川合亮平、僕のUK観光道 ロンドナーのリアルな日常 「コロナと仕事と学校と」

2020.06.16

こんにちは、トーキョーから川合亮平です。

みなさんはいかがお過ごしでしょうか?

僕はここ半年ほど、住む場所、仕事、そして(子供達の)学校について、色々考えを巡らせています。

これらは僕の人生において最重要なトピックなので、前からも考えてはいたんですが、

ここ最近のパンデミック的ライフスタイルを受けて、特に思考が進んでいます。

そんな折、こんな思いつきに至りました。

「そうだ、Lに質問してみよう。ロンドンでの仕事とかロックダウンとか、子供達のホームスクーリングはどんな感じ?」
って。

L、というのはロンドン在住の僕の義理の妹のことです。

煮詰まりがちに思える自分の思考も、ちょっと場所や状況をシフトした観点から改めて眺めてみると意外に簡単に突破口が見つかることもあると信じています。

あなたがあなたの生活を少し違った角度から眺めてみる機会になれば幸いです。

ロンドン在住の家族 Lさん一家。左から長女のJちゃん、次女Wちゃん、英国公的機関にフルタイムで勤務するLさん、そしてパートナーのSさん。SさんもLさんと同じ機関だが部署は別。

川合「今、ロンドンでの日常はどんな感じですか?」

こちらは、3月23日から正式にロックダウンが開始になりました。

以来、J(15歳)が通うsecondary schools(日本でいうところの中学・高校)も、W(9歳)が通うprimary school(日本でいうところの小学校)も、ずっと休みになっています。

そして私もSもロックダウンが施行されてからずっと在宅勤務しています。
ロンドンの家 Lさん一家が暮らすロンドンのお家(写真はロックダウン以前のものです)

川合「まず学校の様子から聞きますね。3月23日からすでに12週間経っていますが、学校再開のめどは立っていない?」

ロックダウンが開始されてからも、ほとんどの学校では、キーワーカーの子供達の通学は認められてるんですよ。

キーワーカーというのは、例えば医者、看護師、配達員、食べ物の製造に関わる人、介護関係、警察、消防、そして教師などです。

6月上旬の最近の動きとしては、政府の方針で、休校が徐々に解除されつつあり、特にprimary schoolのyear 1(日本の学齢でいうと年長)とyear 6(日本の学齢でいうと5年生)の児童は学校に戻ることが求められています。

そして、secondary schoolsの、year 10(日本の学齢でいうと中3)とyear 12(日本の学齢でいうと高2)で、来年GCSE試験(中等教育修了が認められる統一試験)や、A Level試験(イギリス大学入学資格として認められる統一試験)を受ける生徒に対しても、先生の直接の授業で試験対策ができるように、学校が開かれる予定になっています。
仲良し親子ショット

川合「じゃあその他の学年の子供達はまだしばらくお家待機が続く、ということですね」

優先的な学年に関しても、子供を学校に通わすかどうかは、親の裁量に委ねられています。もし学校に通わせない選択をしても、特にペナルティがかかったりはしません。

少し前に全ての学年の再開を7月1日にするという発表が政府から出されたのですが、最近になって、その決定は撤回になったんです。

児童が一斉に学校に戻った場合、ソーシャルディスタンシングの確保が難しいというのが理由の1つのようですね。

ということで、目下の状況としては、小・中・高の完全再開は夏休み明け、つまり9月、になるというのが大方の予想です。

川合「JちゃんとWちゃんは毎日お家でどう過ごしてますか?」

Jは1日中彼女の部屋(2階にある)で過ごしてますね。自分のラップトップで宿題をしています。

食事の時しか一階に降りてきませんよ。

自分で時間割を設定して、何曜日に何の教科をするのかを決めています。1日に2教科をこなしているようです。

スケジュール的には実際に学校に通学して勉強するスケジュールとほとんど同じですね。

Jは、自分で勉強ができる子なので、自主的に取り組んでいます。
自宅学習 自宅学習 自室で自主的に課題に取り組むJちゃん。スゴくエライね!

