です。
マシューとマシューの母イザベルの家として使われた「クローリー邸」。端正なシルエットの外観に半円形の出窓が愛らしいアクセントになっています。
結婚式や葬儀の行われた「セント・メアリー教会」。
ドラマの中ではクローリー邸と教会はとても離れた場所のように撮影されていますが、実は隣に建っています。
こちらはドラマ内では病院として使われましたが、実際は図書館です。クローリー邸の左隣に建っています。
図書館の中には、ドラマの人気のおかげでギフトショップも!
ギフトショップでは、ドラマの撮影風景をおさめたパンフレットや、マップも販売されています。 このマップを片手に散歩をすると、ドラマのシーンが次々と蘇ります!
バンプトンはとても小さい村ですので、30分もあれば可愛らしい家をたくさん見ることができます。
次回もどうぞお楽しみに。

Photo & Text by Koichi Obi

関連リンク
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ジョージアン様式の街「バース」


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小尾 光一

小尾 光一

工学院大学工学部建築学科卒業後、輸入住宅会社、リフォーム会社勤務を経て、「地面から生えたような」と形容されるイギリスの家に魅了されて渡英を繰り返し、デザイン・知識の習得とともにイギリス建材の開拓を重ね、2000年にコッツワールドを設立。イギリスであれば何処のエリアの建物も、そしてインテリアも実現するイギリス住宅専門の建築家として活動中。日英協会、イギリスを知る会所属。
著書「英国住宅に魅せられて」

ホームページ:
www.cotsworld.com
ブログ:
cotsworld.blog136.fc2.com
Facebook:
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