「007/ノー・タイム・トゥ・ダイ」予告編第一弾解禁。 | BRITISH MADE

BM RECORDS TOKYOへようこそ 「007/ノー・タイム・トゥ・ダイ」予告編第一弾解禁。

2019.12.12

ダニエル・クレイグがラストを飾る第25作、物語の核心とは?

007シリーズ最新作「007/ノー・タイム・トゥ・ダイ」。先日、待望の予告編一弾が解禁されました。
前作「007/スペクター」で宿敵ブロフェルド(クリストフ・ヴァルツ)との決戦に勝利し、恋人マドレーヌ・スワン(レア・セドゥ)と共に生きることを決意したジェームズ・ボンド(ダニエル・クレイグ)は、MI6を退役。ジャマイカで暮らしていた……。

……はずなのですが、ご覧の通り、予告編を見ると、アストン・マーチンDB5に乗ったボンドとスワン、イタリアはマテーラと思しき場所でカーチェイスをしながら微妙な空気で揉めています(苦笑)。どうやらスワンが抱える何らかの“過去”が、この物語のファクターと関係している模様です。

では、ここでちょっとおさらいです(※以下、過去作のシノプシスに言及しますのでご了承を。未見の方はお気をつけて)。

そもそもスワンはミスター・ホワイト(イェスパー・クリステンセン)の娘でした。「007/カジノ・ロワイヤル」でボンドが本気で恋した女性、ヴェスパー・リンド(エヴァ・グリーン)を死に追いやったミスター・ホワイトは、次作「007/慰めの報酬」の冒頭のシーンで姿をくらまします。しかし、「007/スペクター」で再登場。ブロフェルド率いる犯罪組織・スペクターの一員だったことが分かりました。
しかし、ブロフェルドの姿勢についていけずに彼と袂を分けたせいで、組織から毒を盛られたミスター・ホワイトは、この時、すでに虫の息。そこで彼はボンドに自分の娘・スワンの保護を頼むと、拳銃によって自死を遂げたのでした。
つまり、ボンドは自分の恋人を死に追いやった男の娘と知りながら、スワンと恋に落ちたのです。これ、公開当時は結構驚きましたが、私はレア・セドゥ大好きだし、「そんなこともあるわな、だってボンドだもん……」とスルーしました(苦笑)。

スワンは「007/スペクター」で、ボンドに幼少の頃の思い出を語っています。それは自宅に暗殺者が訪れた時、幼いスワンが自ら拳銃で応戦したというものでした。果たして、最新作で描かれるのは、こうしたスワンの幼少期の過去なのか? それとも、ボンドと出会う以前の何らかの過去なのか? まずは、この点がひとつのポイントとなりそうです。

そしてボンドの盟友、CIAのフェリックス・ライター(ジェフリー・ライト)の再登場です。公式webによると、「007/慰めの報酬」以来の再登場となる彼は、誘拐されたある科学者の救出というミッションの手助けを退役したボンドに依頼するそうで、ここが今回の物語の導入となるようです。

さらにMI6の女性エージェント、ノミ(ラシャーナ・リンチ)がボンドの前に現れます。彼女はボンドと同じ00ナンバーを持つエージェントです。「007/スカイフォール」でも、新たなQ(ベン・ウイショー)が現れた際、世代交代の悲哀を突きつけられたボンドでしたが、何だか新人が登場する度に上から目線で老兵扱いされてかわいそう。今回もアストンマーチンDBSスーパーレッジーラを駆るノミから「でしゃばらないで」と牽制されています(笑)。

さて、007リリーズと言えば個性的なヴィラン(悪役)ですが、今回はサフィン(ラミ・マレック)と公表されています。しかし、現段階の予告編では、その詳細は未だベールに包まれています。ボンドとサフィンが対峙しているアジトらしき場所は畳に盆栽、さらには増女の能面など、ところどころ和のテイストが入っている辺りが気になります。

海外のサイトでは、ファンから「サフィンって、もしかしてドクターノオなんじゃね?」という声が上がっています。そう、007シリーズ第1作「007/ドクター・ノオ」に登場したスペクターのマッド・サイエンティスト、ドクター・ノオ(ジョセフ・ワイズマン)です。実はこの予想、後出しジャンケンではなく、私も同じことを考えていました。
“科学者”という設定の匂わせ感はそれを意図するものなのか? それともこの予想を狙ってのミスリードなのか? 現時点では不明ですが、大ヒット作「ボヘミアン・ラプソディ」のフレディ・マーキュリー役で今や世界中に知られる俳優となったラミ・マレックがどのようなキャラクターでボンドと渡り合うのか、興味が尽きません。

