Bespoke shoesとは? 革靴好きにお届けする靴作りのお話 後編 | BRITISH MADE Staff blog

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Bespoke shoesとは? 革靴好きにお届けする靴作りのお話 後編

急に気温が下がりウールのパンツに革靴という組み合わせがワクワクする季節になってきましたね。

 

さて、前回のお話がつり込みで終わりましたので、続きはウェルティングと呼ばれるウェルトを縫い付ける作業から話を進めていきたいと思います。

 

ウェルトを縫い付ける糸は麻糸を使用しますが、実はすくい糸は単糸を5本撚り合わせて、そこにワックス(これも松脂などから手作り)を付け強度を出した物を作っています。ワックスと書きましたが日本では「チャン」と呼ばれていて、成分も英国とは違います。もっとも英国でも今まで使用していた素材が環境上よくないと判断され使用できなくなったと聞いたこともありますが……あれは色付けだけに使用していたのか……。すくい糸に関して、私は天然繊維の中で強度が一番ある麻を使用していますが、ナイロン素材を使用しているなんて話も聞きますので、職人さんの経験や考え方、好みがあります。そして、ウェルトの準備ができたら一気に縫い付けていきます。このウェルティングはしっかり縫い付けないとウェルトに歪みがでてしまったりするので、かなり力を使いますし、ハンマーでしっかりと締めるよう叩きながら一周縫っていきます。

ビスポークシューズのみならずですが、手製靴にはよく「ヴェヴェルドウエスト」と呼ばれる、手でしかできない表現方法も見られます。こちらの靴もヴェヴェルドウエスト仕様になっています。ヴェヴェルドウエストにするには、縫い上げた後にウェルトにも加工を行います。

 

そして、ウェルティングが終わったらシャンクと呼ばれるパーツやコルクフィラーを付けていきます。私はシャンクにレザーのみを使用していますが、ここにも好みがありまして、鉄+レザーであったり、竹素材を使用したり色々ありますが、私が習ったものはレザーシャンクということもあり、同じようにしています。加えて、フィドルバックにしたり、作りたい形状、またはお客さまの体重によってレザーを重ねてつけたり調整しています。また、コルクに関しても色々ありますが、私はシートコルクと呼ばれている物を使用しています。

 

そして、次に出し縫いの作業に入りますが、その前にも準備があります。まず、アウトソールと呼ばれるパーツです。こちらにはオークバークと呼ばれる手間暇をかけて作られた牽牛な素材を使用しますが、そのまま付ければいいというわけではありません。コバと呼ばれる場所の厚みはウェルトとアウトソールの革の厚みで決まってしまいますので、ここで厚みの調整もあらかじめ行います。

 

英国ではドレス靴のコバの厚みは約6ミリと決まっているため、その厚みになるように漉き加工を施します。また、ヴェヴェルドウエスト仕様にする際にはウエスト部分の加工も大事になってきます。そんな作業をしてからアウトソールをしばらく水につけて、じっくりゆっくり乾燥させていきます。水につける理由は、ウエストからヒール部分にかけての癖付けのためですね。水につける時間は靴作りを教えていただいた先生に聞いた目安がありますが、「渇き切る前の状態が一番柔軟性を持つ」なんてことを聞いたことがありますので、私は少しアレンジして時間調整をしています。あくまでも個人的な感想ですが、この渇きの状態が歩き始めのソールの硬さに影響があると思っていますので、割としっかりと時間を測っていたりします。

 

そして、アウトソールと靴を貼り合わせ、出し縫いを行います。この出し縫いを機械であっという間に縫って仕上げる靴を9分仕立て、手で縫って仕上げる靴を10分仕立てなんて言っています。私はひと針ひと針、手で縫っていきますのでかなり時間がかかりますが、機械だとピッチの細かさにも限界がありますし、手でしか表現できない作業が好きということもあります。また、出し縫いのピッチにも決まりがあります。

 

ウィールと呼ばれる工具を使用して縫う感覚を決めていきますが、10番から12番がドレス、それ以下がカジュアルとなると聞いています……そして、縫い終わった状態がこちらです。

出し縫いが終わったら、コバを作っていきます。ガラスでやすったり、紙もしくは布やすりでやすったりしながらコバを作り、糸の縫い目も目立たないようにウィールを再度あててコバを完成させます。

 

そして、ここからヒールを作っていきます。ヒールには一枚一枚レザーを積み上げて作っていきますが、実は木型の設計の段階でヒールの高さを考えて作っていますので、その高さになるように調整しながら作っていきます。一般的に歩きやすいヒールの高さは25から35ミリと言われているみたいですが、私はヒール31ミリで設定しています。

 

ヒールを積み上げて行く際に、靴の修理なんかでは接着剤を使用していますが、このヒールに使うレザーも水につけてハンマーで叩いて繊維を密にさせて積み上げていくため、水溶性の接着剤を使用していきます。ヒールの形もピッチドヒールなど好みの形状を作っていき、きれいに面を整えます。この目つぶしは防水性を高める効果もありますが、なんといっても機械では出せない滑らかさが、優雅な色気を醸し出しているように感じます。

ここまでくるとあとは、コバの着色、ソールの着色ですが、実はこのソールもまた大変な作業です。革の銀面をガラスできれいにとり、3種類のやすりを使って整えていくのですが、やすりのかけ方も重要です。以前に、サンプルの靴を英国最古のビスポークメーカーの方に見ていただく機会があったのですが、こうしたらきれいになるよと教えていただきました……その節はありがとうございました!

 

ここまできたら後はもう、木型を抜き、お磨きを行い、ソックシートを貼り付け、靴紐を通したら完成です。

お客さまからシューツリーのご希望があれば、木型をベースに専用のシューツリーも製作します。そして、このシューツリーをお願いしてる方もハンドメイドで作られており、とても完成度が高いです。予想ですが、日本の多くのビスポークシューメーカーの方も依頼しているのでは?と思っています。それくらい良いのです。今後、サンプルを作る際には、贅沢ですがシューツリーもオーダーします!エアロレーションタイプを!

参考までに……今回の靴ではありませんが、エアロレーションタイプのシューツリーはこちらです。

穴飾りのことをエアロレーションと呼び、古くからあるみたいです。こちらはお客さまのイニシャルの穴飾りを施していただきました。

 

そして、完成した靴です。

そして、実はこのシューツリーには甲のしわを伸ばす以外に、もう一つの役割があります。それは、青山店へいらっしゃった際にお伝えさせていただきますね。

 

後編もだいぶ簡潔に書きなぐりましたが、読んでいただきありがとうございます。次回は革のお話なんかできたらいいなと考えていますので、改めて勉強します!!では。

 

青山本店 厚井(こうい)

 

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