今後大注目の観光地:コッツウォルズ蒸留所の魅力 | BRITISH MADE

川合亮平、僕のUK観光道 今後大注目の観光地:コッツウォルズ蒸留所の魅力

2021.03.31

今はまだあまり日本では知られていませんが、今後大注目の英国観光スポットを紹介します。

風光明媚なコッツウォルズの田園エリアに位置する、コッツウォルズ蒸留所です。
2014年にDaniel Szor氏によって設立されました。
コッツウォルズ蒸留所
同年9月にシングルモルトのファーストカスクの熟成を開始して以来、3,000を上回るさまざまな種類の樽でウイスキーを熟成中。

人気のコッツウォルズ シングルモルト ウイスキーは、多くの業界賞を受賞しており、ワールド・ウイスキー・アワード(WWA)2019の「イングリッシュ・シングルモルト」で金賞、
(注:WWAは英国で開催される世界的なウィスキーの品評会で、2014年と2015年には日本の「竹鶴ピュアモルト」が金賞を受賞しています)

インターナショナル・ワイン・アンド・スピリット・コンペティション2019で金賞、

2019年のグレート・テイスト・アワードで2つ星(2つしかないウイスキーのうちの1つ)を受賞するなど、

設立わずか6年にして、“成功”を手にしたコッツウォルズ蒸溜所は、世界でも注目される急成長のプレミアムスピリッツブランドのひとつとなっています。
コッツウォルズ蒸留所
また、コッツウォルズ蒸留所では見学・試飲ツアーなども提供しており(コロナ前のデータで)毎年3万人以上の人々が訪れ、トリップアドバイザーではコッツウォルズの観光スポットとして第1位に選ばれる、“人気観光スポット”でもあるのです。

2019年5月にオープンした新しいビジターセンターには、ショップとカフェが併設されており、地元で採れた食材を使った料理やウィスキーを始め様々なカクテルを提供しています。
観光地として、VisitEnglandの「Hidden Gem」賞やTripAdvisorの「Certificate of Excellence」も受賞しています。

ニューヨーカーが作る英国産ウィスキー

意外に思われるかもしれませんが、この大注目スポットであるコッツウォルズ蒸留所の創立者・CEO であるDaniel Szor氏は、生粋のニューヨーカーなのです。

元々は金融業界で30年間、ニューヨーク・ウォール・ストリートを含む複数の都市でキャリアを積んだ後、すべてを投げ出し、家族で人里離れたコッツウォルズの農園に移り住み、自らの蒸留所を立ち上げられました。

大人気の最新観光スポットであるコッツウォルズ蒸留所、そしてその仕掛け人であるDaniel Szor氏のユニークなバックグランドにとても興味を惹かれた僕は、Danielさんに直接インタビューを申し込み、快諾を得ました。

今回の記事では、Danielさん(通称ダンさん)に、
ウォール街からコッツウォルズ田舎町への華麗なる転身、その背景にあるストーリー、そしてもちろんコッツウォルズ蒸留所の魅力や自身の情熱、さらにはコッツウォルズ観光情報に到るまで、
大いに語っていただきましたので、お楽しみください。

Daniel Szor氏 独占インタビュー

Daniel Szor

ニューヨークでの生い立ち

川合:まずコッツウォルズ蒸留所にたどり着くまでの経緯について教えてください。
自身、“今となっては間違っていたといえるキャリアパス”とおっしゃっておられますが、金融業界に入られたきっかけは?

ダンさん:お金、という答えは明らですが、私がお金を追い求めたのは、欲というよりも恐怖心からだったと思います。
私の両親(ポーランド人)は、第二次大戦のホロコーストのサバイヴァー(生存者)なんです。
彼らは人生の非常に早い時期に大きなトラウマを経験しており、もちろん私も幼い頃からそのことを意識して育ちました。
両親は、戦後、全く何もないところから懸命に働くことを余儀なくされたのです。
それに比べて、私自身は、はるかに快適な生い立ちを経験し、彼らが経験したような苦痛を味わうことはなかった。
そのあたりに私の罪悪感が芽生えたのだと思います。
その罪悪感からでしょう、両親が奪われた機会の分まで頑張らなければならない、自分の人生で何か大きな事を成し遂げる必要がある、と感じていました。
その想いは私にとってとても強いものでした。
結果、私は金融の世界でかなりの成功を収めましたが、今コッツウォルズ蒸溜所のオーナーとして得られている素晴らしい充実感やプライドとは比べものにならないほど、それはどこか物寂しいものでした。
今、両親が生きていたら、この充実感を一緒に味わえるのに、それはとても残念に思いますね。

ウィスキー事業を選んだ理由

川合:ダンさんは、当時勤めていたニューヨークの金融会社のパリ支社を立ち上げることになったそうですね。

そしてその時に、貴重な起業家精神を学ばれたとか。
同時に、金融の仕事とは全く違う、“本物”を作る人たちへ強い憧れを抱くようになったと。
数ある“本物”の中から、なぜウイスキー(ビジネス)を選んだのですか?

