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2017.01.13

THE XX、ブライアン・イーノのニューアルバムが到着。

あけましておめでとうございます。昨年末はジョージ・マイケルの残念な訃報やウィークエンド『STARBOY』のリリースと、ギリギリまで話題に事欠かないミュージック・シーンでしたね。
新年最初のこのコラムでは、まずイギリスから届いたばかりの新作を2作紹介したいと思います。まずはTHE XX(ザ・エックスエックス)の『I See YOU』です。
THE XX
彼らは’05年に、サウス・ウェスト・ロンドン出身の幼なじみ、ロミー(Vo/G)、オリヴァー(Vo/B)、ジェイミー(Beats/Sample)、バリア(Keys/G)の四人で結成したバンドです。その後、’09年にバリアが脱退し、現在のスリーピースの形態に落ち着きました。
メンバーは全員20代。ロミーとオリヴァーのツインボーカルにミニマルな楽曲で人気を博し、これまでに2枚のアルバムを発表。私は残念ながら見逃しましたが、昨年12月には東京・豊洲で来日公演も行いました。
イギリスからの、と前置きをしましたが、サードアルバムとなるこの『I See YOU』はロンドンとアメリカ(NY、LA、テキサス)レコーディングされたそうです。アルバムに先駆けて公開された『On Hold』はテキサスで撮影されたMVです。
様々な都市の景色と空気に触れた三人の織り成す新しい音楽は、その純度がさらに高まったという印象を受けます。静謐ななかに鼓動のようなビートをたたえ、きらきらと輝く心象風景を描き出しています。ポストロックの文脈で紹介される彼らですが、今作ではハウスやヒップホップのエッセンスが感じられます。ビートを重ねることでグルーブの快感が押し寄せてくる、クラブミュージックの悦楽も秘めているというわけです。
新春にして今年要チェックのポップアルバムとしてお薦めです。

現在、ロンドンからは彼らのようなバンドの他に、R&Bで気鋭シンガーが何人かデビューしているようですね。このあたり、チェックしながら追ってご紹介できればと思います。

そして今回もう一枚紹介したいのは、巨匠ブライアン・イーノの新作『Reflection』です。
ロックファンには、古くはロキシー・ミュージック、そしてついに1/8から開幕した『DAVID BOWIE is』のデヴィッド・ボウイとの“ベルリン三部作”(アルバム『RAW』、『Heroes』、『Lodger』)の共同作業でも知られる音楽家です。他にもトーキング・ヘッズやU2などの作品に参加しています。
ブライアンイーノ
今作は、『Discreet Music』(‘75)に端を発し、彼が『Ambient 1 (Music For Airports)』(‘78)や、グラミー賞ノミネート作品『Lux』(‘12)と共にアンビエントシリーズと定義したシリーズの新作で、アルバムですが何と全1曲(54分)です。

これ、イーノがどういう人かを知るファンにとっては至極当たり前に感じられることなのですが、やっぱりプレーヤーに表示されたトータルタイムを見ると、軽く戦慄が走ります(笑)。聴くインスタレーションとでも言えばいいのでしょうか。自動生成をベースとした意識の階層の合間をただただたゆたうような静謐な音楽です。“踊っていやほい”な快楽的アンビエントではなく、知性を刺激し、思考を覚醒させるアンビエントたるアンビエントミュージックが奏でられています。実は全編アップされているURLも存在するのですが、さすがに控えておきます(笑)。ぜひアルバムを購入してください。

いかがでしたか。正月気分がぶっ飛ぶような、知性がかきたてられるアルバムを2枚ご紹介してみました。というわけで、今年も趣味とミーハーの視点から(笑)月イチでアップしていこうと思いますので、どうぞよろしくお付き合いのほどを。ではまた!


Text by Uchida Masaki

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内田 正樹

内田 正樹

エディター、ライター、ディレクター。雑誌SWITCH編集長を経てフリーランスに。音楽をはじめファッション、映画、演劇ほか様々な分野におけるインタビュー、オフィシャルライティングや、パンフレットや宣伝制作の編集/テキスト/コピーライティングなどに携わる。不定期でテレビ/ラジオ出演や、イベント/web番組のMCも務めている。近年の主な執筆媒体は音楽ナタリー、Yahoo!ニュース特集、共同通信社(文化欄)、SWITCH、サンデー毎日、encoreほか。編著書に『東京事変 チャンネルガイド』、『椎名林檎 音楽家のカルテ』がある。

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