
今季ブリティッシュメイドでは、かつてないほど異色のコラボレーションが実現! シンガポールの人気ショップ「コロニークロージング」でベストセラーを誇る“プールサイドシャツ”に着目し、人気スタイリスト四方さんとともに別注モデルを考案。三者コラボならではのミックステイストが光る、特別な一着が完成しました。そのメイキングストーリーを、コロニークロージング創業者の河村浩三さん&四方さんに語っていただきました。
【TOPIC 01】
偶然が生んだ三者コラボレーション

国内屈指のセレクトショップでキャリアを積んだ河村浩三さんが2013年にシンガポールへ渡り、“ニューコロニアルスタイル”をテーマに掲げて創業した「コロニークロージング」。世界有数の国際都市を舞台とし、なかでもベストセラーになっているアイテムのひとつが、“プールサイドシャツ”と名づけられた一着。その名のとおり、本来は夏のリゾートシーンを想定して生まれたものですが、それを“ウルトラスエード”という先進素材でアレンジした秋冬バージョンが2023年に登場。そこにブリティッシュメイドが着目し、河村さんにコラボレーションをもちかけたところから今回のプロジェクトはスタートしました。そのエピソードを振り返りつつ、四方さんも交えて別注モデル完成までの経緯をお話しいただきましょう。
ーー河村さん、四方さん、今回は別注モデルの製作にご協力いただきありがとうございました。初めての挑戦でしたが、とてもいいものが完成したと思います。でも、このような三者コラボが実現したのは一種の偶然が働いた結果でもありましたよね。
河村 おかげで僕としても大変面白いプロジェクトになりました。実は当初、ブリティッシュメイドと僕たちだけで進めていた企画だったところに、四方さんがジョインしてくださる形になったんですよね。
四方 そうですね。なので実は僕、そもそもなぜコロニークロージングとブリティッシュメイドがコラボすることになったのかという理由を知らないんですが、どういった経緯があったんですか?
河村 お声がけをいただいたきっかけは、「ブリティッシュメイドの世界観に沿いつつ、これまでにない切り口のアイテムを展開したい」というご要望をいただいたことでした。気候変動やライフスタイルの変化によって、以前よりも軽やかなスタイルが主流になるなかで、僕たちのコレクションに目をつけていただいたんです。なぜシンガポール?と疑問をもった方もいらっしゃると思いますが、シンガポールはもともと英国領として発展した経緯がありますし、今もスーツでドレスアップしてパーティへ赴くような紳士の文化が継承されています。さらにコロニークロージングに関していえば、僕自身の英国趣味が色濃く反映されているブランドでもあります。というのも僕、前職の時にはファーラン&ハーヴィーやジョージ クレバリーといった英国ビスポークブランドを担当していまして、ブリティッシュは今でもスタイルの柱のひとつになっているんです。そのあたりにブリティッシュメイドとの親和性を見出していただいた次第です。

ーーそして、ウルトラスエードのプールサイドシャツを展開しよう!という話まで決まったところで、四方さんの名前が偶然出てきたんです。
河村 そうなんです。プールサイドシャツは胸元が大きく開いているのが特徴で、リゾートシーンでは素肌の上に着るわけですが、秋冬用のウルトラスエード版はインナーにタートルネックのニットなんかを合わせたら格好いいだろうな……となんとなく考えていたんです。そんななかで日本の雑誌を見ていたら、四方さんが僕との想像と全く同じスタイリングを披露してくれていた。“そうそう、こういうことだよ!”と思わず膝を打ちましたね。
四方 確かに、そんなこともありましたね。ウルトラスエードのプールサイドシャツ自体はすでに日本でも展開していて、個人的にいいなと感じていたんです。なので今回別注のお話をいただいたときは、不思議な縁を感じましたね。
見た目はスエード、着心地はスウェットな新感覚

