2019.04.13

BM RECORDS TOKYOへようこそ 「Exhibitionism – ザ・ローリング・ストーンズ展」上陸!!

ストーンズ初の大規模な展覧会、5つのポイント。

現在、TOC五反田メッセにて「Exhibitionism ー ザ・ローリング・ストーンズ展」(以下「Exhibitionism」)が開催中です。
1963年のデビューから今日まで半世紀を超えるキャリアを誇るストーンズの企画展は、2016年4月、ロンドンを皮切りに、ニューヨーク・シカゴ・ラスベガス・ナッシュビル・シドニーと世界各地を巡回し、この日本に上陸。3月9日から開催しています。
ストーンズのメンバー自らが監修およびセレクトを手掛けた500点以上もの貴重なアーカイブが展示されるという、バンド史上初の大規模な企画展となっています。
縁あってプレス用のプレビュー日に鑑賞することができました。そこで今回はこの「Exhibitionism」の見どころを5つに絞って、ほんの一部ですが、オフィシャルの会場フォトを交えて、ざざっとダイジェストでお届けします。

1. 意表を突く再現

「Exhibitionism」はまず全体のキュレーションとアートワークが素晴らしいです。

ストーンズはブリティッシュビートロックの流行(ブリティッシュ・インヴェイション)に乗って、ビートルズの後を追うようにデビューしました。当初はアメリカのブルースやロックンロールをカバーしていましたが、追ってオリジナル曲に着手すると、よりエッジな個性を打ち出していきました。

「Exhibitionism」では、何とそのキャリアの最初期にメンバーが共同生活をしていたアパートメントの部屋が再現されています。これがまあ汚えのなんの(笑)。
この部屋で明日の成功を夢見ていた少年たちが、本当にスターダムに躍り出て、のちに一人は死に(ブライアン・ジョーンズ)、さらにそののちには一人は脱退する(ビル・ワイマン)のかと思うと感慨深いです。

もうひとつ、再現で驚かされるのがスタジオです。
実際の楽器やアンプ、機材や卓を持ち込み、かつて彼らが使用していたレコーディングスタジオが再現しています。

しかもこのコーナーでは、メンバーや関係者(ドン・ウォズなど)証言のビデオに併せて、彼らの曲のトラックを実際のスタジオのようにいじれる機能を楽しめます。

例えば、ミックのボーカルだけを聴いたり、キースのギターだけを聴いたりすることが、直感的なタッチパネルにより、自分の手元操作一発で可能なのです。もう、ハマるとここだけで何十分も過ぎていきます(笑)。

2.貴重かつ潤沢なアーカイブ

アーカイブの内容ですが、まず何と言っても楽器です。これも最初期から近年まで使用のモデルが潤沢に揃っています。
60年代のキースの日記まで!
他にも作詞ノート、ツアーやバックステージにまつわる品々や手紙などが、ケースに収められ、陳列されています。

私は日本で行われたボウイ展のほかに、残念ながら日本には上陸しなかったザ・ジャム展もロンドンで観ました。で、こうした展示の度に思うのですが、イギリス人って、何でアーカイブをこんなにちゃんと、しかもずっと持ってるの?国民性なの?

盗難や紛失が記録されているギター類もそりゃ確認されているんですが、今回だって展示されている楽器は(同一モデルの別個体はあるみたいだけど)複製ではないし、とんでもない物持ちの良さに頭が下がります……。

3. “攻め”のアートワーク

ストーンズといえば、いつの時代も大衆を巧妙に挑発するジャケットや、ウイットの効いたアートワークを発表してきました。そうした作品も大量に展示されています。
そもそもバンドのトレードマークであるベロマーク(リップ&タン)がもう傑作ですよね。

これはアンディ・ウォーホル生みの親だと勘違いされている向きも多いようですが、実際には、当時アートスクールの学生だったジョン・バッシュがデザインしたものです。

ウォーホルは『スティッキー・フィンガーズ』や『ラブ・ユー・ライブ』のジャケットデザインですね。彼が手掛けたミック・ジャガーのリトグラフも展示されています。
たしかミックの初来日ツアーでポスターとして使われていましたね。