ダンさん:私がウイスキービジネスを選んだのは、ウイスキーという製品と、その製造方法の両方に情熱を持っていたからです。
非常に“REAL(現実的)”なこと(外国為替市場での投資管理業務)を30年間行ってきた後、
自分の好きな場所で、自分が本当に関心のあるものを作りたいという欲求があったのです。

川合:パリ勤務の後は、ロンドンに引っ越されたんですね。それから奥様の療養の目的で、コッツウォルズに移られたんですね。
その後、当時勤められていた金融会社が経営不振となり解雇を受けます(会社はまもなく破産したということですが)。
それがウィスキービジネスを始める直接的な理由ですか?

ダンさん:ある日の午後、当時借りていたコッツウォルズの別荘の周りの畑で、夏の大麦を観察していたんですが、その時、あるアイデアを思いついたのです。
「なぜ人々はコッツウォルズでウイスキーを作らないのだろう? 」と。
この疑問は、その後も私の頭の中に残っていましたが、とくに何も行動しませんでした。
しかし、当時勤めていた金融会社が低迷し始めると、「やり直したい」という声が自分の中でますます大きくなっていったのです。そして、解雇が決定的な引き金となってコッツウォルズ蒸留所を設立しました。
ウィスキーは自ら楽しむ以外全くの無知識でしたが、自分の夢を叶えたのです。
川合:コッツウォルズでウィスキー事業を始めるにあたって、何か目標はありましたか?

ダンさん:目標はありましたよ。最初、研究のために数多くの“クラフト”蒸留所を訪れ、多くのスピリッツを試飲しました。でも、私の口に合うものには出会わなかったのです。
ですから、私の目標は、実際に自分が飲みたいと思えるウイスキーを作ること、しかも、自分が訪れたいと思える美しい蒸溜所で作ること、でした。
今、この目標を達成できたことを、とても嬉しく思います。

川合:ご出身地であるニューヨークは“故郷(Home)”という感じがしないそうですが、
一方で、コッツウォルズはご自身の “Home”のように感じますか?

ダンさん:はい。ここは自分の家(Home)だと感じています。

川合:何がそうさせるのでしょうか?

ダンさん:私は今、自分の周りを取り囲む美しさに常に感謝しながら生活しています。私と同じような理由でこの地に住むことを決めた人たちが周りは沢山いますよ。
このような美しい場所で、地元の人々とその価値を共有しながら暮らす生活をしていると、自然と“ここがHomeなんだ”という実感が湧いてきます。
ですから、コッツウォルズ蒸溜所のビジネスにおいても、地元コミュニティとの繋がりや、コミュニティ支援ということを常に最優先で取り組んできました。
その結果が、自分の今の幸福感や、“アットホーム感”につながっているんだと思います。

最高のウィスキーを作る秘訣は?

ウイスキー
川合:創業から6年間に、多くの名誉ある賞を受賞していますね。シンプルに、ビジネスは大成功した、と言えると思います。単刀直入にお尋ねしますが、素晴らしいウイスキーを作る秘訣は何ですか?

ダンさん:秘訣について、秘密にすべきではないと考えています。
ですから、コッツウォルズ蒸溜所に見学に来られるすべてのお客様に対して、その秘密を理解していただこうと最大限に努力していますよ。
簡単に解説すると、素晴らしいウイスキーをつくる秘訣は、まず素晴らしいスピリッツを作り(その鍵は、最高級の原料、優れた設備、長時間の発酵、などです)、それを最高品質のアクティブ・カスクで熟成させることです。
この方法を用いると、ウイスキーを楽しむために何年もの熟成を必要としません。私たちのウイスキーは、1年後にはすでに美味しくなっているのですよ。

日本人消費者の特徴

川合:コッツウォルズ蒸溜所の素晴らしい製品を日本国内で購入できることを知り、嬉しく思っています。(記事の最後に日本での購入情報を掲載しています)
世界各国にコッツウォルズ蒸留所の代理店があるのですか?

