BRITISH MADE

BM RECORDS TOKYOへようこそ クレイグ版ボンドを彩る5曲の主題歌

2020.02.14

激しさから洗練へ。そしてビリー・アイリッシュ、新曲解禁!!
ダニエル・クレイグ版ジェームズ・ボンドを彩る映画主題歌を一気にプレイバック

007シリーズ最新作「007/ノー・タイム・トゥ・ダイ」が4月10日に公開されます。
これまでも制作発表、そして予告編第一弾解禁と本作について書いてきましたが、いよいよ本日2月14日、ビリー・アイリッシュが歌う主題歌「ノー・タイム・トゥ・ダイ」が解禁されました。彼女は007映画の主題歌を担当するアーティストとしてはシリーズ史上最年少です。

「007/ノー・タイム・トゥ・ダイ」(2020年)
ビリー・アイリッシュ「ノー・タイム・トゥ・ダイ」

さらに、主題歌が入った最新予告編映像も公開されました。
サビにタイトルが入り、最後にはあのギター。想像していた以上に堅牢な007テーマだと感じられる、静謐な“別離”のバラードでした。私、すでにちょっと泣きながらリピート中です……。

“Fool me once, fool me twice/Are you death or paradise?
Now you’ll never see me cry/There’s just no time to die”

この歌詞は、ダニエル・クレイグ演じるジェームズ・ボンドとヒロインであるマドレーヌ・スワン(演:レア・セドゥ)の道行きを暗示しているのでしょうか?(どう考えても良いことは起こらないのだと思いますが。)

ビリー・アイリッシュは現在18歳。1月に開催されたグラミー賞で5冠を達成した、いまのポップシーンおける最重要アーティストと言ってもいい存在です。

この解禁されたばかりの「ノー・タイム・トゥ・ダイ」は、実兄でコラボレーターのフィネアス・オコネルとともにレコーディングしたことが事前に報じられていました。プロデュサーは他にステファン・リプソンが務め、オーケストラアレンジは本編のサウンドトラックを担当しているハンス・ジマー、ギターには元ザ・スミスのジョニー・マーが参加している模様です。
ノー・タイム・トゥ・ダイ
そして2月19日(日本時間)、ロンドンのO2アリーナで開催されるブリット・アワード(Brits)では、フィニアス、ハンス、ジョニーらと共に、ビリーがこの曲をパフォーマンスするという発表がありました。ライブはYouTubeで生配信される予定で日本からも視聴可能とのことです。

さて、6代目のジェームズ・ボンド、ダニエル・クレイグが演じてきた007作品は、これまでに4作が公開されてきました。今回はその主題歌を一気にプレイバックします(*下記から、幾つか作品の結末に言及します。未見の方はお気を付けください)。

「007 /カジノ・ロワイヤル」(2006年)
クリス・コーネル「ユー・ノウ・マイ・ネーム」

前任のピアース・ブロスナンのシリーズからリブートした、クレイグ=ボンドの第1作。主題歌は当初エイミー・ワインハウスが手掛ける予定でしたがドラッグトラブルによる逮捕のため降板し、サウンドガーデンやオーディオスレイヴのヴォーカルだったクリス・コーネルが担当しました。

本編を鑑賞すると、タイトルであり歌詞にも用いられている「You Know My Name」というフレーズが、ラストシーンでボンドが放つ、かの有名な「Bond,James Bond.」という台詞に繋がっているのだと分かります。若く、荒削りだった性格のボンドが、007になるまでの物語を彩ったハードなナンバーで、4オクターブの声域を持つクリスがワイルドなボーカルを聴かせました。残念なことにクリスは(そしてエイミーも)もうこの世にいません。

マーティン・キャンベル監督の手腕、シリアス路線に舵を切った脚本の充実ぶり、そしてブロンドという理由でアンチサイトまで立ち上がったほどのプレッシャーを跳ね除けたダニエル・クレイグの熱演、その全てが功を奏して本作は大ヒットしました。しかし曲のチャートアクションはそこまで振るいませんでした。

007シリーズは毎回、物語前段の“オープニング・シークエンス”と呼ばれるアクション演出と、その直後の主題歌映像が名物となっています。

「007 /慰めの報酬」(2008年)
ジャック・ホワイト&アリシア・キーズ「アナザー・ウェイ・トゥ・ダイ」

ザ・ホワイト・ストライプスのギタリストであるジャック・ホワイトとアリシア・キーズによる、シリーズ初のデュエット名義の主題歌となったナンバーです。ジャックは作詞・ヴォーカル・ギター・ドラム・プロデュースも担当しています。

ちなみに、ここでも“ダイ(Die)”という言葉が用いられています。そうです、まあ作風からしてそうなるっちゃなるのでしょうが、映画タイトルや主題歌に“ダイ”が使われがちなのは、言うなれば“007あるある”なのです(苦笑)。

歌詞の冒頭から“女王陛下のために(For Her Majesty)”、終盤では“Bang Bang(バンバン)”というフレーズが用いられていて、かなり直接的というかベタに007っぽい仕上がりでした。前作のラストシーン直後から始まる本作で、ボンドはほとんど笑顔を見せません。

あまりにハードボイルドタッチなマーク・フォースター監督の演出には「洒落っ気が足らない」という非難の声も上がりました。とは言え、本作のラスト、復讐心に囚われることなく任務を遂行したボンドは、ようやく真の意味でプロフェッショナル、つまり007となるのです。そんなハードなタッチが主題歌にも反映されています。主題歌映像は本編よりもグラマラスと言えるかも?

