本当はおいしいイギリス料理 | BRITISH MADE

English Garden Diary 本当はおいしいイギリス料理

2022.08.18

イギリス人たちが自虐的に言うのを含め、世の中にはいまだに「イギリス料理はまずい」と思っている方も時々いるようです。でも、“British Made” ファンの皆さまは、「イギリス料理は本当はおいしい。」ということをご存知ですよね?
本当はおいしいイギリス料理 イングリッシュブレックファストイングリッシュブレックファスト

6月のコラムでお知らせしたように、先月、NHKカルチャー青山教室主催の「大人のためのイギリス旅行」シリーズにて、『本当はおいしいイギリス料理』というテーマで対談をさせていただきました。

そこでは、イギリスの「定番おいしいもの」をご紹介したのですが、あとから「イギリス料理を食べてみたくなりました!」というメッセージを何人かの方からいただきました。そう、やっぱりイギリスはおいしいのです! ということで今日は、ぜひ食べていただきたい「おいしいイギリス料理ベスト3」をご紹介したいと思います。


日曜のお楽しみは家族そろってのディナー

本当はおいしいイギリス料理 サンデーロースト
*サンデーロースト

ローストディナーとも呼ばれる、ローストした肉をメインにした一皿料理は、伝統的イギリス料理の中でも、私がもっともおすすめしたいものです。日本ではローストビーフがよく知られていると思いますが、イギリスではポーク、チキン、ラムなど、さまざまな肉をローストしていただきます。

「サンデーロースト」という呼び名通り、日曜日に食べるのが決まりです。その起源については、中世の時代に日曜日だけ休みの取れる農奴たちに対して、午前中の教会での礼拝を終えた後、地主が丸焼きにした牡牛をふるまったという説があります。また、産業革命期にヨークシャー地方のある家族が、教会の礼拝に出掛ける前にオーブンに肉を入れて外出すると、戻ってきたころにちょうど良い具合に肉が焼き上がっていることを発見。そのことが日曜日に一家そろって食べるサンデーローストの習慣につながったとも言われています。

もちろん、現代でも多くの家庭が日曜にはローストディナーを食べています。我が家も子供たちが幼い頃は毎週必ずサンデーローストでしたし、今でも息子のフットボールの試合がない日曜日にはローストディナーが食卓に上ります。

ローストディナーの付け合わせは、ローストポテト、ニンジン、グリーンビーンズやブロッコリーといった緑色の野菜、そしてパースニップという根菜をローストしたものに、ヨークシャープディングと呼ばれるパンのような、シュー皮のようなものを合わせるのが定番です。

そして、忘れてはならないのがグレービー。これは、ローストした肉から出た肉汁に小麦粉をまぜ、スープストックでのばして作ったソースです。「グレービーがなくちゃ、ローストディナーとはいえない」などと真顔で言うイギリス人も少なくないほどサンデーローストに欠かせないソースです。(ちなみに英語では「グレービーソース」ではなく「グレービー」と呼びます。) 

サンデーローストは家庭料理ですが、今はもちろんパブやレストランで気軽に食べることができます。ただし、ローストディナーのメニューがあるのは日曜だけというお店も多いので、事前にサンデーローストが食べられるかどうかご確認の上、お出かけください。


イギリスの人々のソウルフードといえば?

本当はおいしいイギリス料理 フィッシュ&チップス
*フィッシュ&チップス

シーフード好きの日本人としては、イギリスに来てまず試してみたくなるのが、このフィッシュ&チップスではないでしょうか。

フィッシュとは衣をつけて揚げた白身魚。チップスとは、大きめの拍子木切りにしたジャガイモを揚げたもののことです。19世紀頃にはすでに登場していたといわれ、イギリスの人々は上から塩とモルトビネガーと呼ばれるお酢をやまほど振りかけて食べています。

イギリスではフィッシュ&チップスは金曜日に食べることが多いです。その理由は、キリストが十字架にかけられた金曜日には肉を食べることを避けたためだと言われています。イギリスでは信仰心の厚い人はそれほど多いとは思えませんが、なぜかこの伝統は今も続いているようです。

フィッシュ&チップスはイギリスの人々にとってソウルフードともいえる食べ物ですが、ロシアのウクライナ侵攻によって、タラや食用油を含む主要食材の値段が高騰し、イギリス国内のフィッシュ&チップス店が危機に瀕しているというニュースが伝わっています。

