アーカイブジャケットから読み取るドレイクススタイルの変遷|Drake’s銀座店 Naka | BRITISH MADE Staff blog

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アーカイブジャケットから読み取るドレイクススタイルの変遷|Drake’s銀座店 Naka

ドレイクス銀座店では7月のセールより多くのアーカイブアイテムをご用意し皆様にご紹介させていただいています。これまで過去に銀座店で取り扱っていたアイテムではありますが数年ぶりに銀座店でお見せすることができ、私としてもとても懐かしいアイテムばかりで楽しく思います。本日はそれらのアイテムの中でもジャケットを中心にご紹介いたします。これまでのドレイクスのスタイルの変化に触れながら商品を見ていきたいと思います。ぜひ最後までお付き合いいただければ幸いです。

 

コンフォータブルなドレイクスのジャケット

・右腰パッチポケットの内側に付くチケットポケット

ドレイクス銀座店がスタートした2017年春から継続して提案しているジャケットですが、数年毎にファクトリーを変えています。ファクトリーについて詳しくは私たちにも明かされていないのですが、フィッティングやスタイルが年を追う毎に微妙に変化しています。しかし、ディテールは基本的には変わっておらずパッと見の印象は4年前から今まで変化していません。特に見栄えとしての大きなポイントは上の写真のチケットポケットです。

 

・大見返しの仕様

ドレイクスでは胸には箱ポケット、腰はフラップなしのパッチポケットが基本となっており、このスタイルがドレイクスの定番のスタイルです。また、細かなところで言うとジャケットの内側は大見返しの仕立てとなっており、基本的には身頃に裏地を使用していません。

 

・裏地を使わないアンコン仕立て

スタイルとしては、肩パッドなしのナチュラルショルダー、ウエストにダーツはありますが絞りは強くなく自然なゆとりを持たせています。これらはドレイクスの根底に流れるアイビースタイルのジャケットに近い部分があり、デザイナーのマイケル・ヒル氏がよく言っていたようにジャケットに対しても『コンフォータブル』な要素を求めた結果と言えるでしょう。

 

シーズンによって変化するドレイクスのファクトリー

ドレイクスのジャケットは大きく分けて3つのファクトリーを使用しているようです。年代的には大まかに下記のように分かれます。

ファクトリー① 2017SS以前~2018SS頃まで
ファクトリー② 2018AW頃~2020SS頃まで
ファクトリー③ 2020AW~現在

ファクトリー①と②に関しては一時的(たしか2018SS~2018AW頃)に生産のファクトリーが商品によって違い、それらが混在していた時期もあったため明確にシーズンによって分かれているわけではないためご注意ください。しかし、ドレイクスのジャケットの着心地や微妙なスタイルの変化はこの生産ファクトリーの変遷からも少なからず影響を受け、今もなお変化し続けています。

ざっくりと3つのファクトリーの違いを見てみましょう。

Drake’s – 2017SS Wool Navy Jacket/Size:40R ¥176,000-(税込) →60%off ¥70,400-(税込)

ドレイクス銀座店がオープンした当初のジャケットです。2017SS以前~2018SS頃まで使われていたファクトリーで生産されており、今となっては非常に貴重な品となってしまいました。この頃はまだ衿幅も8㎝~9㎝とやや細めの時期であり、シャープで都会的な雰囲気が漂っていました。肩付けもおそらくハンドで仕立てられ、衿みつの吸い付きも非常によく、着ていることを忘れるくらい軽やかな仕立てで作られています。また、こちらの生地はホップサックのようなざっくりとした織りで、私は今でも時々着用をしています。

 

Drake’s – 2018AW Harris Tweed Brown Watch Jacket/Size34S、36S ¥203,500-(税込) →60%off ¥81,400-(税込)

こちらは2018AW頃~2020SS頃まで使用されていたファクトリーで生産されています。この生地のジャケットはアジア限定のモデルとなっており、当時は日本と韓国のドレイクス直営店でしか販売されていなかった貴重なものです。ハリスツィード製の堅牢なツィード生地はいわゆるブラックウォッチ生地をブラウンベースで仕上げており、とてもドレイクスらしいスタイルのように思います。ジャケットのスタイルとしては以前のファクトリーに比べて肩のラインが少々男性らしく角ばった印象に変化したように思います。衿幅は9.5㎝と2017年よりも広くなってきています。しかし、基本のナチュラルショルダーのアンコン仕立ては変わっておりませんので、イギリスらしい重厚な生地をイタリアの軽やかな仕立てに落とし込んだ非常に魅力的なジャケットとなっています。

 

Drake’s – 2021SS Herringbone Linen-Silk Jacket/Size38R、40R ¥156,200-(税込) →50%off ¥78,100-(税込)