「007 /スカイフォール」(2012年)
アデル「スカイフォール」

「007 /カジノ・ロワイヤル」を超えて、シリーズ最大のヒットを記録した、007映画の金字塔です。監督にサム・メンデスを迎えた本作は、過去2作とは関連しない物語で(*ただし次作でまさかの回収が行われるのですが)、キーとなったのはジュディ・デンチ演じるMの過去とボンドの出自でした。

タイトルの“スカイフォール(SKYFALL) ”がボンドの出生地を指していることは、映画の公開まで伏せられていました。また、スカイフォールは宿敵シルヴァ(演:ハビエル・バルデム)との最終決戦の場でもありました。

作詞もアデル自身が担当したこの曲を、映画共々、「シリーズ最高の主題歌」と賞する声も少なくありません。実際、チャートアクションも振い“売れた”主題歌でした。77人編成という豪華なオーケストレイションによる荘厳のサウンドと圧巻のボーカルで多くのリスナーの心を震わせたこの曲は、第85回アカデミー賞で歌曲賞を受賞しています。

「007スペクター」(2015年)
サム・スミス「ライティング・オン・ザ・ウォール」

監督をサム・メンデスが続投。かつてシリーズ中に登場した秘密結社スペクターとボンドの宿敵ブロフェルド(演:クリストル・ヴァルツ)という設定が復活しました。過去3作のヴィラン(悪役)の背景が伏線として(やや荒い脚本でしたが)一気に回収され、ボンドは真の宿敵と対峙します。そして、戦いを終えたボンドはMI6を離れ、ラストシーンではヒロインのマドレーヌ・スワンと共にロンドンを去るのでした。で、どうやら新作「007 ノー・タイム・トゥ・ダイ」は、そのしばらく後の時間軸という設定の模様です。

因果に苦しみ、それでも愛を選択しようとするボンドの心情を代弁するような歌詞とサム・スミスの繊細なボーカルの表現力が光ったこのバラードは、007シリーズの主題歌として、史上初めて全英シングルチャート1位を獲得し、さらには第73回ゴールデングローブ賞主題歌賞と第88回アカデミー賞歌曲賞を受賞しました。
――というわけで、ここで本文冒頭に戻ってあらためてビリー・アイリッシュの「ノー・タイム・トゥ・ダイ」を聴いていただくと、クレイグ版ボンドの主題歌全5曲が出揃ったこととなります。

クレイグ版ボンドは、今度こそこの「007/ノー・タイム・トゥ・ダイ」で最後とのことで、過去4作と関連を持った物語だと言われています。果たしてビリーの主題歌はどのような機能を果たしているのか? また、どんな主題歌映像が用意されているのか? そして、クレイグ版ボンドサーガは、一体どのような結末を迎えるのか? 

そして、大事なことなので今回も最後に書きましょう! 新作では、ボンドがブリティッシュメイドで取り扱いのシューズを履いていることが確認されました。

ドレイクスのクロスビーモックトゥチャッカブーツ。カラーはブラウンです。 (*2月14日時点でブラウンは品切れ中です)

これ、先日、購入しました。このシューズ、マジでスニーカーのように軽い履き心地ですよ。無論、自腹で買ったのでステマなんかじゃありません!(笑)。ベージュ系のセットアップやコートとのコーディネートによく映えるので、すでにヘビロテです。色違いもほしいくらい。新作が公開される頃には、本編のボンドの足元ばりにいい味を醸し出しているかもしれません(笑)。

さあ、「007/ノー・タイム・トゥ・ダイ」。もう4月10日の公開が待ち遠しくてたまりません。ではまた!

Text by Uchida Masaki


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内田 正樹

内田 正樹

エディター、ライター、ディレクター。雑誌SWITCH編集長を経てフリーランスに。音楽をはじめファッション、映画、演劇ほか様々な分野におけるインタビュー、オフィシャルライティングや、パンフレットや宣伝制作の編集/テキスト/コピーライティングなどに携わる。不定期でテレビ/ラジオ出演や、イベント/web番組のMCも務めている。近年の主な執筆媒体は音楽ナタリー、Yahoo!ニュース特集、共同通信社(文化欄)、SWITCH、サンデー毎日、encoreほか。編著書に『東京事変 チャンネルガイド』、『椎名林檎 音楽家のカルテ』がある。

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