フィッシュ&チップスのビジネスに携わる人たちで構成されている全英フィッシュ・フライヤーズ連盟のアンドリュー・クルック会長によると、現在イギリスに約1万店あるフィッシュ&チップス店のうち、3分の1が今後9カ月の間に閉店する可能性があると考えられているそうです。というのも、フィッシュ&チップスの原料となっているタラやコダラといった白身魚の多くがロシアの海域で採れるものだから。また、一時期スーパーの棚から姿が消えてしまったほど輸入が制限されたサラダ油の約半分がウクライナ産というのも大きな影響を与えています。輸入量の減少とそれに伴う価格上昇によって、フィッシュ&チップスの価格も上がっていますが、もともと利益率の高いものではないため、ビジネスを持続できない店も出てきそうだということです。

近所のおいしいフィッシュ&チップス店を応援するためにも、最近我が家は毎週フィッシュ&チップスをいただいています。


どっしりお腹にたまる食事といえば

本当はおいしいイギリス料理 ステーキ&キドニーパイステーキ&キドニーパイ

*パイ料理

イギリス定番のおいしいものとしてどうしてもご紹介したいのは、パイ料理全般です。「パイ」というと、イギリスに来る前の私は、アップルパイなどのデザートやお菓子というイメージが強かったのですが、イギリスでは料理としてのパイの種類がたくさんあります。

ショートクラストペストリーやパフペストリーと呼ばれるパイ皮で作られるタイプのパイや、シェパーズパイやコテージパイ、そしてシーフードを使ったフィッシュパイのように、マッシュポテトでふたをしてオーブンで焼き上げるものもあります。

中でもステーキ&キドニーパイは、「最も英国らしい肉料理」とか、「英国の国民食」などと呼ばれるほど親しまれているパイで、パブでもよく見かける定番メニューです。

日本人にとってステーキといえば、一枚の牛肉を思い浮かべるのではないでしょうか。またキドニーというのはキドニービーンズから赤インゲン豆のことだと思う人もいるかもしれません(私がそうでした)。とはいえ、ステーキ&キドニーパイは一枚のステーキと豆をパイ生地で包んだものではありません。このパイは、さいの目に切った牛肉と牛または仔羊の腎臓部分をシチュー状に煮込み、パイ生地で覆って焼き上げたものです。

今のように冷蔵庫がない時代、パイは保存食だったといわれています。中でも肉を使ったパイは常にイギリス人に愛されてきたといいます。ステーキ&キドニーパイについては1694年に出版された『The Compleat Cook』という書物にレシピが初めて登場しています。ただし材料はラム肉、カランツ(干しぶどう)、プルーン、ナツメグと、現在のものとはかなり違ったものだったようです。とはいえ、少なくとも17世紀、もしくはもっと以前から伝わる歴史ある伝統的イギリス料理です。臓物系が苦手でなければ、ぜひ一度、試してみてください。

また、日本人の口に合うパイとしてはシェパーズパイがおすすめです。シェパーズパイとは、ラムひき肉にみじん切りの玉ねぎや人参を炒めて混ぜ、ストックやハーブなどを加えて煮込んだものを、上からマッシュポテトでふたをしたものを言います。それを表面にこんがり焼き色が付くまでオーブンで調理します。ほくほくとしたじゃがいもと、しっかり味のついたひき肉が口の中であわさると、温かみとともにじんわりと幸せ感が口の中に広がるようです。

全く同じように調理するもので、牛挽肉を使う場合にはコテージパイと呼ばれますが、どちらもジャガイモとお肉という組み合わせなのが、肉じゃが的イメージで(?)日本人の口によく合うようです。

イギリス人義母に教えてもらったところによると、ローストビーフやローストラムの残りをこうしたパイにリメイクすることもあるそうです。


。。。さて、「おいしいイギリス料理ベスト3」あなたはどれを食べてみたいですか?


*イギリスのおいしいものをもっと知りたくなった方は、コラム「英国の口福を探して」をご覧ください。



Photo&Text by Mami McGuinness


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マクギネス真美

マクギネス真美

英国在住20年のライフコーチ、ライター。オンラインのコーチングセッションで、人生の転換期にある方が「本当に生きたい人生」を生きることを日本語でサポート。イギリスの暮らし、文化、食べ物などについて書籍、雑誌、ウェブマガジン等への寄稿、ラジオ番組への出演多数。
音声メディアVoicy「英国からの手紙『本当の自分で生きる ~ 明日はもっとやさしく、あたたかく』」にてイギリス情報発信中。

ロンドンで発行の情報誌『ニュースダイジェスト』にてコラム「英国の愛しきギャップを求めて」を連載中。

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