慈しむべきイギリス映画 | BRITISH MADE Staff blog

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慈しむべきイギリス映画

皆さま、こんにちは。

いつもスタッフブログをご覧頂き、ありがとうございます。

 

多くの時間を自宅で過ごすことになった4月下旬から5月中頃にかけて、我が家では、毎晩、夕食後、家族と自宅で映画を観て過ごしました。勿論、こんなに連夜映画を観るなんて久しくなかったので、お気に入りの映画を中心に鑑賞を楽しみました。

ではその中から、慈しむべき英国映画を2本ご紹介します。

 

まず一本目、「Follow Me」1972年 イギリス制作 です。

物語は、終始70年代初頭のロンドンを舞台に繰り広げられます。英国の上流階級に属し、一流の公認会計士チャールズ(マイケル・ジェイストン)は、カリフォルニア出身でヒッピー的に各国を旅してロンドンにたどり着いたベリンダ(ミア・ファロー)と恋に落ちて結婚したものの彼女の不審な行動(昼間、いつも一人で出かけて夜遅く帰ってくる)に浮気を疑い、探偵社に素行調査を依頼してしまうのです。。

やってきた担当の探偵のクリストフォルー(トボル)というのが、薄汚れた白いレインコートに白いベレー帽、ヒッピースタイルのカバンを下げた風変りな男。でも、魅力的な人物像です。そして場所をかまわずマカロンをいつも口にほおばっているんです。ロンドンの街を一人彷徨うベリンダと素行調査として後をつける探偵クリストフォルーの不思議な道行きがはじまるのですが、、、。。

まず、ベリンダが昼間彷徨う(散歩する)70年代初頭のロンドン各所の映像がすばらしく綴られていきます。ケンジントン・ガーデンズのピーターパン像、テムズ川遊覧船乗り場、ナショナルギャラリー、サイオンパーク大温室、ハンプトン・コート迷路、ガチョウ広場や胡椒通り、etc。。。

物語も不思議な展開を見せます。少しだけ話してしまいますが、あるきっかけから、ベリンダはどこに行っても白いいでたちの男=探偵のクリストフォルーが居ることに気づき、彼を探偵とは知らずに面白がって行動を共にします。但し、お互い言葉を一言も交わさずに距離を保ったままで。角を曲がるとか、ここに入るとか、ジェスチャーだけでコミュニケーションして。でも、物語はベリンダと探偵が恋に落ちて、とかでもなく、更なる深淵に向かい、3人の登場人物がそれぞれ深く自分自身に向き合う事になります。

コメディーだけどシリアスなのです!全体的には特にクリストフォルーの人物像もあり、コミカルなのですが、時々、口論するようなシーンではシェークスピア劇のセリフのやり取り?と感じるところもあります。(シェークスピアもよく知りませんが、演劇的に比喩が多く口論の言葉数が多い)

そして、行き場を失いかけた愛、人と人との関係について、もがきながらも出口を探し当てる姿を、ストーリーだけでなく、映画全体で描ききった映画なのです!

音楽は007シリーズで有名なジョン・バリーなのですがこの不思議な展開をスムーズに導く素敵な音楽でもあり、狂言回しのようでもある音楽です。夫が偶然にもサントラレコードも持っていましたので私のお気に入りのレコードプレイヤーと一緒にご紹介いたします。

 

続きまして2本目は「マイ・ジェネレーション:ロンドンをぶっとばせ!」2018年イギリス制作

イギリスの俳優マイケル・ケイン(サーの称号らしいです。)が60年代のロンドンへの青春のタイムトリップにご招待!一言で言ううとそんなドキュメンタリー映画です。ミニスカート、ボブ・ヘアー、そしてロックンロール、初めて若者たちによってカルチャー・未来が作られた60年代、イギリス“スウィンギング・ロンドン”の誕生と熱狂を、当時の映像アーカイブと楽曲満載で描き、マイケル・ケインがその案内役として多くを語るドキュメンタリーなのですが、その熱量と解説、そして当時の映像が上手く膨大に提示され、60年代ロンドンを一気に経験したような異体験映画といった感じでした。ロンドンにあったナイトクラブ「アドリブ」ではストーンズとビートルズがライブをし、新しいファッションデザイナーもモデルもすべてここから生まれた、とマイケル・ケインさんが熱く語っていたのが印象的です。

 

順番が逆になってしまいましたが、「マイ・ジェネレーション:ロンドンをぶっとばせ!」を観てから「Follow Me」を観ていただければ、より時代の空気感が感じられるかもしれません。

是非、機会があればご覧になってみてください。

また店頭で、皆さまとお会いできるのを楽しみにしております。

 

大阪店 飯澤