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イギリス建築を愉しむ。 ヴィクトリアン・ゴシック「オークリー・コート」

2019.08.23

The Oakley Court

今回はウィンザーに建つ、迫力満点のヴィクトリアン・ゴシック様式の建物「The Oakley Court(オークリー・コート)」をご紹介します。
1859年に建てられたオークリー・コートは、元々は貴族の館です。サー・リチャード・ホール・セイが、フランスから嫁いだ妻のために故郷フランスのシャトー(貴族の館)を感じられるように建てたと言われています。(実際はフランスというよりも、とてもオリジナリティーあふれる内外になっています。)
オークリー・コート外観
こちらがその外観です。
到着時はすでに周囲はすっかり暗かったのですが、独特の外形はライトアップされて良く見えました。先の尖っているのが特徴のゴシック・アーチ型の窓から漏れる灯りや、豊かな形状装飾による陰影で、どの角度からも絵になっています。この貴族の館が、1981年にホテルとしてオープンしました。この外観から想像できる通り、「ドラキュラ」などホラー映画の撮影ロケ地としてもよく使われます。
オークリー・コート外観 朝を迎えたオークリー・コートの外観です。夜の佇まいとはまた違い、朝日を浴びて、青空に清々しく映え、その魅力を一層増していました。
テムズ川 オークリー・コートはテムズ川沿いに建っています。朝の気持ちの良い空気、そして美しい景色を眺めながらの散歩は最高の一日の始まりです。
ポートランドストーン コーナーや窓周りには、ポートランドストーンと呼ばれる、イングランド南西部ドーセットで採れるグレーがかった白色のライムストーンが使われています。この石は、バッキンガム宮殿やセントポール大聖堂にも使われています。それ以外の部分は、黄土色のレンガ造りになっています。
ヴィクトリアン・フロア・タイル ゴシックデザインの玄関ドアを開けると、この時代に流行したヴィクトリアン・フロア・タイルが貼られています。様々な色と形のタイルを組み合わせて、幾何学模様を描いているのが特徴です。周囲をボーダータイルで縁取り、まるで上級なカーペットが敷かれているようなデザイン貼りに見惚れます。
階段 階段はオーク材と黒塗りのアイアン製の子柱(バラスター)で重厚感を醸し出しています。天井は石膏による凹凸のある仕上がりで、大きなシャンデリアが、階段ホールを煌々と照らしています。
ゴシックデザイン 各部屋も素敵です。こちらはゴシックデザインの厳めしさに似合うオークパネリング張りの部屋です。
ドローイング・ルーム その隣にはエレガントなインテリアのドローイング・ルーム。
白いモールディングと優しいクリームイエロー色の組合せが、なんとも上品で居心地の良い空間を演出しています。
ドローイング・ルーム ドローイング・ルームでは、窓辺を縁取るようにレースワークのような欄間(らんま)風の飾りが施されており、ヴィクトリアン・スタイルらしい華やかなアクセントになっています。この欄間風飾りは、後のエドワーディアン・スタイルに継がれ、多用されるようになりますが、もう少しシンプルなデザインになっていきます。
さらにここには、ベンチシートが造られていて、外の広大な庭を背後に、ここに座れる特等席が出来ています。
コンサバトリー 外観写真でも目立っていた、続き間の大きなコンサバトリーにも圧倒されます。天井からたくさんの光が入り、この部屋に開放感や明るさを与えています。もともとコンサバトリーとは貴族が南国から取り寄せた柑橘類を保存するために作られた温室です。現代ではくつろぐ部屋のひとつとして使用されていますが、ここでは外の緑と中の緑、そして青空が相まって、南国的な印象も与えています。
イギリスの家庭のキッチン イギリスの家庭のキッチン Buffet Breakfast 朝食はBuffet Breakfastですが、食べ物の並べられた部屋が何とも可愛いです!
イギリスの家庭のキッチンに招かれたかのようなラブリーな空間です。実際にキッチンキャビネットが使われており、すべての食べ物が、まるでディスプレイのように置かれています。セルフサービスで好きな物を取ってきたら、お薦めは暖炉前の席です。
厳めしい外観とは反対に、素朴で可愛らしいインテリアに囲まれて朝食をいただけるのも、このホテルの魅力だと思います。

ちなみに、ウィンザーはヒースロー空港から西へ約20kmと近めなので、日本からの到着後に直行するにも便利な立地です。
THE OAKLEY COURT
住所: Windsor Road, Water Oakley, Windsor, Berkshire, SL4 5UR
URL:www.oakleycourt.co.uk
Photo & Text by Koichi Obi

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小尾 光一

小尾 光一

工学院大学工学部建築学科卒業後、輸入住宅会社、リフォーム会社勤務を経て、「地面から生えたような」と形容されるイギリスの家に魅了されて渡英を繰り返し、デザイン・知識の習得とともにイギリス建材の開拓を重ね、2000年にコッツワールドを設立。イギリスであれば何処のエリアの建物も、そしてインテリアも実現するイギリス住宅専門の建築家として活動中。日英協会、イギリスを知る会所属。
著書「英国住宅に魅せられて」

ホームページ:
www.cotsworld.com
ブログ:
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Facebook:
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