2020AWから現在も使用されているファクトリーで生産されたジャケットです。こちらのファクトリーによって大きくドレイクスのジャケットのスタイルが変化したように思います。印象的なアームホールの大きなくり(カーブ)と脇下から胸周りにかけてたっぷりと生地を取ったスタイルで、着用することで立体的な胸周りのドレープを生み出すことができます。このドレープの見え方は英国らしいスタイルをイメージさせてくれます。特に胸板の厚みのある方などにお試しいただきたいスタイルです。

・調整された衿のデザイン

衿幅は9.5㎝と一世代前のファクトリーと変わっていないのですが、そのスタイル自体は大きく変化しています。皆様お気づきでしょうか。もしよろしければこちらより以前のジャケットの衿をもう一度確認してみてください。実は2020AWからは今までスタイリッシュに高い位置にあったゴージラインが以前よりも低い位置に落ちたスタイルとなっています。このゴージラインの位置や角度はジャケット全体のスタイルに大きく左右します。このジャケットのように低くなるとやや昔のスタイルと言いましょうか、言い換えればとてもクラシックなスタイルに見えるでしょう。ドレイクスが今の世界的な紳士服のトレンドをこのように少しずつ取り入れ、時代に合わせて微細に変化させていることをこのジャケットのスタイルの変化から気付かされます。

それぞれ価格は違いますが、それはファクトリーの良し悪しとはそこまで大きく関連性はないと思います。年代ごとの特性を把握しつつ、生地の色柄の好み等も合わせてお選びいただければよろしいと思います。

 

提案するジャケット生地の変化

特に大きな変化が見られたのは17AWから18SSのシーズンでした。17AWはシェトランド諸島がテーマとなっており、重厚なハリスツィードの生地を中心にイタリアのやや柔らかさのあるツィード生地などもご用意していましたが、18SSシーズンにはこれまでの伝統的な英国のスタイルからアイビールックのジャケットなどに使われるような生地の提案が始まっていきます。下の2枚のルックの違いをご覧ください。

ドレイクス 2017AWルックブックより

このシーズンまでのジャケットはハリスツィードの生地を中心に英国的な色や生地使いがメインとなっており、ジャケットに合わせるアイテムもイギリス由来のものが多かったように思います。

 

ドレイクス 2018SSルックブックより

このシーズンからは、よりアイビールックに寄せたスタイルを提案していくこととなります。マドラスチェックやシアサッカー生地などは特にアメリカらしいスタイルの象徴となる生地でしょう。ドレイクスのスタイルはこの辺りから大きく変化し始め、よりコンフォータブルなスタイルがメインとなっていきます。

ここからは現在銀座店に取り寄せて展開しているジャケットを中心に、提案する生地の変遷を見ていきましょう。

 

Drake’s – 2018SS Patchwork Madras Check Jacket/Size40S ¥269,500-(税込) →60%off ¥107,800-(税込)

18SSにはアメリカの国旗がルックに使われるようになり、イギリスブランドながらアメリカのアイビールックの趣が非常に強くなっていきました。18SSに非常に印象深かったジャケットはこちらのパッチワークマドラスのジャケットです。私もこのジャケットを当時購入し、今でも夏になると時々着用しています。たしか生地は日本製で、パッチワークに見える生地は実際のところは縫い目がなく一枚のダブルフェイス生地の仕立てとなっており非常に凝った作りをしていました。

2018SSはドレイクスとしても非常にクオリティの高いコレクションで、このジャケットは着心地も抜群によく、アメリカらしいスタイルを楽しむには最適な1枚でした。

その他にも数種類、リネンのジャケットもご用意しておりましたがどれもとても目を惹く色でした。

Drake’s – 2018SS Navy Linen Twill Jacket/Size38S、42S、44S ¥269,500-(税込) →60%off ¥107,800-(税込)

同じく2018SSシーズンのジャケットです。リネン100%のツイル生地は、すでに何年か着込んだような柔らかな風合いを楽しむことができます。色合いも少々明るめのネイビーで、暖かい季節にはちょうど良く爽やかに着用いただけるのではないでしょうか。ドレイクスではシンプルなジャケットでもこのようにひと捻りある生地感、色合いを提案しています。

柔らかな衿の返りも好印象です。アンコン仕立てのジャケットはこの雰囲気が重要です。さらに着込んでいくことでご自身のシワが入り、身体に馴染み気持ちよい着心地に変化していくことでしょう。

 

Drake’s – 2018SS Olive Linen Twill Jacket/Size38S、42S ¥269,500-(税込) →60%off ¥107,800-(税込)

ネイビーの色違いの生地で、淡いオリーブ色は優しい雰囲気が漂っています。柄物のジャケットはとてもインパクトがありますが、大人の男性にこそこのような上質な生地使いの無地のジャケットをお試しいただきたいと思います。その場合、このようなオリーブのカラーはチノやデニムなどとも相性が良く、私たち日本人にも挑戦しやすいカラーでしょう。

