[イギリス好き必読]日本で最多受賞歴を誇る外国人ミステリ作家の傑作5冊 | BRITISH MADE

川合亮平、僕のUK観光道 [イギリス好き必読]日本で最多受賞歴を誇る外国人ミステリ作家の傑作5冊

2021.10.19

こんにちは、川合亮平です。

日本で最も多くの賞を受賞した外国人ミステリ作家とは?

ずばり、僕が敬愛する英国人作家アンソニー・ホロウィッツ氏です。

ミステリ作家が世界中に無数にいる中で、日本で一番評価されている作家がホロウィッツ氏、というわけ。

こりゃすごいことですよ。

ちなみに、彼の邦訳版の書籍クレジット等は軒並み、なぜだか“ホロ”ヴィッツ”と、濁点が付くのが通常になっているようです。

でも、PodcastやYoutubeにあがっている彼のインタビューをほぼ網羅している僕が把握している限り、それぞれの番組のホストやインタビュアーが彼を紹介するときの発音は、ほぼ間違いなく“ホロウィッツ”なんです。

とまれ、英国でもっとも多作な作家の1人にも数えられるアンソニーさん。

最近、日本で最も多くの賞を受賞した外国人ミステリ作家に公式になられたということなので、

彼の作品を読まれた日本人の方も少なくないと想像します。

しかも、この“BRITISH MADE Stories”のサイトをチェックされているような英国贔屓の方に限ってはまず9割5分以上の高確率で、少なくとも1冊は読まれていると想像します。

いや、すみません、つまり、僕が言いたいのは、英国好きなら(もちろんそうじゃなくても)アンソニーさんのミステリ作品は絶対楽しめると思うから読んでみてよ!ということなんです。

英国人作家アンソニー・ホロウィッツ氏が放つミステリ作品の5つの魅力とは?

シンプルにお伝えします。

1.その筆に愛と情熱がほとばしってる!

彼はプロフェッショナル中のプロフェッショナルです。インタビューでも“書くために生きている”的な趣旨の発言を度々されています。

2.ストーリーの緊張と緩和が絶妙

超本格ミステリでありながら、ホッとするような描写や、クスッと笑うユーモア、思わずニヤッとする遊び心にあふれています。

3. あっと驚く仕掛け

「これまで誰も書いたことがない仕掛け・トリック・構成をいつも考えている。それを盛り込まないと書く意味がない」という趣旨の発言をされています。ちなみに、日本製のパズルが彼のお気に入りアイテムの1つらしいですよ。

4. 読みやすく、ページをめくる手が止まらない

あるインタビューで「本の中弛み解消テクニックは?」と聞かれて、「そんなものはない。最初から終わりまで常に全力で書いている」という趣旨の発言をされていました。おっしゃる通り、最初から終わりまで、徹頭徹尾エンタメ度は常にマックスです。僕は言語(英語)版しか読んだことがないのですが、流れるような文章や読みやすい(いちいちつっかえない)単語選びも彼が一流の世界的超人気作家である所以だと思っています。

5. 英国が舞台。英国を感じられる

(少なくとも)これまでの作品の主人公は英国人で、舞台は(ほとんど)英国です。
英国に馴染みのある人なら、作中に登場する地名や駅名、文化・風習などを身近に感じることができて、物語により一層のめり込めると思います。

アンソニー・ホロウィッツが放つミステリ 必読の5冊

既刊の5冊を紹介します。

そのうち3冊が、『元刑事の探偵ホーソーン』シリーズ、

そして残りの2冊が、『本の中の本』シリーズ、です。

『元刑事の探偵ホーソーン』シリーズ

現代のロンドンが舞台。

今年の8月に最新の3巻目が刊行されました。

邦訳はこれまで2巻目まで出ています。

このシリーズの魅力は、フィクションとノンフィクションが巧妙にブレンドされているところ。

主人公のホーソーン氏はフィクションのキャラクターなんですが、彼のサイドキック(補助役:シャーロックでいうところのワトソン的立場)が、なんとアンソニーさんご本人なのです。

