BRITISH MADE

BM RECORDS TOKYOへようこそ 第48回 グラミー賞を受賞した二人のUK歌姫

2019.02.14

デュア・リパ。エラ・メイ。新世代のディーバたち

2月10日(日本時間11日)、第61回グラミー賞の授賞式が行われました。
特に注目されたのは、チャイルディッシュ・ガンビーノの「This Is America」による最優秀レコード賞、楽曲賞のダブル受賞でしょう。ラップの曲がレコード賞を獲得するのは史上初。楽曲賞でも初めての快挙でした。ラップ音楽が誕生してから約半世紀。まさに歴史的な瞬間でした。

さらに、この曲のミュージックビデオを制作した、日本人監督ヒロ・ムライ(父は作曲家で音楽プロデューサーの村井邦彦。ユーミンやYMOのデビューにも関わっていた方です)も、最優秀ビデオ賞を獲得。日本のニュースでも大きく取り上げられました。

さて、このグラミー賞では、UK出身の二人の歌姫が受賞しました。最優秀新人賞を受賞したデュア・リパと、最優秀R&Bソング賞を受賞したエラ・メイです。今回はこの二人を紹介したいと思います。

まずはデュア・リパです。現在23歳。1995年、コソボ出身のアルバニア人の両親の元に生まれました。
dua lipa
イギリス育った彼女は、その後、11歳でコソボに戻ります。しかしクリスティーナ・アギレラなどの歌手のカバー動画をYouTubeに投稿していた音楽好きの彼女は、15歳で再びイギリスへと戻り、モデルと音楽の活動を開始。そして2015年にデビューシングル「New Love」をリリースします。
そして2017年の「New Rules」で世界的なブレイクを果たしました。このミュージックビデオ、すでに視聴回数が16億回を超えています。
美しく、力強く、ファッショナブル。まさに当代の新たなポップアイコンの魅力に溢れています。彼女はLGBTからの支持も熱く、本人もLGBTカルチャーへのサポートに積極的です。シングル「Blow Your Mind (Mwah)」のMVではレインボーフラッグが掲げられるシーンも登場します。まさにDua(アルバニア語で“愛”)ある一面が感じられますね。
ちなみに日本でも2月22日から公開の映画『アリータ:バトル・エンジェル』(ジェームズ・キャメロン製作・脚本)のオフィシャルシングルは、彼女の新曲「Swan Song」です。
今回のグラミー最優秀新人賞の受賞の際、彼女は感動で目をうるませながら、こうスピーチした。「たくさんの素晴らしい女性アーティストと共にノミネートされて光栄。今年、私たちは本当に“頑張った”と思う」。これはグラミー賞を主催するNARASの会長であるニール・ポートナウが昨年度のアウォードに際し、女性アーティストのノミネート数やパフォーマンスの機会が少ないという意見への返答として発言した「女性はもっと頑張らきゃ」へのクールな反撃だったそう。しかし、どこの国にもしょうもない一言を言っちゃう人、最近多いですね…。

実は昨年、次回の「007」シリーズ最新作(*タイトル未定。2020年公開予定)の主題歌に彼女が抜擢されるかも?というニュースが流れました。真偽はさておき、さらに脚光を浴びることは間違いないでしょう。

そしてエラ・メイです。彼女は現在24歳。1994年生まれ、サウス・ロンドン出身です。
Ella Mai
アイルランド人の父と、ジャマイカ人の母の間に生まれた彼女は、12歳でニューヨーク移住、高校を卒業後にイギリスへ帰国すると。2014年に“Arize”というグループのメンバーとして、人気オーディション番組『Xファクター』に出場。その後、グループ解散を経て、2015年からソロ活動をスタートさせると、DJマスタードのレーベル、10 Summers Recordsと契約します。

2017年2月リリースの3作目『Ready』に収録されていたのが、のちに大ヒットを記録する「Boo’d Up」です。2018年にメジャー展開されたこの曲は、7月に全米チャート5位を記録。全米R&Bチャートでは1位を獲得しました。これはUK出身の女性ソロ・シンガーとして、リサ・スタンスフィールドの「All Woman」(91年)以来、26年振りとなる快挙だったそうです。
今回のグラミー賞で最優秀R&Bソング賞を受賞したのも、この「Boo’d Up」です。昨年はジェイ・Z&ビヨンセの“On The Run II”ツアーLA公演に出演、10月にはブルーノ・マーズの“24K MAGIC”ツアーのサポート・アクトに抜擢されるなど、瞬く間に飛躍を遂げた、R&Bの新たな歌姫です。
彼女の特徴は、とにかく曲が美メロで声も心地良いこと。90年代に一世を風靡したメロウなR&B(日本でも流行って、多くの女性シンガーも登場しましたね)が好きだった方には、たまらないと思います。実際、私もその一人です(笑)。
いかがでしょうか。昨年、夏フェスの話題の際に取り上げたジョルジャ・スミスも含めて、UKからアメリカ、そして世界を魅了している歌姫たちです。未聴のかたはぜひチェックしてください。ではまた!

Text by Uchida Masaki

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内田 正樹

内田 正樹

エディター、ライター、ディレクター。雑誌SWITCH編集長を経てフリーランスに。音楽をはじめファッション、映画、演劇ほか様々な分野におけるインタビュー、オフィシャルライティングや、パンフレットや宣伝制作の編集/テキスト/コピーライティングなどに携わる。不定期でテレビ/ラジオ出演や、イベント/web番組のMCも務めている。近年の主な執筆媒体は音楽ナタリー、Yahoo!ニュース特集、共同通信社(文化欄)、SWITCH、サンデー毎日、encoreほか。編著書に『東京事変 チャンネルガイド』、『椎名林檎 音楽家のカルテ』がある。

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