 

Drake’s – 2018SS Brown Linen Twill Jacket/Size38S、40S ¥269,500-(税込) →60%off ¥107,800-(税込)

リネンツイルの3つ目の色はブラウンです。こちらも上品な色合いで、着込んで色褪せたような柔らかなブラウンです。はっきりとした色合いのブラウンも良いのですが、このように少々の白っぽさのあるブラウンも上品で、生地がやや波打つようなふわふわとした雰囲気がとても美しいように思います。

 

Drake’s – 2018SS Beige Cotton and Linen Twill Jacket/Size38S、40S ¥269,500-(税込) →60%off ¥107,800-(税込)

2018SSシーズンの最後はこちらのコットンリネンのベージュの生地となります。やはりこのシーズンは、アイビーやアメトラのスタイルにかかせないジャケットをしっかりと抑えていました。ベージュのコットンリネンは、他のメーカーでもよく見受けられますが、こちらはポプリン生地などとは違い厚みがあり贅沢に織られています。適度なハリとコシのあるベージュのジャケットはアイビーテイストにはかかせない一着となるでしょう。

 

Drake’s – 2018AW Harris Tweed Grey Wool Hound tooth Jacket/Size34S ¥203,500-(税込) →60%off ¥81,400-(税込)

シーズンは変わり、2018AWのジャケットです。現状ではドレイクスがハリスツィード生地を使った最後のシーズンとなりました。この2017、2018年の秋冬のハリスツィード生地の使い方は個人的には非常に新鮮だったように記憶しています。というのも、このハリスツィードのような重厚な生地にナチュラルショルダー、アンコン仕立ての軽快な仕立てをミックスするということが当時あまりなかったもので、そのミックスの具合にとても惹かれたのでした。しかしドレイクスではこの数シーズンでそれを提案し、他の紳士服のメーカーもほぼ同時期にイタリアの柔らかな仕立てに英国のコシのある生地をのせ始めたのです。

このハリスツィード独特の生地感をしっかりと着込み、柔らかく身体に馴染ませてみたいものです。生地と仕立てのちょっとしたミスマッチが私個人としてはとても新鮮で楽しかったシーズンでありました。サイズはすでに小さなサイズしか残っていませんが、合う方がいらっしゃればぜひお試しいただきたいと思います。

 

Drake’s – 2020SS Beige Cotton and Wool Twill Jacket/Size38S ¥152,900-(税込) →60%off ¥61,160-(税込)

こちらは昨年の春夏シーズンのジャケットです。ここ1,2年でドレイクスの生地の選び方に少し変化が出ているように思います。それはこのようにコットンとウールを混ぜた生地や、シルク100%のネクタイの生地を使用したジャケットなど、定番的な色柄ではあるものの素材使いに変化のある提案を行い始めたように思います。これまで2017AW頃まではイギリスの伝統的なスタイルを楽しみ、次にアメリカのクラシックなスタイル、次はどうなのでしょう。私個人としてはその次の提案こそがドレイクスのスタイルそのもののように思います。

その他のアイテムにも、日本製の生地をはじめ様々な国の生地を用いてドレイクスのアイテムは生産されています。温故知新ではないですが、イギリス、アメリカの生地使いを経たドレイクスは、まさに今ドレイクスらしい新しい生地使いの提案を行っているのではないでしょうか。

下の2021SSジャケットもその一つです。

Drake’s – Taupe Glen Check Linen-Silk Jacket ¥156,200(税込)

リネンでもコットンリネンでもない、リネンシルクの混紡素材はざっくりと織られ、生地自体に遊びがあり軽やかな雰囲気です。チャンキーなグレンチェック柄もドレイクスの個性を存分に感じることができます。

しかし、ドレイクスの信条としては過度に華やかだったり、誇張の強すぎる生地はこれからも選ぶことはないでしょう。ベーシックでありながら、華美過ぎない、その間の生地使いがドレイクスのコンフォータブルなスタイルにマッチしていくのだと思います。

これらがこの4年間のドレイクスのジャケットの変遷でした。これまでイギリス、アメリカと提案してきたスタイルですが、その経験を経たことで現在はドレイクスのオリジナリティ溢れるスタイルが出来上がっています。以前のジャケットも素晴らしいものが多くありますし、これからのドレイクスのスタイルの提案もとても楽しみです。ドレスとカジュアルの微妙な塩梅を楽しむことができるドレイクスのジャケットをぜひ皆様にも挑戦していただきたいと思います。

現在展開しているドレイクスのアーカイブジャケットはまだしばらくお店でご覧いただけますのでお近くにいらした際はぜひお越しください。他にも何点かご用意していますのでぜひお試しいただきたいと思います。

Drake’s銀座店 Naka

 

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