そして、“物語の中のアンソニーさん“目線で物語は進んでいきます。
つまり読者は、ライブ感覚を持ってアンソニーさんと一緒に事件解決を疑似体験できるのです。

このシリーズのジャンルは間違いなくミステリなのですが、重要なサブテーマの1つが、「作家とは?書くこととは?」。

作家アンソニー・ホロウィッツ氏が考える“書くこと”について、その主張や思想、または技術的な事柄も含めて、物語の随所に盛り込まれています。

ミステリだけに集中すると、そういった側面には全然気づかないかもしれませんが、その辺りを意識して読むとより多面的に楽しめるはずですよ。

第1巻
<日本語版>
<洋書原書>
第2巻
【翻訳版】
<洋書原書> 第3巻
<洋書原書>
最新の第3巻も早速読みましたが、待った甲斐があった。
期待通りめちゃくちゃ面白かった!
一気に読了しちゃいました。

アンソニー氏曰く、このホーソーン・シリーズは、少なくとも10巻くらいまでは構想がある、ということです。

いやぁ、楽しみでならないなぁ。

『本の中の本』シリーズ

画期的な構成が話題のシリーズ。

メインのストーリーラインは、現在の英国が舞台で、主人公は編集者のスーザン・ライランドさん。

刑事や探偵ではなく、編集者が事件解決に臨む、というスタイルも面白いのですが、

とにかく何が画期的かって、本の中にもう1冊本が入っているんですよ!

は? どういうこと? 別冊付録かなにかかしら?

いや、そうではありません。
スーザンさんが現代で事件解決に臨む際の重要アイテムが、彼女が編集を担当した本なのです。
で、よりにもよって、その本がまるまる一冊分入ってるんですよ。

本の中の本をしっかり読み込むことで、今目の前にある事件解決のヒントが示される、という構図。

“本の中の本”の舞台設定や文章スタイルは、アンソニーさんが愛する(と公言されている)“英国ミステリ・ゴールデン・エイジ(アガサ・クリスティに代表されるミステリ作家が活躍した1920〜1930年代の英国が舞台のミステリ小説群)”へのオマージュとなっており、読み応え抜群。

文字通り、“1冊で2度美味しい”作品です。

たしか今年2021年の年末に、第一作目を原作としたTVドラマシリーズが英国で始まると風の噂で聞いてます。
日本公開情報は僕が知る限り未定のようですが、こちらも、めちゃくちゃ楽しみにしています。

第1巻
<翻訳書>

<洋書原書>
第2巻
<翻訳書>
<洋書原書>
“本の中の本”の第1作目、『カササギ殺人事件』はそもそも、

スタンドアローン(単体作)として執筆され、出版された本とのこと。

それがめちゃくちゃ評判が良かったので出版社がアンソニーさんを説得したことが、2作目が誕生した理由の1つのようです。

では、気になる3作目は?ということですが、アンソニーさん曰く「このシリーズは続編があったとしても、3作目までだろう」とのこと。

正直、ファンとしては彼が書いたものは何でも無条件で楽しむ姿勢でいるのですが、
それでも、“本の中の本”シリーズの3巻目が出れば出るで小躍りすることは間違いありません。

とにかく一冊読んでみようぜ!

いかがでしたでしょうか。

アンソニー氏を未読のあなたは、まずは上記で紹介したどちらかのシリーズの第1巻を手に取られることをおすすめします。 翻訳版でも洋書でもどちらでもお気に召すままに。

あなたの2021年秋の充実度がアップすること請け合いです。
いや、それだけでなく、“人生の楽しみ”が1つ増える可能性も高いと思いますよ。

では、また次回の記事でお会いしましょう。

川合亮平でございました。

Text by R.Kawai


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川合 亮平

川合 亮平

(かわいりょうへい)

通訳者・東京在住

関西の人気テレビ番組で紹介され、累計1万部突破の『なんでやねんを英語で言えますか?』(KADOKAWA)をはじめ、著書・翻訳書・関連書は10冊以上を数える。

通訳者としては直近で東京五輪関連のビジネス会議、アスリート通訳に携わる。その他、歌手のエド・シーラン、映画『ファンタビ』シリーズのエディ・レッドメイン、BBCドラマ『シャーロック』のベネディクト・カンバーバッチ、マーティン・フリーマン、ヒットドラマ『ダウントン・アビー』の主要キャストなど、ミュージシャン、俳優への通訳・インタビューも多数手がけている。

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