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English Garden Diary マジカルなイギリスのクリスマスを彩る植物とは

2019.12.19

クリスマス
朝起きて窓の外を見ると、景色全体が霜でうっすらと白く覆われています。「まるでナルニア物語の世界だね。」と家族で言い合いながら、クリスマスがもう遠くないことを感じるのがこの時期。

外壁にフェアリーライトと呼ばれる電飾を施す家も増え、イギリスは町中がクリスマスを迎える準備に忙しくなります。初めてこの地でクリスマスを過ごしたときには、イギリスのクリスマスは日本のものとはずいぶん違うのだと感じました。それは、きらびやかで華やかな人工のクリスマスデコレーションがたくさんある一方で、植物もイギリスのクリスマスに重要な役割を果たしているのを目にしたからかもしれません。今日は、そんな、イギリスのクリスマスに欠かせない植物をご紹介したいと思います。

クリスマスツリー(Christmas Tree)

クリスマスツリー
下宿先で初めて生のクリスマスツリーを見た時にはびっくりしました。大人の背と変わらない高さの木が、リビングの窓辺に飾られて、部屋に入ると、ユーカリのような、鼻にすっと抜けるような青々とした爽やかな香りがするのです。プラスチック製のクリスマスツリーを飾る人も少なくないのですが、生木のクリスマスツリーもまだまだ健在です。

この時期にだけ、特別にツリーを売る露店のようなものも登場しますし、ロンドンのフラワーマーケットや、ガーデンセンターなどでもたくさんのツリーが販売されます。また、スーパーでも大小さまざまな生木のクリスマスツリーを購入することが可能です。ツリーの品種はいくつかありますが、‘Nordmann Fir’はポピュラーなもののひとつです。

クリスマス・ツリーを飾るのは元々ドイツの習慣から来ているそうです。それが一般のイギリス人家庭に広まったのは、ヴィクトリア女王とその夫であったドイツ出身のアルバート公の影響だといわれています。(以前の関連記事はこちらから)

ヤドリギ(Mistletoe)

ヤドリギ
名前の通り、ほかの樹木の幹や枝に寄生するように生えている植物です。「クリスマスにヤドリギの飾ってある下で出会った人同士はキスをしなければならない。」というのは、映画などでもよくあるシーンです。

イギリスに自生するのは‘Viscum albums’という品種で、まさにクリスマスの時期に、高木の上の方の枝に、まるで鳥の巣のようにからまって育っています。また、イギリス国内によく植えられているリンゴの木にも生えていることがよくあります。

半透明の白い実が愛らしいのですが、ヤドリギには雌雄があるので、実がついているのは雌のほうだけです。この実は触るとベトベトするので、取り扱いには注意が必要です。イギリスでは、枝をいくつかリボンで結んで、部屋の入り口やシャンデリアの下などに吊るして飾っておきます。

北欧神話では愛と友情を意味するなど、ヤドリギの下でキスをするいわれは色々あり、オリジナルの起源は限定できないようですが、この習慣はすでに18世紀ころにはあったそうです。とくにヴィクトリア時代には人々の間でとてもポピュラーになった行為だといいます。

ヒイラギ(Holly)

ヒイラギ
とげとげした葉と赤い実が、クリスマスカラーにぴったりの常緑樹。棘のある葉はキリストが十字架にはりつけられた際の荊の冠を思わせ、赤い実はその血を思い起こさせるとも言われます。

ロンドンのコロンビアロード・フラワーマーケットなどでは、ヒイラギで作ったクリスマスリースが売られていることがあります。ヒイラギだけで作ったリースというのは、もとはアメリカから来たもので、それが素敵なので、イギリスでも真似するようになったのだとか。だから人によっては「ヒイラギのリースはイギリスらしくない。」なんて言う人もいます(!?)。

アイビー(Ivy)

アイビー
ヒイラギと同様に、常緑樹のアイビーは、クリスマスの時期でも、青々と葉を茂らせることから、クリスマス時期の室内装飾にされてきました。わたしが初めて夫の両親のところでクリスマスを過ごしたとき、義母は「イギリスらしいクリスマスを見せてあげたい。」との思いで、クリスマスツリーは生木のものを飾り、家中に、ヒイラギやアイビーを飾ってくれていました。壁にかけられた写真や絵画の額縁の周りにもアイビーを飾ってあって、部屋に入った途端に、まるで映画で見たような光景だと不思議な感じがしたのを覚えています。

常緑樹(エバーグリーン)は、木や草がすべて息をとめてしまったかに見える冬の寒い時期に、ちゃんと息づいているものがあることを伝えてくれる、大切な存在。歴史的には、クリスマスよりもずっと前から冬のお祭りに使われたり、家に飾られたりしてきました。

イギリス人たちのしているように、庭や近くの森、野原で採集してくるというわけにはいかないかもしれませんが、ご紹介した植物は、日本でも入手することが可能なものばかりです。今年はあなたの家でも、イギリス流の植物を使ったクリスマス飾りをしてみてはいかがでしょう。
そして、今年も楽しいクリスマスをお迎えくださいね。Happy Christmas!
クリスマスを迎えるこの時期のイギリスは、空の色までマジカルだ。

Photo&Text by Mami McGuinness


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マクギネス真美

マクギネス真美

イギリス在住の編集&ライター。9年半の雑誌編集を経て「ちょっと長めのホリデー」のつもりで渡英。たくさんのあたたかな人たちとの出会いにより滞在が長期化し、現在に至る。 2004年よりイギリスを拠点に書籍・雑誌・新聞・インターネット等にて企画、編集、取材、執筆、コーディネイト、撮影を手がける。テーマはライフスタイル、ガーデニング、料理、人物インタビューや旅ガイドなど。メディアを問わず、イギリスの素敵なひと、場所、ものごとをひとりでも多くの方に伝えたいと考えている。『英国ニュースダイジェスト』ではイギリスの食に関するコラム「英国の口福を探して」を連載中。2012年以降、文化放送、NHKラジオ、TOKYO FM等のラジオ番組に出演も。
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