イギリスと日本のビジネスマナー比較(1)イギリス人にとっては常識の「会話のルール」 | BRITISH MADE

イギリスと日本のビジネスマナー比較(1)
イギリス人にとっては常識の「会話のルール」

2016.02.21

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ご存知の通り、イギリスは伝統と格式を重んじる国。ビジネス上の会話においても暗黙の了解ともいうべきルールがあり、それに準じていない場合、ビジネスマナーを知らないと判断されてしまうことも珍しくありません。 外国人も多く働くロンドンなど大都市の企業や、普段から外国とのやり取りに慣れている多国籍企業であればそれほど心配はありませんが、地方の企業やあまり外国とのやり取りに慣れていない企業の場合は注意が必要です。

例えば名刺交換もそんな注意が必要な場面の一つ。日本では名刺は商談の前に自己紹介を兼ねて交換するのが一般的ですが、イギリスでは必ずしも商談前とは限りません。最初に交換する場合もあれば、打ち合わせが終わった後に連絡先を伝えるために行う場合もあります。

中には商談後、今後も付き合っていく人間かどうかを見極めた上で名刺交換するという人もいるため、初対面だからといって最初から名刺を出さないほうが無難です。
201602_BU02名刺に直接メモ書きをしたり、片手で渡したりするのも一般的です。
ちなみに、名刺交換のタイミングは訪問者が相手先に合わせるのが一般的なルール。
相手が名刺を出したら自分も出す、と覚えておけばいいでしょう。ただ、商談を終えても相手が名刺を出してくれない場合は「Could I give you my visiting card?(私の名刺をお渡ししてもよろしいですか?)」などのように切り出すのも一つの方法です。

日本人には分かりにくい、名前を呼ぶ際のルール

相手の名前の呼び方も気をつけておきたいルールの一つ。日本では「〜さん」もしくは「〜様」の2つの敬称で事足りることがほとんどですが、イギリスでは「Mr.」「Mrs.」「Ms.」「Dr(医者や学者など)」「Prof.(教授など)」「Sir(先生、ナイトなど)」など、実にさまざまな敬称が一般的に使われています。
どのような立場の人をどの敬称で呼ぶかは非常に複雑なうえ、本人の希望によっても変わるため、初対面の際に紹介された敬称を使うようにすればいいでしょう。初対面で敬称がわからない場合、できれば事前に調べておくのがベターですが、それでもわからない場合は「Mr.(もしくはMs.)」を使用するのが無難です。

最近では業界や世代によっては、こうしたルールを気にしない人もいますが、年配層や社会的地位の高い人の中には自分の呼ばれ方にこだわる人も少なくありません。知らず知らずの間に相手に不快感を与えてしまわないよう、敬称は名前と一緒に覚えるようにしましょう。

アイスブレイクで注意したい「喜ばれる話題」と「避けるべき話題」

商談やミーティングの前のアイスブレイクの話題にも注意が必要。一般的には以下のような話題は避けたほうがいいでしょう。

・宗教や政治など、個人的な考え方に関する質問
・人種や移民に関する話題
・性に関する話題(特に同性愛)
・北アイルランドに関する話題
・中東問題
・動物に関する話題

この中で特に気をつけておきたいのが動物に関する話題です。ほとんどの場合は問題ありませんが、相手がベジタリアンであったり、動物愛護の立場にあるような場合、非常にデリケートな話題になってしまう可能性があります。そのため、相手の立場がわからない初対面では避けたほうが無難です。

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逆に、以下のような話題は当たり障りもなく、アイスブレイクに適しています。イギリスで頻繁に打ち合わせをしたり商談をしたりする人は、いくつかネタを用意しておくといいかもしれません。

・天気
・スポーツ(ただし、サッカーのライバルチームの話題は避けたほうがいいでしょう)
・英国の歴史、文化、文学、芸術、音楽(ただし、相応の造詣が求められます)
・政治や宗教に関係しない時事ニュース
・イギリスでのよい思い出

201602_BU04有名観光地など、イギリスに関するポジティブな話題は好まれます。
イギリスは日本と文化圏が大きく異なるため、何気なく話した内容が相手に不快感を与えたり、大きな問題に発展したりすることも。相手に軽く見られてしまうことないよう、ミーティングや商談の際には事前にイギリス特有の会話ルールを知っておいたほうがいいでしょう。


Text by K.Suzuki / 鈴木圭



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