川合「Wちゃんは?」

Wは先生に直接指導を受けて、それに沿って学習するというスタイルが向いている子です。
いつ、何をするのかを誰かに決めてもらう必要がある、ということですね。

つまり、Wが家庭で課題学習を進めていくには、親である私の力添えが不可欠になってくるんです。

Wはたいてい午前11時半頃から学校の課題を始めます。学習時間は2時間が限度ですね。

それ以降は、彼女自身が飽きてしまうか、または、私の時間がなくなるかのどちらかですよ。

私もフルタイムで在宅ワークをやっていますので、子供のホームスクーリングと仕事を両立させるのは、一筋縄ではいきません。

とはいえ、Wはこの休校期間中に、“実質的な”スキルをたくさん学ぶことができてると感じます。自分の食べ物は自分で料理できるようになり、いつも料理していますし、庭のガーデニングもいつも手伝ってくれています。

レインボーの絵を描く NHS(英国の公的医療機関)に従事する医療関係者に感謝の意を表すレインボーの絵を描くWちゃん。
Lさんの趣味は料理とお菓子作り。プロ並みの腕です。心の狭い僕としてはSさんに激しく嫉妬せずにはいられないわ!

川合「僕自身は、子供達の学校の課題の膨大さにほとほとうんざりした口なんだけど、そちらはどうですか?」

Jのsecondary schoolでは、全ての課題はグーグル・クラスルームというサイトを通じて出されています。

先生がサイトに課題をアップロードして、生徒はそれを期日までに仕上げてオンライン上で提出する、という仕組みです。

毎週、進捗度のチェックバックが学校からあり、親はそれを確認することができます。

もちろん家庭でPCがなかったりネット環境がない生徒もいますので、そんな子供たちは直接プリントを学校に取りに行くか、または場合によっては全く課題をしない、というケースもあるようです。

川合「東京の、少なくとも僕の住む地域に比べるとデジタル化が進んでいますね。Wちゃんのprimary schoolも同じような感じですか?」

Wの小学校は、Jの学校ほどデジタル化は進んでいませんが、ネットに学習要項がアップロードされており、それを見ると課題のやり方などがわかるようになっています。

Secondary schoolとの大きな違いは、小学校の課題は必須ではないということです。やらなくても特に問題はないんですよ。

だからということでもないですが、Wの場合、学校の課題とは別に一般的なオンライン学習も利用して家庭学習を進めています。

Sumdogや、SPAGを使って、算数や英語(日本でいうところの国語)を学習しています。

それから、毎週1つの“チャレンジ”が先生から生徒に出されます。今週はPE(体育)の先生から、いろんな運動チャレンジが出されていました。先生が実際に登場して解説する自作ビデオがネットにアップロードされるんですよ。

川合「僕の場合、休校中の学習スケジュールを子供達の個性に合わせてカスタムメードで作成して、最初は試行錯誤だったけど、最終的には結構うまく機能しているという実感を持てたんです。だから、むしろ学校から出される課題がとても的はずれに思えた程なんだけど、その辺りはどうですか?」

私の場合、フルタイムの在宅勤務をしながらホームスクーリングをするのには正直限界を感じています。

残念ながらWに関しては学校に普通に通うのに比べて、今の状況では十分な学びの機会が得られていないと思っていますね。

とはいえ、彼女はまだyear 4(日本の3年生)なので、今後十分取り返しが可能だとも思っており、楽観的であることは事実です。

もう少し小さかったら、読み書きの学習がしっかりできないことに焦りを感じていたかもしれませんが。

また、もう少し大きければ、進学試験のための準備がちゃんとできないことに不安を感じていたかもしれません。

カフェでくつろぐLさん一家

川合「LさんもSさんもフルタイムワーカーで、ロックダウン以前はオフィスで働いていたのが、今は完全在宅になっているということですが、メリット・デメリットなど教えてください。」

私のケースでいうと、ロックダウンの前に、在宅勤務できる状況が整えられていたので、それは幸いでした。でなければ、いろんな意味でかなり厳しい状況になっていたことが予想されますね。

今回のコロナ・パンデミックが起こる数ヶ月前に仕事専用のラップトップを勤務先から与えられていたんです。

ですから、このラップトップを通じて仕事関係の全てのファイルやシステムにアクセスすることができて、これ一台あれば家からでも、オフィスにいるのと遜色のない仕事ができる、という環境が整っているんです。

川合「それは良かったですね。Sさんも同じような感じ?」

いや、Sは個人所有のラップトップを使って仕事をしています。そこにtoken(トークン)をインストールすることで、仕事のネットワークシステムにアクセスできるような仕組みになっています。

でも、トークンには弱点があって、まず、ヴァーチャルサーバーを他の何百人というスタッフと共有しているという点、そして、ネットワークの速度が遅くなりがちで、あとフリーズしたりするリスクも高いんですよ。