ーーそういう流れで、「じゃあブリティッシュメイドのテイストを熟知している四方さんにも参加いただいて、別注モデルを作りましょうか」という運びになったんですよね。前置きが長くなってしまいましたが、四方さんから別注ポイントについてご説明いただけますか?
四方 大きくは2点あります。まずは、フロントにボタンをつけたこと。もともとはボタンレスのスキッパータイプで、胸元がゆったりとたわむデザインになっているのですが、ブリティッシュメイドのお客様ならもう少し胸元をきちっと見せたいというご要望もあるのではと考えました。もちろん外せばオリジナルと同じ表情になるので、2WAY仕様にしたという感じですね。ボタンホールを開けず、タブでボタンを留める形にしているので、原型の顔つきを極力キープしながら仕様変更を行っているのがポイントです。
四方 もうひとつは、裾のカッティングを変更したこと。オリジナルはラウンドした形になっているのですが、ブリティッシュメイドで展開しているシャツブルゾン「ワイト」と同じストレートカットにアレンジしています。シャツとしてだけでなく、ライトウェイトのブルゾンのような感覚で活用できる一着をイメージしました。ちなみに色も僕が選ばせていただいて、ブリティッシュメイドのメンズコレクションで人気のオフホワイトにマッチするライトベージュと、英国の定番であるネイビーの2色で作っていただきました。
河村 スタイリストさんらしく、コーディネートのしやすさに着眼点を置いた別注ですよね。狙いがとても明確なので、我々としても迷いなく製作することができました。実際完成したサンプルをご覧いただいて、感想はいかがですか?
四方 僕のイメージをうまく形にしていただいてありがとうございます!ということがひとつと、あとは改めてプールサイドシャツの魅力を実感できましたね。リゾートウェアをモチーフにしたシャツって今や色々あるのですが、いざ選ぶとなるとちょうどいいものが意外と見つからなかったりするんです。僕としては、リラックス感を表現するためのゆとりをしっかり確保しつつ、ルーズに見えすぎないものが理想なのですが、ドレスシャツブランドのものは概して細身で、カジュアルブランドのものはオーバーサイズすぎるものが主流。その点、このプールサイドシャツはゆとりの分量が完璧で、まさに“大人のリラックス感”を体現していると思います。
河村 そう言っていただけると嬉しい限りですね。今回のコラボを通して感じたのですが、四方さんのセンスと我々のフィロソフィーには相通じるものがあるなと。もともとコロニークロージングを始めたのは、“編集力”で勝負したいと思ったからなんです。僕は世代的にアメリカ・イギリス・イタリアスタイルの全盛期を経験していて、自分のなかにさまざまなテイストがミックスされています。その感覚を、ヨーロッパとアジアの融合によって生まれたコロニアルスタイルと結びつけて“ニューコロニアルスタイル”というコンセプトを見出しました。四方さんのアプローチにも、それに近しいミックス感覚があるように思えたのですが……。
四方 まさにそうですね。僕も“間”を攻めるのが好きで、ブリティッシュメイドの服作りでも“ドレッシーすぎずカジュアルすぎないものを”とか、“太すぎず細すぎず”みたいなところを追求しています。今回の別注シャツが想像以上によくできたのも、根っこにある感覚が共通していたからなんでしょうね。

四方 そして、このウルトラスエードも改めて素晴らしい素材だと感じました。しっとりとした手触りは最高級スエードさながらですが、実はこれ人工皮革なんですよね?
河村 はい、日本の東レが開発した素材です。いわゆる“合皮”とは一線を画すもので、実際並のリアルスエードよりも高価なんです。スーパーカーのシートに使われていることでも有名で、スエードよりも格段に優れた耐久性を誇り、色移りもしにくい。さらにストレッチ性も備え、水洗いできるという特性もあります。つまり、洋服作りにも最高の素材というわけですね。
四方 レザーシャツはお手入れの難しさが一番のネックですが、これは自宅で洗えるのですごく気楽に着られますよね。ストレッチ性のメリットも大きく、つっぱる感じがしないのもいい。
河村 言ってしまえば、スウェットのように着られるアイテムなんです。で、レストランディナーにも行ける高級感や上品さも備えている。そんな使い勝手のよさが魅力ですね。
四方 まさにそのとおりです。レザーシャツに敷居の高さを感じている人こそ、その便利さに驚くと思いますよ。
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【TOPIC 02】
ブリティッシュメイドの新作も続々到着

