ストーンズ関連のニューリリース×2 | BRITISH MADE

BM RECORDS TOKYOへようこそ ストーンズ関連のニューリリース×2

2019.03.14

祝・ストーンズ展、日本上陸! 再発見も楽しいライブ&ソロ再発。

いよいよ3月15日より「Exhibitionism – ザ・ローリング・ストーンズ展」が東京TOC五反田メッセ にてスタートします。 50年以上の人気を誇る彼らの企画展は、2016年4月、ロンドンを皮切りに、ニューヨーク・シカゴ・ラスベガス・ナッシュビル・シドニーと、世界各地を巡回してきました。メンバー自らセレクトした、500点以上もの貴重なアーカイブが展示されるという、バンド史上初の大規模な企画展です。
どうやらミックの衣装やキースやロニーのギターなど、かなりのレア物がやってくる模様です。5月6日まで開催されるこの企画展の模様は、写真素材が揃えば次回の更新であらためてレポートしたいと思います。

今回は、このストーンズ展のタイミングに合わせて、新たにリリースされるふたつのアイテムに触れてみます。

まずひとつめのアイテムは、DVD&Blu-ray『ヴードゥー・ラウンジ・イン・ジャパン1995』(ユニバーサル。3月15日リリース)です。
これは彼らが1994年に発表したアルバム『ヴードゥー・ラウンジ』リリース後のワールド・ツアーから、1995年3月12日に東京ドームで行われたライブの模様を完全収録したものです。これまでVHSとLDでしか発売されていなかった映像が、再編集、レストア、リマスターを経て、初DVD/Blu-ray化され、日本限定の再発が決まりました。通常盤の他に、SHM-CD2枚をセットしたDVD&Blu-ray盤もあります。また。前述のストーンズ展において、特製ケースでパッケージされた会場限定盤も発売されます。
自分もこの来日公演を観ましたが、初来日となった90年の前ツアー『スティール・ホイールズ』では、演奏の先導をキーボードが担っていたため、正直、(「ミッドナイト・ランブラー」という例外はあったものの)多くの曲で、彼ららしいというか、ロックバンドらしいグルーヴに欠けた場面が何度も感じられました。

まあ、解散手前までこじれた長期の休眠から目覚めたばかりだったので、リハビリは必要でしたし、仕方がないと言えばそうだったのですが、再始動後2度目の来日となったこの『ヴードゥー・ラウンジ』ツアーでは、ギター先導によるワイルドなグルーヴを取り戻しはじめたようでした。選曲も、お約束の代表曲は押さえつつ、直近のアルバムの妖しげなコンセプトを踏襲した展開です。こちらはそのアルバム『ヴードゥー・ラウンジ』の収録曲のビデオです。今回のライブ映像でも演奏されています。
彼らのナンバーとしてはちょっと異色のサウンドとリリックでしたが、このビデオ、自分は結構好きなんですよね。監督は映画『ファイト・クラブ』、『パニック・ルーム』、『ドラゴン・タトゥーの女』などを撮ったデヴィッド・フィンチャーです。ライブ映像と併せて、いまあらためて観ると新鮮な発見があるのではないかと思います。

そして、ふたつめのアイテムは、キース・リチャーズが1988年に発表したソロ・デビュー・アルバムの30周年を記念したリイシュー盤、『トーク・イズ・チープ』限定盤デラックス・ボックス・セット(輸入盤。3月29日リリース)です。
リリース形態はCD、アナログ、ボックス・セット、デジタルのフォーマットで、ボックス・セットはデラックス版とスーパー・デラックス版、そしてサイン入りのスーパー・デラックス版があり、未公開写真などが掲載された80ページにおよぶ冊子や、歌詞シート、ポスター、ピックなどが付属しています。
当時、世界中に知れ渡る冷戦状態にあったミックとキース。その原因の一端は、バンドそっちのけでソロ活動へとシフトしていたミックに、ストーンズ命だったキースが激怒したことにありました。しかし、「ならば俺だって」と、やる気になったキースは“エクスペンシヴ・ワイノーズ”を結成。晴れて生まれたのがこのアルバム『トーク・イズ・チープ』でした。
この2曲からも分かる通り、「ブルース一辺倒か?」という大方の憶測を見事に裏切る、モダンでムーディーなロックンロールとなりました。しかも、今回のリリースに際し、未発表曲も6曲収録。そのうちの2曲がこちらです。
既報によると、前者の「Big Town Playboy」は、元メンバーだったミック・テイラーと、チャック・ベリーのバンドのピアニストだったジョニー・ジョンソンをフィーチャーしたナンバーとのこと。つまり、「大方の予想」に近い曲も作っていたんですね。でもこれらはこれらで、美味いバーボンを飲んだようなコクと味わいと言えるのではないでしょうか。

結局、キースもこのソロ活動によって、課外活動を楽しみたいミックの気持ちが少しは分かったそうです。結果として(まあそれだけが理由ではなかったんですが)ストーンズはのちに晴れて活動を再開させ、今日まで、現役のまま、日本で企画展が見られるまでの活躍ぶりで存続してきたのです。
バンド作品とソロ作品を一緒に紹介したなんて、万一ミックとキースに知られたら、ちょっとムッとされるかもしれませんけど、まあ、おめでたいタイミングなので、勝手に許してもらえると信じます(笑)。

ということで、ストーンズ展と、ふたつの関連アイテム、ぜひチェックしてください。ではまた!


Text by Uchida Masaki

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内田 正樹

内田 正樹

エディター、ライター、ディレクター。雑誌SWITCH編集長を経てフリーランスに。音楽をはじめファッション、映画、演劇ほか様々な分野におけるインタビュー、オフィシャルライティングや、パンフレットや宣伝制作の編集/テキスト/コピーライティングなどに携わる。不定期でテレビ/ラジオ出演や、イベント/web番組のMCも務めている。近年の主な執筆媒体は音楽ナタリー、Yahoo!ニュース特集、共同通信社(文化欄)、SWITCH、サンデー毎日、encoreほか。編著書に『東京事変 チャンネルガイド』、『椎名林檎 音楽家のカルテ』がある。

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