その他、前述のQ、ブロフェルド、007の上官のM(レイフ・ファインズ)、Mの秘書のイヴ・マネーペニー(ナオミ・ハリス)、MI6スタッフのビル・タナー(ロリー・キニア)の続投が発表されていて、予告編でもその姿を確認できます。

また予告編終盤では、「ブレードランナー2049」でAIヒロインのジョイを演じたアナ・デ・アルマスが二丁拳銃をぶっ放しています。彼女はパロマといい、CIAのエージェントであることが明かされています(カッコええ……)。そして、今回の予告編ではまだはっきりとは確認できませんが、デヴィッド・デンシック、ダリ・ベンサラ、ビリー・マグヌッセンらの出演もアナウンスされています。

監督はキャリー・フクナガ。彼は日系アメリカ三世で、007シリーズで監督を務める初の日系人/アメリカ人です。また脚本にはニール・パーヴィス、ロバート・ウェイド、スコット・バーンズ、キャリー・フクナガらと共に、脚本家・女優のフィービー・ウォーラー=ブリッジが参加しています。彼女は近年、生欲の強い女性が主人公のブラックなコメディ「フリーバッグ」やMI6極秘チームの捜査員と殺人鬼の攻防を描いた「キリング・イヴ」の出演/脚本で注目を浴びました。
フィービーは全体のブラッシュアップに参加したそうですが、彼女の起用や、新エージェントにノミを登場させるなど、007シリーズも“me too”問題以降の風潮にかなり配慮をしている模様だと報じられています。ちなみに“ボンドガール”は、本作より“ボンドウーマン”という呼称となることも決まっています。

さて、気になるスタイリングですが、以前、ここでもご紹介した通り、過去2作までの衣装を務めたジャニー・ティマイムから、今回はスティラット・ラーラーブへと交代しています。現時点では予告編やその他の報道から、ブラウンを基調としたカジュアルや、ベージュのジャケット&パンツ、アーネットのサングラス、さらにはタイアップ続投となるオメガの新作ウォッチなどが使用されたコーディネイトが確認されています。


加えて、おそらくはトム・フォードと思われるスーツスタイルに、バートン・ペレイラのサングラスという、アイコニックなボンドのスーツスタイルも披露されています。

物語の設定や劇中のボンドの年齢も影響しているのでしょうが、現時点で確認できる様子だと、個人的には比較的シャープで軽やかだったジャニー時代のスタイリングよりも、ちょっとアメリカ寄りというか、やや重めな印象を受けます。ともかく期待するばかりです。

そして朗報です。今作のボンドは、BRITISH MADE 取り扱いのシューズを履いていることが確認されています。ドレイクスのクロスビーモックトゥチャッカブーツ。カラーはブラウンです。

先月、いち早く銀座店の中川さんがこちらで紹介されていました。流石です!

本作は6代目ボンドを演じたダニエル・クレイグの(今度こそ)最終作となる作品です。12月18日にはクレイグ・ボンド全4作品をまとめた「ダニエル・クレイグ 4K ULTRA HD BOX」もリリースされます。4K解像度でクレイグボンドを一気に堪能出来るパッケージです。

https://video.foxjapan.com/library/007special/index.html

若きボンドの物語描いた「007/カジノ・ロワイヤル」、復讐という私情を乗り越えてボンドが真のエージェントとなった「007/慰めの報酬」、ボンドやMのルーツを背景に激闘を繰り広げた「007/スカイフォール」、そして全ての物語の裏に存在していた(半ば強引でしたが)宿敵ブロフェルドと対決した「007/スペクター」。果たして、「007/ノー・タイム・トゥ・ダイ」は、過去の物語とどのように関連するのでしょうか? そしてボンドがたどり着くのは、一体どのようなラストシーンとなるのでしょうか?

日本公開も2020年4月10日公開と正式にアナウンスされた「007/ノー・タイム・トゥ・ダイ」、今後も追いかけていきたいと思います。ではまた!

Text by Uchida Masaki


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内田 正樹

内田 正樹

エディター、ライター、ディレクター。雑誌SWITCH編集長を経てフリーランスに。音楽をはじめファッション、映画、演劇ほか様々な分野におけるインタビュー、オフィシャルライティングや、パンフレットや宣伝制作の編集/テキスト/コピーライティングなどに携わる。不定期でテレビ/ラジオ出演や、イベント/web番組のMCも務めている。近年の主な執筆媒体は音楽ナタリー、Yahoo!ニュース特集、共同通信社(文化欄)、SWITCH、サンデー毎日、encoreほか。編著書に『東京事変 チャンネルガイド』、『椎名林檎 音楽家のカルテ』がある。

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