2018.10.25

ブリティッシュ“ライク” ヨーロッパ満喫日記 フィレンツェ篇

いくつかの目的があってイタリアを訪れている。今回は日本、イギリス、イタリアの三ヶ国をまたいで私見を述べたい。最初の滞在先はフィレンツェだ。

ひとつめは、手袋を修復するためである。愛用しているのは、1919 年フィレンツェ創業のグローブメーカー“MADOVA”の物で、妻にプレゼントとされたのはかれこれ5〜6 年前。2〜3 度(実は4〜5 回)落としても必ず手元に戻ってくる縁のある手袋だ。長年使用しているせいか、内側のライニング部分のカシミアが損傷しており、そこを修復するのが目的である。しかし、特に予約をしているわけではないゆえに、突然訪れて修理を請け負ってくれるのかは疑問であった。店舗で状況を説明すると、すぐに損傷箇所をチェックしてくれ、およそ2 週間もあれば修理が完了する旨を伝えてくれた。その後は日本に郵送してくれるようである。傷んだ箇所がどのように修復されるのかが楽しみだ。
日本ではほとんど見かけない(実はイギリスでもあまり記憶にない)が、フィレンツェ、引いてはイタリアには手袋専門店が多く見られる。日本で手袋を購入するとなると、百貨店やセレクトショップなどになるが、サイズは1〜2 サイズくらいの用意が一般的だ。好きな形を見つけても、肝心なサイズで断念しなければならないのは口惜しい。その点、こちらは専門店とあってストックの数も膨大であり、選択できる素材や色味も豊富である。気に入った物を見つけたらフィッティング専用のマットに肘を置き、フィッターがサイズ感を確かめてくれる。靴の選択に時間を要するように、手袋を選ぶ際にもゆっくりと時間を費やしてみるのはいかがだろうか。
時系列は逆転するが、ふたつめの目的はFrasiのシモーネ・リーギ氏に会うためである。僕が二十歳くらいのときに彼のスタイルに魅了されて以来、憧憬の念を抱き続けている人物だ。ただし、面識があるわけではないため、当然出たとこ勝負である。噂では開店していないこともあるらしく、正直なところ会えるかどうかは疑問であった。そのようなことを考えながら歩いていると(この間、頭に鳥の糞が落下するハプニンがあった)、前方から自転車に乗り葉巻を加えたエレガントな紳士が颯爽とやって来る。そう、シモーネ・リーギだ!!!10 年も待ち焦がれた当人の顔を見紛うはずがない。迷うことなく声をかけるとチャーミングなジェントルマンで、握手と写真撮影にも応じてくれた。あとで店に遊びに来いと言ってくれたので、かくして目的はわずか数分で達成されたのである。その後はFrasiで存分に買い物を楽しみ、興奮覚めやらぬうちにホテルでこの原稿を書いている。
先述したシモーネ・リーギ氏が愛用している靴はJOSEPH CHEANEYで、かれこれ10 年は履いているらしい。サンドとグリーンの中間のような独特な色合いが彼のスタイルにマッチしていて惚れ惚れした。この日僕が履いていたのも同社の靴だったので、それを伝えると顔をほころばせて喜んでくれたのが記憶に新しい。JOSEPH CHEANEY をはじめ、英国物も好きだという話を聞いて年甲斐もなく高揚した。それにしても、彼の写真だけすべてピンが甘いのは緊張して手ぶれしているからであろう。どうかご容赦を。
Photo&Text by Shogo Hesaka

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部坂 尚吾

部坂 尚吾

1985年山口県宇部市生まれ、広島県東広島市育ち。松竹京都撮影所、テレビ朝日にて番組制作に携わった後、2011年よりスタイリストとして活動を始める。2015年江東衣裳を設立。映画、CM、雑誌、俳優・タレント・文化人のスタイリングを主に担い、各種媒体の企画、製作、ディレクション、執筆等も行っている。山下達郎と読売ジャイアンツの熱狂的なファン。
江東衣裳
http://www.koto-clothing.com

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