英国紳士と時を刻むミュージアム | BRITISH MADE

カメラを片手にイギリスへ。 英国紳士と時を刻むミュージアム

2020.01.02

こんにちは。イギリス在住大学生のあかねです。

わたしが通う大学の写真専攻のコースでは、各学期ごとに1つのプロジェクトを完成させるのですが、今学期はあるおじいさんに密着していました。

舞台は、イングランド中央部の豊かな伝統と工業で栄えたコベントリー。

ロンドンから北へ特急電車に揺られ約1時間、イングランドのちょうど中心に位置する学生の街です。また自動車産業で栄えた場所で、ローバーの本拠地でもあります。

コベントリーには、豊かな自然と歴史が楽しめる数々の場所が点在しており、町のシンボルであるコベントリー大聖堂をはじめ、クラシックカー好きにはたまらないコベントリー交通博物館、ハーバート美術館&博物館、さらにコベントリー運河のカナル・ベイスンなど、郊外の小さな街ですが観光地としての見所もあります。
コベントリーの街を散策していると、古き時代を思い起こさせる石畳の道とクラシックな建物の景観を愉しむことができます。
第二次世界大戦時に爆撃によって破壊され、今でもその一部が現存しているコベントリー大聖堂
そんなコベントリーで、地元の人々にもあまり知られていない、あるミュージアムを偶然発見したところからわたしのプロジェクトがはじまったのです。

初めてこの地域に訪れたのは、2年前。こじんまりとしてローカルとの距離が近くて、なんだか懐かしいような、前にも来たことがあるような、、そんな印象を受けたのを今でも覚えています。そして今回のプロジェクトで、大学から与えられたテーマは『コミュニティ、カルチャー、アイデンティティ』。まさにコベントリーでのローカルコミュニティとの出会いとあたたかい交流は、そのテーマにぴったりでした。

今回のプロジェクトの主人公になる、そのおじいさんに出会ったのは、とある寂れたミュージアムでした。ある日コベントリーの街並みを眺めながらぶらぶらと歩いていたところ、Coventry Watch Museum(コベントリーウォッチミュージアム)と記された古びた看板と「本日オープン、火曜と土曜11時から15時まで」との案内書きを発見。
なになに、こんな場所初めて見たぞ?と高鳴る好奇心と、限定でオープンしているという特別感に惹かれ入ってみることに。
そこで出迎えてくれたのが、ある一人のなんとも粋なおじいさんでした。英国らしいクラシックなスタイルに身を包んだ彼の佇まい。

イギリスと聞いてパッと頭に浮かぶような、理想の英国紳士の姿をそのまま彼が再現したかのよう。一瞬でわたしの写真欲を膨らませました。
彼は、このコベントリーウォッチミュージアムでボランティアとして活動しています。

コベントリーは産業革命以降イギリスにおける自転車や自動車産業発祥の地として広く知られていますが、実は自動車産業が盛んになるさらに前から、時計製造の一大拠点として名を馳せていたそうです。この古い歴史はコベントリーに住んでいる現地の人々にさえあまり知られていないのだと、彼は言います。
その静かな街の記憶を保存し、都市の産業発展に大きく貢献した時計製造の歴史を語り継ぐために立ち上げられたこのミュージアム。そんな場所で歴史の語り手として活動することに誇りを感じるよ、と話す彼の目はとてもまっすぐで、その奥に宿る静かな情熱をフレームに収めて残したいという衝動に駆られたのでした。
次回に続く。。。

Coventry Watch Museum
営業時間: 火曜・土曜 11時〜15時
住所: Spon St, Coventry CV1 3BA
www.coventrywatchmuseum.co.uk
〜フォトグラフィー作品はこちらのInstagramから〜
写真を通してまるでイギリスに旅行しているかのような感覚をお届けしています。こちらのチェックもぜひ。
(ストーリーからはイギリス大学生の日常が垣間見れるかも?)

それでは、次回もお楽しみに! Have a lovely weekend!

Text&Photo by Akane Ban


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伴あかね

伴あかね

現役大学生、フォトグラファー。
日本の高校を卒業後、 19歳の時に単身渡英。カメラを片手に英国と日本を行き来し、ノマドフリーランスのフォトグラファーとして活動している。普段は英国大学で写真を専攻しながら、“ヨーロッパの空気を纏う瞬間”をテーマに日常のワンシーンを切り撮る日々。日本食、イギリス英語、ハリーポッターが大好き。

www.akaneban-creative.com

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