ロンドン、アートとデザインの本屋をめぐる | BRITISH MADE

英国クリエイティブの窓  ロンドン、アートとデザインの本屋をめぐる

2018.01.23

ロンドンには、デザインやアートの本をメインに扱う専門書店の数が少なくない。

例えば、古書店街チャーリングクロスにあるKoenig Books。ここはドイツ人が経営するアート専門書店で、本店はケルンにある。ロンドンにはサーペンタインギャラリーにも支店を置くが、雰囲気と蔵書の数からいって、こちらの方が楽しめると思う。写真集、絵画集、展覧会のカタログなどが多く、黒で統一された外観や中の本棚がスタイリッシュでモダンな印象を与えている。
20180123_koenig ディスプレイもとても美しい
それからイースト・ロンドンのArtwords Bookshop。ここは場所柄か、Koenig Booksに比べると少し玄人好みな品揃え。僕はアートに詳しいわけではないけれど、カウンターカルチャー寄りの写真集などが多いように思う。店内はこじんまりとしているが、ほかに理論書やグラフィックデザインの本も充実していた。
20180123_Artwords これぞ「イースト!」という雰囲気
同じくイーストにあるBookartbookshopも面白い。ここは、アート本もさることながら、小さな出版社から発行された本が中心の品揃えだ。個人的には飛び出す絵本の取り揃えがうれしかった。子供も喜ぶだろう。赤い外装が印象的で、インディペンデントな書店の雰囲気をかなり体現しているといっていい。
20180123_Bookart 小さくてもその魅力はたくさん
このほか、文化的なエリア・サウスバンクにあるテート・モダンの裏手にあるMARCUS CAMPBELL ART BOOKSもアート・ファンには垂涎ものの場所だろう。ここは古書も扱っていて、店内を眺めていて飽きることはない。テートで企画展を見た帰りに立ち寄ってみるのもなかなか粋だと思う。
20180123_Marcus モダンアートの蔵書が多い
そういったわけで枚挙にいとまがないのだが、僕のような素人でも楽しめるデザイン関係の蔵書の揃った本屋さんを一店紹介しておきたいと思う。それは老舗の大型書店「FOYLES」だ。とても有名な書店なので、ロンドン好きの皆さんの中にはご存知の方も多いかもしれない。5年ほど前に大幅な改装が終わって新しく生まれ変わったのだけれど、僕はこの場所の居心地の良さが気に入って、毎週末のように通うほどだ。とりわけ、5階にある喫茶スペースの雰囲気は格別で、この原稿もいままさにそこで書いている。
20180123_Foyles 朝早くから開店を待つ人たち
閑話休題。デザイン関係の本は、FOYLESでは一階の入り口を入ってすぐ右手側に並べられている。グラフィックデザイン、アート、写真、建築、インテリアなどのカテゴリに分けられていて、それぞれの区画を順に眺めていくだけでもゆうに一時間はかかるだろう。見逃せないのが、雑誌の棚。ロンドンならではというか『モノクル』など最先端のトレンドをいち早くつかめるのがうれしい。それから、店員さんのオススメが陳列されたテーブルも毎週楽しみにしていることの一つだ。ちなみに、ここ最近、このスペースで漢字(日本語)のタイポグラフィや日本のグラフィックデザイン(広告)を集めた本を見かける機会が多くなった。贔屓目なしに、北欧と日本のデザインはこちらで結構な人気のようだ。
20180123_Design ていねいなディスプレイにいつも感心する
余談だけれど、FOYLESの喫茶スペースではアーモンドクロワッサンがおすすめ。平日も休日も昼には人が並び始めるので、11時ぐらいに行くといいかもしれない。さて、そんなこんなで、いま時計の針が11時半を指した。原稿の字数もそれなりになってきたようなので、今回はここで筆をおきたいと思う。

Text&Photo by Ishino Yuichi

plofile
Ishino Yuichi

Yuichi Ishino

イギリスをはじめ、欧州と東京を拠点にするデジタルプロダクション/エージェンシー「TAMLO」代表。企業に向け、ウェブメディアの戦略コンサルティング、SNS施策、デジタル広告の運用、コンテンツの制作などを日英を含めた多言語でサポートする。好きな英国ドラマは『フォルティ・タワーズ』。ウィスキーはラフロイグ。

Yuichi Ishinoさんの
記事一覧はこちら

同じカテゴリの最新記事