ダンさん:私たちは、創業早い段階から国際的なビジネスの展開に取り組み始めました。現状、40カ国近くで私たちのスピリッツが販売されています。
どの国にもそれぞれのディストリビューター(代理店)がいますが、彼らは私たちのブランドと価値観を世界に向けて発信する家族のような存在なので、親密な関係を維持することをとても重要にしています。

川合:日本市場をどのようにご覧になっていますか?

ダンさん:日本は私たちにとって重要な市場であると考えています。
まず、日本人の皆さんはウイスキーの価値を分かっていらっしゃいますね。
そして、日本人の皆さんは世界で最も目の肥えたウィスキー消費者であると思っています。
日本人消費者の特徴として、スピリッツ(蒸留酒)を選ぶ時、ボトルの外側(派手なパッケージや年数表示)よりも、ボトルの内側(どのように作られているか)を重視する傾向がありますね。

ウィスキーに合うイギリス料理は?

川合:コッツウォルズ.蒸溜所に見学に行けば、併設のカフェで美味しい料理と一緒にウイスキーを楽しめるのですよね。
御社の大人気商品である、コッツウォルズ シングルモルト ウイスキーに合うイギリス料理を教えてください。

ダンさん:私たちの蒸留所は、イギリスのとても美しい田舎エリアにあります。
周りでは、地元の職人たちが果物や肉、野菜を作っています。
例えば、近くに、非常に優れたシャルキュトリー(食肉加工)生産者がいるのですが、彼らの製品はどれもウイスキーにとてもよく合いますよ。
また、Rollright(ロールライト)という名の地元産の風味豊かで最高に美味なチーズの生産者もいます。
我々の蒸溜所併設カフェでは、スコッチエッグやソーセージロールなどのイギリス伝統料理ももちろんご用意していますよ。地元の肉屋さんが手作りしたもので、コッツウォルズのシングルモルトにとてもよく合います。

コッツウォルズとっておきの観光情報

コッツウォルズ蒸留所
川合:料理の話を聞いて今すぐに行きたくなりました(笑)。
海外旅行の規制が解除された後、コッツウォルズ蒸留所に行った時に、味わえる“体験”について、もう少し詳しく教えてください。

ダンさん:コッツウォルズ蒸留所は、コッツウォルズの中でも、あまり観光客には知られていない、よりオーセンティック(本物の)ともいえる場所に位置しています。
地元の人しか知らないような小さな農場や村、野草に覆われた牧草地で羊が草を食んでいる丘陵地帯など、普通では味わえないコッツウォルズの“リアル”な素晴らしさに触れることができるエリアです。
また、コッツウォルズ蒸留所に一歩足を踏み入れれば、私を含む弊社の仲間たちが、どれほどこのエリアを愛しているのか、そして、このエリアでウィスキー事業を営むことにどれほどの情熱を抱いているのか、肌で感じていただけると思います。

川合:訪れるのはどの季節がベストですか?

ダンさん:一年中美しいですよ。とはいえ、コッツウォルズ蒸溜所を取り巻く自然の美しさという点では、5月と6月が最も素晴らしい季節といえますね。
蒸溜所から出発できる素晴らしいカントリーウォークのコースもありますので、お時間に余裕のある方は、是非ウォーキングブーツを持参されることをおすすめします。

川合:コッツウォルズ蒸留所を訪れる前や後に、コッツウォルズ近郊でお勧めの場所はありますか?

ダンさん:たくさんありますよ。
蒸留所から南側には、Stow-on-the-Wold村(車で約15分)や、Bourton-on-the-Water村(車で約30分)があります。コッツウォルズの中でも指折りに美しい村々です。
また、それらの村への道中には、有名なロールライト・ストーンズもあります。ここは、新石器時代と青銅器時代に設置されたといわれている太古の巨石遺跡です。
そして、反対の北側には、マーケットタウンで有名なChipping Campden(車で約15分)や、観光名所でもあるBroadway村(車で約30分)があります。そして、Broadwayのすぐ上には、コッツウォルズ・ラベンダーの名所として有名なSnowshillという小さな村があります。実は我々のジンに使われているラベンダーはSnowshillで栽培されているのです。