今季は新モデル「ドーバー」がデビュー
別注プールサイドシャツと同時に、四方さんがディレクションを手がけるブリティッシュメイド オリジナルコレクションの新作もお目見え。今季は「ドーバー」と名づけた新モデルもデビューしました。「ヴィンテージのハンティングジャケットにヒントを得つつ、モダンブリティッシュなテイストもミックスして製作しました。全体のムードとしては、ラギッド感を適度に中和して都会的に仕上げているのがポイントです。ポイントはショルダーラインで、ナチュラルな“なで肩”に設計しつつ前方にカーブさせて身体へ沿わせる形にしています。トラディショナルなブリティッシュチェックのウール素材を選んだところも特徴。ボリューム感のある見た目ですが、実際はかなり軽量で快適に着られるよう意識しました」(四方さん)
ジャケット:ハンティングジャケット/ドーバー ¥66,000(BRITISH MADE)
トップス:スウェットシャツ/レスター ¥20,900(BRITISH MADE)
パンツ:オフィサーパンツ / ポーツマス(フランネル) ¥36,300(BRITISH MADE)
シューズ:HOWARD R / ハワード ¥94,600(JOSEPH CHEANEY)「主張あるチェック柄も、ベーシックアイテムと合わせれば馴染みます」
「大柄のチェックはコーディートが難しそうに感じるかもしれませんが、実際に着てみると意外とすんなり馴染みます。ポイントはベーシックなアイテムと合わせることで、色数を絞ってジャケットを引き立てるとまとまりやすいですね。今回はグレーウールのオフィサーパンツ『ポーツマス』を合わせて、ドレスミックスなテイストでスタイリングしました」
ハンティングジャケットを見る

テーラードジャケット「テムズ」には英国ツイード版が
継続展開のテーラードジャケット「テムズ」は、新しい素材でラインナップ。今季は本場英国のツイードを採用しました。「約150年の歴史を誇るマラリウス社のツイードをチョイスしました。やはり本場のものは雰囲気がありますね。目付け330g/mとライトウェイトなのが特徴的で、オーセンティックなルックスとモダンな着心地を両立するバランスに仕上げました。『テムズ』の特色である柔らかな仕立てともベストマッチです」
ジャケット:テムズ(ツイード) ¥83,600(BRITISH MADE)
シャツ:デニムシャツ / リバプール ¥29,700(BRITISH MADE)
パンツ:オフィサーパンツ / ポーツマス(コットンドリル) ¥26,400(BRITISH MADE)「ウエスタンシャツと合わせてブリティッシュアメリカンに」
「トラディショナルなブリティッシュアメリカン・スタイルをイメージしてスタイリングしました。ツイードにウエスタンシャツを合わせたのがポイントで、カントリージェントルマンな英国テイストにアメリカの骨太さをブレンドしています。パンツはオフ白を合わせて、軽やかな抜け感も意識しました」
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■ COLONY CLOTHING
オリジナルブランドCOLONY CLOTHINGは今最も注目されるグローバル都市シンガポールを拠点に2013年に設立。ファッションブランドでありながら常夏の気候に合わせたラグジュアリーリゾートウェア、気温差のある国々を行き来するジェットセッターの為のベストシーズンウェアを展開するライフスタイルブランド。NEW COLONIAL STYLEをテーマとしたこのブランドは、欧米ファッションの空気感にアジアのテイストをMIXされることによりニュートラルな独自性を放ちトレンドを超えた新しいスタンダードを提案している。
Instagram:@colonyclothing_official
HP:https://colonyclothing.jp/
■ 四方章敬さん
「LEON」「MEN’S EX」「Men’s Precious」「THE RAKE JAPAN」など、ラグジュアリーメンズファッション誌で活躍中の四方章敬さん。イギリスの洋服に詳しいだけでなく、洋服が持つディテールとその背景を熟知、現代のファッションにまで精通するスタイリストです。
■ BRITISH MADE ORIGINAL WEAR COLLECTION
[キーワードはモダンブリティッシュ]
「イギリスにルーツを持つアイテムを現代のライフスタイルに合うよう再構築する」をテーマに、オリジナルウェアを展開。クラシックの良さを生かしつつ時代に合わせてモディファイすることで、モダンブリティッシュなアイテムを提案していきます。メンズアイテムはスタイリスト四方章敬が監修。
Instagram:@bm_britishmade_clothing
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Text by Hiromitsu Kosone / 小曽根広光
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