エド・シーランが新作をリリース | BRITISH MADE

BM RECORDS TOKYOへようこそ エド・シーランが新作をリリース

2017.03.09

過去作2枚で2000万枚の売り上げを誇るUKの吟遊詩人

イギリスのシンガーソングライター、エド・シーランの待望の新作『÷(デイバィド)』がリリースされました。
エドシーラン
現在26歳の彼は、イングランドのウエストヨークシャー・ハリファクスの出身です。2011年『+(プラス)』でデビュー。以前このSTORIESでは2016年のグラミー賞の話題の際に紹介していました。エドはグラミーに過去二度に渡ってノミネートされていたものの受賞に恵まれず、まさに三度目の正直が実って、年間最優秀楽曲を含む2冠を手にしました。

前作『×(マルティプライ)』(2014年)は、プロデュースにエミネムからレッチリまで手がけたリック・ルービンと、「ハッピー」を大ヒットさせたファレル・ウィリアムズという二大巨頭のサポートで生まれました。エドの繊細な歌声と起伏に富んだメロディと、確かなプロの仕事による高いクオリティの融合による大ヒットアルバムでした。
エドシーラン
その後、エドは長期の休養をとり、アイスランド、アフリカ、オーストラリアから日本(北海道から沖縄まで約1ヶ月!)まで、ガールフレンドと共に世界を旅したのだそうです。彼はかつてホームレスだった時期があったことを公言しています。そしてこの旅の間に曲を書き溜め、遂にこのサードアルバム『÷』が生まれたのです。

本作では、過去作でも参加していたジェイク・ゴズリングをはじめ、大半の曲を共作したジョニー・マクダイドや、ブリトニー・スピアーズやマルーン5などを手がける売れっ子のベニー・ブランコ、そしてシンガーソングライター/プロデューサーのスティーヴ・マックらが参加しています。

つまり今作も前作に劣らぬ強力な布陣なのですが、とはいえ(かなり綿密なプロダクションではあるは当然としても)その楽曲はいずれもシンガーソングライターの面目躍如、全てのメロディと歌詞がプリミティヴな力強さを備えています。前作以上に“いい歌”“いい曲”がシンプルに届いてくるという印象です。
Ed Sheeran – Shape of You [Official Video]
ピュアで、繊細で、力強い。ギターの力を、歌の力をこの上なく信じている男が真っ直ぐに奏でた、しかし堅苦しいわけでも様式にとらわれているわけでもない。リスナーのすぐ近くで鳴らされているような距離感のアルバムです。うーむ、これは良く出来ているなあと膝を打ちました。
Ed Sheeran – Castle On The Hill [Official Video]
またガーナで録音したという収録曲「Bibia Be Ye Ye」では、ポール・サイモンからの影響をインタビューで語っています。そのアプローチはさらにジャンルレスに。そして旅の成果なのか、暖かさと荒涼とした空気の両方をモノにした上での大陸的なスケール感を感じさせます。彼と一緒に旅をしているような気分になるような側面も持った一枚です。
Ed Sheeran – How Would You Feel (Paean) [Live]
そんなエドですが、先日たまたまテレビを観ていたら某「行列の出来る」ナントカというバラエティ番組で、今人気のブルゾンちえみがドッキリに遭うという企画をやっていました。偽番組のインタビューを受けていて、そのなかで最近好きなミュージシャンを訊かれて「エド・シーランです」と答えると、PR来日中だったエド本人が壁を破ってサプライズで登場→ブルゾンちえみ狂喜という、いかにもバラエティな企画でした(苦笑)。

ただ登場する前に、ブルゾンちえみが「イケメンじゃないんだけど曲が超イイ」みたいな発言をしてしまっていたため、エドは登場前も後もところどころ微妙なテンションでした(可哀想過ぎるというか失礼過ぎる…)。それでもその場で一曲ギターの弾き語りを披露してくれるなど「やっぱいい奴なんだなあ」と思い知らされる対応でした。
(ちなみにその際に歌ったのは何とこの代表曲「シンキング・アウト・ラウド」でした↓)
Ed Sheeran – Thinking Out Loud [Official Video]
しかし余談ですがこういう企画ってレコード会社の担当はどう説明してOKをもらっているのでしょうか。「視聴率あるから」とか「マジ売れてるコメディエンヌだから」とか話すのかな? いずれにせよ、列島を縦断して旅をするほどの親日家だからこその対応だったのかなあという気もしました。

ちなみに最近のエドのファッションはいたってシンプル。眼鏡、Tシャツ、パーカーとラフなスタイルが多いですね。でも時計はカジュアルなものからパネライまで着けていて、よく見るとちょっとしたこだわりも感じさせます。腕のタトゥーといい、繊細な声とは対照的にタフな一面も垣間見えます。

2014年以来となる来日公演を今作でも期待したいところです。ではまた!

(*本文参照資料…日本盤ライナーノーツ及び「bounce」400号)

Text by Uchida Masaki

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内田 正樹

内田 正樹

エディター、ライター、ディレクター。雑誌SWITCH編集長を経てフリーランスに。音楽をはじめファッション、映画、演劇ほか様々な分野におけるインタビュー、オフィシャルライティングや、パンフレットや宣伝制作の編集/テキスト/コピーライティングなどに携わる。不定期でテレビ/ラジオ出演や、イベント/web番組のMCも務めている。近年の主な執筆媒体は音楽ナタリー、Yahoo!ニュース特集、共同通信社(文化欄)、SWITCH、サンデー毎日、encoreほか。編著書に『東京事変 チャンネルガイド』、『椎名林檎 音楽家のカルテ』がある。

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