川合「在宅ワークで工夫している点などありますか?」

家庭での仕事環境を最適化するため、ある程度の投資はしましたね。

例えば、私もSも、追加のPCモニターを購入しました。

2台のモニターを同時設置して仕事ができるようになるからです。加えて私は、ワイヤレスキーボードとワイヤレスマウスも購入しました。

Lさんはリビングテーブルを在宅オフィスとして活用中!2台のモニター越しにはお庭が見えます。

Sは、オフィスデスクを購入して、庭の離れ家の中に設置しました。

オンライン会議などがある時に、離れ家だと誰の邪魔にもならずに便利だからです。

普段はゲームやビリヤード台などが置かれている離れ家の中(オフィススペースになる前の内装です)。
リアル・アーケード・ゲーム機。離れ家にはこんなものまであるのです。Sさんは数々のゲーム本体を有するゲームマニア。

川合「学校は今の所、9月に再開されそうですが、仕事の方も徐々に在宅ワークからオフィスワークに戻りつつあるんでしょうか?」

私が働く組織の中では、オフィスにスタッフを戻そうという動きもあるにはあるのですが、ソーシャルディスタンスの問題もあるし、公共交通機関の使用をできるだけ避けるようにという政府の忠告もあるので、実際的にはあんまり進んでいませんね。

目下、私の職場では出入り口に人が固まらないための方策、デスク間の距離を保った配置、消毒液の常備、定期的な消毒清掃の実施、などを進めているようです。

ソーシャルディスタンスの関係で、今後オフィスワークが復活したとしても、全スタッフの40%程度の職場復帰だと予想されています。

もちろん、その40%の中には、在宅ではできない仕事をする人が優先的に入りますので、現在、仕事内容の精査が行われており、誰(どの部署が)が職場復帰するのか、またはしないのか、が近い将来に決まる予定です。

それが決まると、職場の各チームは当番表を作成して、ローテーション通勤が開始されると思います。
それに伴い、顔を覆う(マスクなど)のを職場で義務化する、という話も出ていますが・・・。

でもそれには反対する人が多いでしょうね!

川合「長引くロックダウンの生活を俯瞰してどう感じていますか?」

正直、最初はかなりきつい部分もありましたが、でもだんだん慣れてくるものですね。

Jは学校に行かずに自己学習できるのを喜んでいますよ。

一方、Wは学校に戻りたくて仕方がないようですが・・・。

私個人的には今の状況はとても快適に感じています。

だって、朝、みんなを起こして支度をして家を時間通りに出る、というストレスがないし、仕事は自分のペースでできますしね。職場だといつも時間に見張られる感じがありますから。

ただ、Sは在宅ワークには向いていないようです。家を出て仕事に向かう、というルーティンが彼には大切なようで、家では仕事のやる気が全然出ないようですね・・・。

学校のことを考えるとこのままロックダウンが進むのには一抹の不安を感じますが、在宅で融通の利く今の仕事環境には満足しており、これに関してはこのまま保持できれば、と考えています。

川合「一家で、英国東部へ移住することを最近決められたそうですね。今回のコロナ・パンデミックとその結果であるロックダウンの状況がその意思決定になんらかの影響を与えたんでしょうか?」

おっしゃる通り、ロックダウンはかなり大きな動機になりました。限られた人生、自分たちの希望を先延ばしにする理由はない、と気づいたんです。

流動的な働き方が可能であると今回実際に証明できましたし、であれば、移住を妨げるものは何もないと感じています。

治安も自然も教育水準も、全てにおいてより環境が良くて、より静かな場所へ。

ロンドンに比べると物価も随分安くなるので、そういう意味での暮らしの質も上がるでしょう。

私もSもおそらく、週に2、3回は(今まで通り)ロンドンのオフィスへの通勤が求められることになるとは思いますが、それでも柔軟に動いていけると思っています。

私たちが移住を希望している英国東部エリアからロンドンのオフィスまでは電車で2時間弱なんで、十分通える範囲内だと思っていますし。

人生の舵を自分で取って、望み通りの人生を生きる時期が来たと思っていますよ。

川合「Thank you so much!! And hopefully see you all soon enough.」

川合亮平でした。


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Text by R.Kawai


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川合 亮平

川合 亮平

(かわいりょうへい)

通訳者・翻訳者。
東京在住
関西の人気テレビ番組で紹介され、累計1万部突破の『なんでやねんを英語で言えますか?』(KADOKAWA)をはじめ、
著書・翻訳書・関連書は現在10冊。

ファンタビ・シリーズのエディ・レッドメイン、
BBCドラマ「シャーロック」のベネディクト・カンバーバッチ、マーティン・フリーマン、
歌手のエド・シーラン、
英大ヒットドラマ「ダウントン・アビー」の主要キャストなど、
UK出身のミュージシャン、俳優への通訳・インタビューを多数手がけている。

ロンドン五輪では、五輪公認ジャーナリストとして活動 。

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