未来へ向けて

コッツウォルズ蒸留所
川合:6年経って、ひとまず成功を手に入れられました。
それに関する率直な感想と、今後の展望について教えてください。

ダンさん:コッツウォルズ蒸溜所ビジネスの成功を受けて、私たちが行ったのは、この会社への投資額を増やすことでした。
言い換えると、組織の規模を大きくしたわけですが、それゆえにリスクもその分大きくなったと言えるでしょう。
現状、私は50人近い従業員たちの生活の責任を負っています。さらに、多くの投資家の方々に喜んでいただく、という責務もあり、努力の日々を続けています。
今後ますます事業規模を拡大していく中で、それに伴ってリスクも大きくなり、仕事も大変になることは承知しています。しかし、それは怖いことではありません。
創業からの6年間がそうであったように、これからも同じ精神を持って前進していきます。
One step at a time.(一歩一歩、確実に)、です。
我々が提供するスピリッツの風味、品質、そして信頼性にコミットし、これからも、チーム(従業員)とお客様を幸せにしていくことをお約束します。

人気商品紹介

コッツウォルズ蒸留所
ダンさんのインタビューいかがでしたでしょうか。
パワフルで情熱に溢れる語り口に、僕自身は大きな勇気をもらいました。

実際にコッツウォルズ蒸留所に行きたい!と思われた方は、
もうしばらくの辛抱かもしれませんが、

ダンさんの愛情がこもった、彼のスピリッツは日本で購入可能です。

最後に人気のウィスキーの詳細と日本での販売情報をお伝えしますね。
「コッツウォルズ シングルモルト ウイスキー」
コッツウォルズ蒸留所
2017年10月発売の「コッツウォルズ シングルモルト ウイスキー」は、
コッツウォルズで初めて蒸溜されたウイスキーです。
地元産の大麦を100%使用し、バーボン樽と赤ワイン樽で熟成させています。
このイングランド産ウイスキーは、ハチミツ、セビリア・オレンジ・マーマレード、ダーク・レッド・フルーツの香りが漂う、リッチでフルーティーな飲み心地のウイスキーです。
各ボトルには、大麦の品種、収穫年、地元コッツウォルズのどの農場で栽培されたものかが記載されています。
2基の銅製の単式蒸留釜には「Janis」と「Mary」という名前がついているそう。
「Janis」は、音楽界の伝説的存在であるジャニス・ジョプリンにちなんで
「Mary」は、クリーデンス・クリアウォーター・リバイバルの曲の歌詞”keeps on burnin’(燃え続ける)”にちなんで、
それぞれ名付けられたとのことです。

「コッツウォルズ ドライ ジン」

コッツウォルズ蒸留所
コッツウォルズのドライジンは、厳選された9種類のボタニカルをブレンドして蒸留されています。
一般的なプレミアムジンにおける平均使用量の10倍以上のボタニカルを使用しています。
独特の製法によってジンの中に油分が残っているため、氷やトニックを入れると、真珠のような雲が現れ、
独特の「クラウディG&T」がお楽しみいただけます。
皮をむいたばかりの柑橘類、ピンクグレープフルーツの爽やかな香りが特徴で、
手で剥いたライムの皮と地元コッツウォルズのラベンダーの香りが口の中に広がります。
2019年:The Gin Mastersにて「Taste Master」賞。
2017年:インターナショナル・ワイン&スピリット・コンペティションにて「ゴールド・アウトスタンディング」賞
2016年:World Gin Awardsにて「World’s Best London Dry Gin」賞
など、受賞歴も多彩です。
■ 日本でコッツウォルズ蒸留所の商品が買える場所
西武そごう池袋本店
伊勢丹新宿
東急本店
信濃屋食品
オンラインショップ:エムズリカーショップ
日本代理店Webページ

Sponsored by英国政府観光庁
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Photo:©Cotswold Distilling Company
Text by R.Kawai


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川合 亮平

川合 亮平

(かわいりょうへい)

通訳者・翻訳者。
東京在住
関西の人気テレビ番組で紹介され、累計1万部突破の『なんでやねんを英語で言えますか?』(KADOKAWA)をはじめ、
著書・翻訳書・関連書は現在10冊。

ファンタビ・シリーズのエディ・レッドメイン、
BBCドラマ「シャーロック」のベネディクト・カンバーバッチ、マーティン・フリーマン、
歌手のエド・シーラン、
英大ヒットドラマ「ダウントン・アビー」の主要キャストなど、
UK出身のミュージシャン、俳優への通訳・インタビューを多数手がけている。

ロンドン五輪では、五輪公認ジャーナリストとして活動 。

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