また、ステージセットのデザイン画や模型も数多く展示されています。
その他、デイヴィッド・ベイリー、マイケル・クーパー、ロバート・フランクらが撮影した写真もずらりと並んでいます。

4.あの衣装が目の前に

モッズ、ピーコックスタイル、ヒッピー、アメリカンフットボール、そしてハイファッションと、彼らの衣装はやはり時代とともに変わっていきました。そうしたコスチュームの数々も生で観られます。これまた驚くほどの物持ちの良さです。
近年はアレキサンダー・マックイーン、ジャン・ポール・ゴルチエ、グッチ、エディ・スリマン、プラダ、ローレン・スコット、アナ・スイ、トミー・ヒルフィガーなど、数々の名デザイナー/ブランドのクリエイティブを楽しむことができます。

何だかストーンズって、どうしても日本だと『ベイビー、ロックだぜー、イエー』みたいなノリの代名詞だと、未だ勘違いしている人も少なくないようです。

いや、それはそれである意味では間違っちゃいないし、そうした側面もあるっちゃあるんですが、今回の展示であらためて思い知ったのは、ストーンズというバンドのインテリジェンスでした。

たしかに60年代、70年代はワイルドサイドを生きてきましたが、いつの時代も彼らは自覚的で、戦略的でした。

特に60年代の終盤から70年代全般におけるクリエイティブのアンテナとセンス、もうバリバリです。

そして80年代から今日までは、スタジアム(日本ならドーム)クラスのライブが主流となるにつれて、より大衆向けに楽しませるエンターテインメント性を重視した戦略を展開していきます。

「Exhibitionism」は、そうした彼らの魅力を存分に堪能できるエキシビションです。

もちろん、長年の彼らのファンや往年のロックファンは必見ですが、ボウイ展同様、私はさらに若い方々、もっと言えば、いま美大や専門学校、プロの現場にデビューしはじめたばかりのクリエイター/音楽関係者にこそ、是非とも観ていただきたいと強く願います。だって、これ以上の学びと気付き、インスパイアのネタの宝庫なんて、そうはありませんから。

5.身体を震わすサウンド&ビジョン

ストーンズといえばやはりライブです。残念ながらバンドの生演奏はありませんが、「Exhibitionism」では、過去から今日までの“動く”彼らに会うことができます。
紹介できる写真がなくて残念ですが、ストーンズのライブ映画を監督したマーティン・スコセッシが彼らの魅力について語るインタビュー映像や、過去のミュージックビデオのリミックス映像、さらに最後のフロアでは、彼らのライブを3D映像で楽しむことのできるフロアも用意されています。まあこれについてはやはり生で楽しんでください。

音楽アーティストの企画展としては世界最大規模を誇る「Exhibitionism」、アジアではこの日本が唯一の開催国(現時点)だそうです。

1800平米の展示空間には、実に500点以上の展示物があります。ここで紹介した写真は、本当にほんの一部です。まともにじっくり楽しもうとしたら、半日どころか1日いても足らないくらいです。おそらく、私、もう何度か観に行きます(笑)。

あ、最後に一言。グッズは輸入ものが随時追加で入荷されている模様です。アパレルも豊富にあるので、そちらもお楽しみに。

「Exhibitionism」、ぜひ足を運んでください。ではまた!

Text by Uchida Masaki

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内田 正樹

内田 正樹

エディター、ライター、ディレクター。雑誌SWITCH編集長を経てフリーランスに。音楽をはじめファッション、映画、演劇ほか様々な分野におけるインタビュー、オフィシャルライティングや、パンフレットや宣伝制作の編集/テキスト/コピーライティングなどに携わる。不定期でテレビ/ラジオ出演や、イベント/web番組のMCも務めている。近年の主な執筆媒体は音楽ナタリー、Yahoo!ニュース特集、共同通信社(文化欄)、SWITCH、サンデー毎日、encoreほか。編著書に『東京事変 チャンネルガイド』、『椎名林檎 音楽家のカルテ』がある。

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